トヨタの女性役員が密輸した医療用麻薬の所持が認められる場合は?

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トヨタの常務役員ジュリー・ハンプ容疑者が、医療用麻薬オキシコドンを国際郵便で密輸したとして逮捕されました。

ハンプ容疑者は、「麻薬を密輸したとは思っていない」と主張しているという報道がなされていますが、オキシコドンは医療にも使われる医療用麻薬でもあります。
果たして、病気の治療と主張した場合、合法になるのでしょうか。

自分の治療のために個人輸入する例外は医療用麻薬には適用されない

薬事法の例外として、本人が治療のために輸入する医薬品については、1か月程度の輸入であれば法の規制をかけないという例外措置が認められています。しかしながら、医療用麻薬についてはこの例外が適用されません。

日本ほか、ハンプ容疑者の母国でもあるアメリカでは「麻薬単一条約」という国際条約に批准しています。麻薬単一条約とは、麻薬成分に指定される物質の所持や、国際間のやり取りを制限する国際条約です。
麻薬と指定されている薬品には、ヘロインのように、毒性が強すぎて絶対に摂取できないものもあります。しかしながら中には、医師の管理下であれば、疼痛などのコントロールなどに利用できるものもあります。
後者の麻薬については、厳格な法の規制の下で、医薬品として使用されています。
(オキシコドンは、がんの疼痛などを和らげるアヘン由来のモルヒネ系の医薬品として、医療現場でも使用されている医薬品でもあります)

ただし、国際郵便などで個人輸入することは認められていません。日本においては、厚生労働大臣の許可を受けた者しか輸入はできないと麻薬および向精神薬取扱い法で規制されています。
例外といて、海外から持ち込む場合は、厚生労働省の地方厚生局に、医師の診断書と申請書を、入国2週間前までに提出した上で許可を受ければ、持ち込みが可能になると規定されています。ただし、あくまで本人が治療のために使うことが原則で、許可を得ても持ち込みの際は、携帯することが原則と規定されています。国際郵便などで取り寄せることはできません。

ハンプ容疑者は、「麻薬を輸入したとは思っていない」と主張し、記者会見を開いたトヨタも、ハンプ容疑者を擁護すると解釈できる発言を行っています。
日本およびアメリカにおけるオキシコドンの規制を見れば、ハンプ容疑者の刑事責任が追及される可能性は高いという意見が多数です。裁判の行方を見守るとともに、トヨタ側が上場企業として、どのような裁定を行うのか注目を集めそうですね。

※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2009/04/26-017743.php

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(執筆者: 松沢直樹) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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