教師の「拳銃携帯」許可する法案 米ネブラスカ州議会に提出
「アメリカは銃社会、だから危険」。アメリカにこのような恐怖感を抱いている人は、少なからずいるのではないだろうか。実際アメリカでは、一般市民、特に学生らによる銃撃事件があとを絶たない。無論、米国民が現状を歓迎しているわけではない。自国が危険だと評価されていることは、全国民にとって憂いの種である。それでは、「銃」によって起こる事件をどう抑制すればいいのか――。ある上院議員が出した答え、それは「銃の抑制には銃」だった。ネブラスカ州上院で、「教師が学校に拳銃を携帯することを許可する」法案が提出されたのである。
米国ワシントンポストやクリスチャン・サイエンス・モニターの報道によると、ネブラスカ州議会に2011年1月18日、提出されたのは、「それぞれの学校の教育委員会で3分の2以上の賛成が得られれば、教師・事務員らに、学校へ拳銃を持ってくることを許可する」という法案。この法案を提出したマーク・クリステンセン州上院議員は、「もしある子どもが学校に、教師あるいは他の生徒たちを撃つために学校にやって来たとき――。一番いいのは、そんな状況に対処できる人間がそこにいる、ということだ」と発言している。同州では、1月5日にオマハの高校で、17歳の男子生徒が銃を乱射、副校長が死亡し、校長が負傷、生徒本人は自殺した事件が起きており、同議員はこのことを受けて法案を提出したという。
アメリカ国内でこのような法案が出たのは初めてではないが、施行された例はない。また全米州議会連盟によると、米43州とワシントンD.C.で、公立学校への銃の携帯が禁止されている。
ワシントンポストのコメント欄には、「最近の乱射事件は、教師が銃を持っていたとしても起こったでしょうよ」「武装した市民が、もっとも効果的な防御なのよ」など、賛否両論が集まった。なかには、「教師に拳銃所持を強制するわけじゃない。彼らに選択肢を与えようってだけだろう」と、教師らの意見を尊重するべきだというコメントも見受けられた。
1月8日にアリゾナ州のショッピングモールで起きた銃撃事件では、民主党のガブリエル・ギフォーズ議員が撃たれ、6人が死亡し、アメリカ全土に大きな衝撃をもたらした。「銃所持」に関する議論の熱はアメリカ国内で一気に高まり、ひきそうにない。
<事件を報じた米メディア>
Giving guns to teachers: A Nebraska legislator submits bill – The Washington Post
(古川仁美)
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