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猫とふたりぼっち~被災猫の子供猫と暮らす~

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筆者は猫を飼っている。
可愛がり過ぎて目に入れても痛くないどころか、種族間を超えて結婚したいとすら思っている。
ぼうこう炎になれば悩むほど心配し、体重維持や健康にもそこそこ気を使っているつもりである。

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ところでこの猫は、4年前の東日本大震災のときに、陸前高田市で被災した猫が産んだ猫である。
陸前高田市には友達がいた。
そこそこの高台にある家屋は、ギリギリのところで津波に流されなかった。
飼い猫もびっくりしただろうが、生きていた。
何度目かの被災地訪問の際に、猫は妊娠していた。

避妊していなかった猫の飼い主のことを責めないでやって欲しい。
既知の通り、流された職場、亡くなった人たちの分の仕事の穴埋め、その他の経済事情により、避妊手術が出来る状況ではなかったことをご理解いただきたい。
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手のひらにおさまる程の子猫たち。
中に一匹だけ黒いのがいた。
これが後の我が家の猫なのだが、小さいながらも丸まって寝る姿を見て、全身黒だと思って疑わなかった。
数ヶ月が過ぎ、猫を引き取りに被災地へと赴いた。
まさかくつ下を履いているなんて思わなかった。
まさかタキシードを着ているなんて思わなかった。

それでも可愛いものは可愛い。
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一匹ずつ引き取られてゆき、残り一匹となった子猫を母猫から引き離したときの、母猫の叫びのようなものは今でも忘れていない。
愛玩動物の摂理として、仕方のないことなんだろうけれど、このときばかりは少し胸が痛んだ。
もっと胸が痛んだのは、発情してしまったときに避妊手術をしたことだ。

動物愛護法で決まったことなんだろうし、猫という動物は一度のお産で一匹産むものではない。
何匹も産まれたところで、誰が育てるのか。
譲りますの猫や、保健所の猫があふれているのに、産ませてまた譲るのか。
繁殖機能を持って産まれたからには、本当は一度くらいお産をさせてやりたかった。
ただ一度でも妊娠すると病気にかかる確率が高くなるようだった。
そして発情の声は、人を深夜に寝かせてくれなかったのだ。
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そんな葛藤を持ちながら、手術の為に動物病院に一晩預けた。
健康な臓器なのに取らなくちゃいけない猫の気持ちはどうだったんだろう。
ぐるぐるぐるぐる考えていたら、動物病院から手術成功の一報があった。
とにかく、生きていてくれて良かった。

当時は実家に住んでいたのだが、今は猫可物件で妥当な場所に猫とふたり暮らしをしている。
むしろ猫とふたりぼっちには広すぎるぐらいの家なのだが。
冬になると暖を取るためにふたりでくっついて眠り、夏になると暑いので別室に家庭内別居をする。
ときどき筆者が真面目な顔で記事を書いていると、暑いのにちょっとだけ触れて寛ぐということをしてくれる。
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訪問者が来るときは、なるべく慣れてもらう為に、遊んでもらったり、おやつをあげてもらったりする。
猫にとって非日常はストレスになるような気がするからだ。
たいがい訪問者は猫好きが多く、抱っこさせてと絡み過ぎるきらいがある。
そこである一線を越えると猫からシャーの洗礼を食らう。
ちなみに飼い主である筆者がシャーを食らったことは一度もない。

被災猫から産まれた猫と言っても、今ではごく普通の、筆者にとっては宝物のような猫である。
もうすぐ4歳になる。
毎年誕生日には首輪をプレゼントしている。
猫に首輪をするということを、しばりのように思われる方もいるかもしれない。
でも筆者にとっては猫のネックレスという感覚なのだ。
猫だっておしゃれしてもいいよね、なんて思う訳だ。
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これから何年一緒に過ごせるだろう。
猫の方が命が短いから、先立たれる覚悟はある程度出来ている。
猫またになってくれたら、うれしいことこの上ないのだが、現実には不可能なことだろう。
これからもときどきケンカして、くっついて甘えていてもらいたい。
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※画像は全て筆者撮影

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 糸柳 蓮) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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