『明烏 あけがらす』福田雄一監督&菅田将暉インタビュー「菅田君は4年前はタメ口でした(笑)」
売れないホストが必死で貯めた借金返済の為の1,000万円。祝いの酒を飲み、目が覚めると金はどこにも無く、全て夢だった事に気付き……。『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『アオイホノオ』の福田雄一監督最新作『明烏 あけがらす』が5月16日より公開となります。
今回、福田監督作品に初出演となるのが主演の菅田将暉さん。アフロ姿で真っ黄色のスーツという個性的な出で立ちで、シチュエーションコメディに挑戦します。そんな福田監督と菅田さんに2ショットインタビューを敢行。映画について、お互いの印象について色々とお話を伺ってきました。
―本作とても面白く拝見しました。もとは舞台の戯曲という事なのですが、このお話を書いたきっかけってどんな事だったのでしょうか?
福田監督:もともと舞台の台本なんですが、2011年の震災の後に書いていたんですね。この舞台をやる前に『勇者ヨシヒコ』のパート1をやっているんですえど、その頃とにかく笑える物を作りたいという気持ちが強くて。子供が生まれたばかりで震災があって、色々な事にすごく敏感になっていて。真っ暗な街を見ているだけでもすごく辛かった。そんな時だからこそ、川島雄三監督の『幕末太陽傳』みたいに明るくてとにかく笑える作品を作りたくて、それで生まれたのが『明烏 あけがらす』なんですよね。
―ホストクラブの控え室で行われるワンシチュエーションコメディという事で、シンプルな状況だからこそ役者の皆さんの演技のパワーを強く感じました。本当にピンチな人って周りからみると可笑しいんですよね。
福田監督:そうそう、どれだけナオキ(菅田将暉)があたふたしようが、周りは超冷静っていうね。1回観て結末を知ってからもう一度観るとさらに笑えるシーンがたくさんある。周りが慌てていても主人公だけ落ち着いているというのはよくあると思うんだけど、今回は逆だから菅田君は大変だったんじゃないかな。“一人踊り”の状態だから。
菅田:役作りに関しては現場ありきという感じでしたね。セリフを覚えたりある程度のイメージは家でやりますけど、この作品は特に他のキャストの皆さんと会って合わしてからはじまるかなと。
福田監督:役作りは本当おまかせで。場末のホストクラブの、しかも控え室っていう超地味な場所でのワンシチュエーションだから編集するのがちょっと恐かったですね。でもだからこそ俳優陣のパワーがすごかった。菅田君が間接的に酷いことを言われているとあるシーンで何も言わずに「目をつむる」っていうのが何度観ても笑っちゃうんだよね。
菅田:あれだけみんなに責められていたら目をつむるしか出来ないですよ(笑)。
福田監督:菅田君が俺の作りたいものを理解した上で演じてくれるので、本当にすごかったですね。「何も言ってないのに、なんで出来るんだよ!」っていう演技の連続で、刺激になりました。とにかく幸せな時間でしたね。
菅田:福田監督の作品は大好きで色々と観させていただいているのですが、『明烏 あけがらす』は監督らしい笑いや演出はもちろん、これまでの作品とちょっと違うなとは思いました。自分に役を寄せてくださっているのかな? と感じたり。主演が出来て本当に光栄です。
福田監督:俺、すごくネガティブな人間なので、俳優さんに俺の作品に出たいと言われても「えー本当に?」って思っちゃうんですよ。俺とやりたいと言ってくれるのって、ムロ君と二朗さんしかいないと思ってる(笑)。でも、菅田君はずっと気になる存在だったから本当に楽しかった。
―菅田さんは福田さんの監督作品に出演したのは初めてという事ですが、これまでもお会いした事はあったんですよね?
福田監督:菅田君と最初に会ったのって『高校デビュー』の舞台挨拶なんですよ。俺は映画での菅田君の演技をべた褒めしてて。「この子絶対来るよ」って。そんな事もあって実際に会うのを楽しみにしてたんだけど、菅田君、俺にずっとタメ口だったんですよ(笑)。関西弁のタメ口ね。俺チキンハート中のチキンハートだから恐かったもん。
菅田:それ全然覚えて無いんですよ……。
福田監督:いやあ、元気な兄ちゃんが出て来たなあと思って面白がってたの。その後しばらくご無沙汰していて、俺の舞台を観に来てくれた時に久しぶりに会ったらあのタメ口だった菅田将暉がガチガチに緊張してて「大好きなんです!」って言ってきて、驚きましたね。
菅田:福田さんの舞台は何度も観に行っていて、でもお話するのに緊張するからずっと遠くから見てました。『高校デビュー』の時ってデビューして1年目だったんですけど、その頃の自分がある意味うらやましいな(笑)。無知って強いですよね。
―そんな背景を知りながら映画を観るとさらに可笑しいかもしれませんね(笑)。今日はありがとうございました!
『明烏 あけがらす』
5月16日(土)全国ロードショー
配給:ショウゲート
(C)2015「明烏」製作委員会
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。