自動給紙で両面同時に超高速スキャン可能な『ScanSnap S1500』製品レビュー

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パーソナルドキュメントスキャナ『ScanSnap』のフルモデルチェンジが2月にありました。筆者は、『ScanSnap S500』を所持しており、今回は『ガジェット通信』編集部で新機種である『ScanSnap S1500』をお借りすることができたので、レビューしてみたいと思います。

■ScanSnap使用感

仰天するほど“早く”なった。

筆者が『ScanSnap S1500』を使ってみた時の第一印象です。これは前機種である『ScanSnap S500』を所持している、いないに関わらず“欲しい”と思わせるだけの物だと感じました。

目まぐるしく性能が向上したのは、スキャンの品質を設定する項目で「スーパーファイン(カラーは300dpi、モノクロ600dpi)」を選択した時のスキャン速度。宣伝の通り、ノーマルやファインのスピードと全く変わらないんです。コレには脱帽しました。

スキャナーが1枚の紙をスキャンするのに8秒かかっていた物が6秒になったところで、「あまり騒ぐほどのことではない」と思ったそこのアナタ!“性能の差とやらを見せてもらおうか”と腕を組んで見ていってもらいたい。筆者の活用法を含め、じっくりとレビューしていきます。

■『ScanSnap』とは

株式会社PFU から発売されている、「ワンプッシュで簡単・スピーディーに書類をPDF化するパーソナルドキュメントスキャナ」です。一言で言ってしまえば「スキャナ」なのだが、「複数枚の紙を両面同時にスキャンしつつPDF化し、管理すること」に特化しているといっても過言ではないですね。最新の機種では、PDF化した後の機能(検索可能PDF化、PDFの検索)も強化され、紙媒体をデータ化する使い勝手がますます良くなっているのです。

また、アドビシステムズ社純正の『Adobe Acrobat Standard』が付属する。『ScanSnap』を購入するとPDFを自由に編集できる環境が整ってしまうのだ。これは、個人ユーザーが購入する際、非常に大きなメリットになると思う。

一度PDFになったドキュメントは、様々なデータフォーマットに変換することや、PDFの状態であればPDF内の画像から抽出されたテキストに対して検索することもできる。最新の『S1500』に付属する『ScanSnap Manager』では、『Microsoft Office』ドキュメントにも変換が可能だ。

近年ではPCのモバイル化が進み、書籍をPCに入れて持ち運ぶと非常に便利になると、筆者は考えています。余談だが、筆者は自前のノートPCにあらゆるシステムの開発環境をそろえており、「Anytime Anywhere」での開発をモットーとしているのです。当然、参考のために技術書を用意するが、せっかく小型で高性能なノートPCを持っていても、600ページを超える技術書を何冊も持ち歩いていたのでは、肩がこって仕方がない。

そんな時は、自分で購入した書籍を片っ端からPDF化する。検索可能化、しおりの設定、ページの設定(見開き、拡大率など)を行うことで、実際の書籍よりもより便利になってしまう。作業時間は、ハードカバーではない600ページ程の技術書を検索可能化しないのであれば、裁断も含めて20分もあれば十分だ。今では、電車の中でも技術書を開きながら開発を行っている。長距離電車が楽しくて仕方がない。

話を戻し、原稿の取り込みまでの行程を紹介していく。なお、この原稿の取り込みまでの行程は、『ScanSnap』シリーズのどの機種であっても概ね同じです。

ScanSnap S1500 正面(写真)

ScanSnap S1500 横(写真)

ScanSnap S1500 背面(写真)

不用意に給紙カバーを開けておくと、原稿読み取り部分にホコリが付くため、作業をしない時はこの状態で保管しておく。

給紙カバーを開ける1(写真)

給紙カバーを開ける2(全開)(写真)

給紙カバーを開けるを開けた所。『ScanSnap』本体に電源スイッチは存在せず、本体に電源とUSBが正常に接続されていれば、この時点で電源が入る。電源OFFは、給紙カバーを閉じれば良い。

スタッカーを開ける1(写真)

スタッカーを開ける2(全開)(写真)

本体下部のカバー(スタッカー)を開けたところ。

給紙カバーのエクステンションを伸ばす(写真)

スタッカーを起こす(写真)

給紙カバー、スタッカー共に、用紙サイズに合わせてセッティングする。

原稿セット(写真)

原稿を給紙トレーにセットする。標準設定の場合、裏面を手前、下向きにセットする。取り込みの設定を変更することで、表裏と上下を逆にする変更が可能になっている。

原稿台にセットできる枚数は公では最大50枚(A4:64g/m2)となっているが、紙の種類によってはそれ以上にも、それ以下になる事もある。また、消耗品扱いであるゴム製のパッドユニット等が消耗しても、最大セット枚数が減ってしまう。最大セット枚数については別記していく。

原稿は多少斜めになっていても、『ScanSnap』が自動で補正してくれる。斜めになった原稿が『ScanSnap』が自動補正することで、原稿が見にくくなることは無いと、筆者は体感している。筆者の経験では、自動補正しても原稿が見づらくなることはない。
なお、オプションでこの機能をOFFにすることも可能だ。

ボタン押下(写真)

このボタンをプッシュすることでスキャン開始。スキャンは両面同時に行われるため、何度も書類をセットし直す事はない。

スキャンが終了すると、PC画面上に取得した原稿をPDF化したファイルの一覧が表示される。PDF化したファイルの管理はこのソフトを通じて行っていく。

オプションを細かく設定していくことで、スキャンと同時にスキャンした原稿データの傾き補正や白ページ削除、原稿の継続読み取り、PDF化したファイルの検索可能化といった機能が利用可能となる。

さらに特筆すべき事として、e-文書法に対応している事だ。e-文書法とは、平成17年4月1日より施行された民間事業者などへの規制緩和法で、従来、紙での保管を義務付けられていた文章について「原則全て電子化文章での保存を容認する」もの。領収書や経理書類を電子化し、場所の節約、情報の共有化が取りやすくなる。

以上の内容は、『ScanSnap』全機種に備わっている機能となる。

■『ScanSnap S1500』のスゴいところ

『ScanSnap S1500』のスゴいところを筆者のコメントも交えてピックアップしていく。どれも、プリンタ複合機には無い、特色のある機能ばかりだ。

– 解像度に関わらず毎分20枚・40面の高速読み取り

今回、筆者が多大の期待を寄せている部分がこの機能だ。『ScanSnap』が『ScanSnap』である存在意義に匹敵するのが、原稿の連続両面読み取り機能。筆者は『ScanSnap S500』を所持しており、旧機種との速度比較を行いつつレビューしていく。

– インテリジェント・インデックス機能(読み取った画像からインデックス情報を生成)

PDFに内包される検索可能テキストとは別に、インデックスキーワードを作成する機能。このインデックスを作成することでWindowsデスクトップサーチなどの検索対象にすることができるようになる。インデックスの作成は、手打ちでキーワードを追加する方法の他に、スキャン画像を部分的にOCR処理してキーワードを追加していくことが可能。Windowsデスクトップサーチを使っている人には便利な機能になるだろう。

– キーワード自動仕分け機能(PDF内のキーワード情報で保存先を仕分け)

PDFへのキーワード設定は原稿のスキャン処理が終了したタイミングで自動作成する事が可能。このキーワードを使って『ScanSnap Organizer』がディレクトリの移動を自動で行ってくれる。領収書や、社内で申請に使われる書類など、定常的にドキュメントをスキャンするユーザーには重宝するだろう。

– A3キャリアシート混載機能(A3キャリアシートと書類の混載読み取りが可能)

レシートや名刺、領収書はA3キャリアシートを使い、パンフレットはそのまま、全ての原稿を給紙トレイに一緒にセットし一度にスキャンできる。既存の製品では無かった機能で、今まではA3キャリアシートでスキャンした文書とA4紙の文書は別PDFになってしまい、一つのPDFにするために『Adobe Acrobat Standard』を起動しなければならなかった。この手間が無くなるのは非常に助かる。例えば、展示会などで頂いた名刺と資料を一度に一つのPDFにする事ができたりする。

– インテリジェント・クロッピング機能(マーカーで囲った部分を自動認識し切り出してPDF化)

新聞や雑誌記事のスクラップを、スキャンからデータ加工まで一気にできてしまうのがポイント。逆に人に見せたくない部分をデータ化しないといった使い方もできるだろう。

– カラー自動判別機能(書類の色を識別して圧縮率を最適化)

モノクロの書類とカラーの書類の自動判別は当然のこと、モノクロ書類でも画像を自動認識し、グレースケールを使って画像は鮮明に保存する。また、読みやすさとファイルサイズがスキャンしたデータに最適化された状態でPDF保存までを『ScanSnap』が担当してくれる。

■徹底比較

『ScanSnap S1500』では速度が向上しているということなので、実際に色々な条件下で速度を実測してみることにした。『ScanSnap』の読み取り設定は、画質はその都度変更し、カラーモードと読み取り面は「自動」「両面読み取り」で固定してある。用意した機種は、『ScanSnap S1500』と『ScanSnap S500』の2機種。

計測開始は「Scanボタン」を押したタイミング、計測終了はスキャンが終わった後に表示されるメッセージ画面の表示タイミングとする。

{{{ 空欄の数値の部分は、のちほど計測して掲載します }}}

この結果でまず目に付くのが、『S1500』の品質設定「スーパーファイン(カラーは300dpi、モノクロ600dpi)」の性能劣化が全く無いこと。体感で早くなったことは解っていたが、数値化することで改めてそのスゴさを感じる。さらに、『S500』の数値と比較してみればその違いもさらに解るはずである。

1枚の計測結果を確認して頂くと、1枚当たりのスキャンスピードも向上している事が解る。A3キャリアシートのみでのスキャン時にはこの差が日々の作業のモチベーションにも繋がってくるだろう。

また、品質設定「エクセレント」のスキャンスピードが大きく向上していることも解る。今後、さらに解像度の高い品質設定が出てくることを予感させる、ウレシイ結果だ。

また、モノクロ紙とカラー紙の計測値を比較してみると、大きな違いが無いことが解る。これは、カラーモードを「自動」にしてある為かもしれない。

■まとめ

『ScanSnap』は、大量のアナログ文章をデジタル文章に変換するための必要な機能と実力を兼ね備えていると言える。プリンタ複合機でもデジタル文章への変換はできるが、その後の事までサポートしてくれる『ScanSnap』を筆者としては推していきたい。今後は、より高い解像度でのスキャン速度の改良も求められるだろう。そういった機能改善も期待していきたい。

関連リンク
[プレスリリース]「ScanSnap」 がスタイリッシュにフルモデルチェンジ
[商品ページ] カラー イメージ スキャナ ScanSnap (スキャンスナップ)

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