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映画『セッション』チャゼル監督インタビュー 「自分の体験から音楽をやることに恐怖を感じるようになったんだ」

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伝説の鬼教師のもとで奮闘する、ジャズドラマー志望の若者を描いた映画『セッション』(4月17日より日本公開)。『第87回アカデミー賞』で作品賞を含む5部門にノミネート、そして見事に3部門(助演男優賞・編集賞・録音賞)で受賞を果たした話題作です。

ガジェット通信では、撮影当時28歳でわずか3億円の制作費、19日間という驚くべきスケジュールで本作を撮影したデイミアン・チャゼル監督にインタビューを実施。デビュー作で全世界から注目を集めることになった本作について、作品への評価に対する思いや映画の基になった自身の体験などをたっぷりと語っていただきました!

<ストーリー>
名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)は、名物教師フレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。これで偉大なドラマーになるという野心は叶ったも同然。だがニーマンに待ち受けていたのは、常人には理解できない“完璧”を求める狂気のレッスンだった。天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーによって浴びせられる罵声、仕掛けられる罠……。ニーマンの精神は次第に追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマンの運命は――。


――まずは本年度アカデミー賞5部門ノミネート、3部門受賞という素晴らしい成績についてご感想をお願いします。

チャゼル監督:プロデューサー、編集、ノミネートされた人たち、関わったスタッフ、とにかく誇らしく思ったよ! 僕らのチームで候補になった人たちは、全員がオスカーバージンで初めてのアカデミー賞だったんだ。ワクワクしていたし、実際のアカデミー賞の夜は本当にみんなが夢見心地のような気分だったよ。

――すでに映画を鑑賞した人たちからは絶賛の声が相次いでいますよね。監督デビュー作でここまでの反響を想像していましたか?

チャゼル監督:ここまで反響がもらえるとは全然想像もしていなかったね(笑)。制作中は映画を自分の形に作るので精一杯だった。それから『セッション』は2014年のサンダンス映画祭への参加を目標に制作していて、スケジュールに合わせて完成させるのも大変だったんだ。もちろん、J・K・シモンズの特別な演技は絶対に評価されるべきだとか、この映画はきっといろんな人たちに響いてくれる! という夢は持っていたけれど……。


――ご自身の経験が脚本に反映されていると伺いました。そんなに大変な体験をされたのでしょうか?

チャゼル監督:僕が指導を受けた実際の指揮者は、確かにJ・Kぐらい怖かったよ。でも、あんなに意地悪ではなかったかな(笑)。ある意味で素晴らしい教師であり、インスピレーションを与えてくれる人だったね。確かに、指導するときにはドラムに対して大声で叫んだり、恐怖を利用して指導するタイプの先生だったけど。でも決して、フレッチャーのように一線を越えるようなことはしなかったよ。


――さすがにフレッチャー先生みたいな人がいたらマズいですよね。

チャゼル監督:フレッチャーのようなキャラクターを創ったのは、(生徒が)素晴らしい演奏者になるために、どこまでやっていいのかというジレンマに焦点を当てたかったんだ。そこを強調するために、もっと怖くて意地悪なキャラクターにしたんだよ。

――しかし、きちんとリアリティを感じました。

チャゼル監督:僕は一方で、自分の体験から音楽をやることに恐怖を感じるようになったんだ。実際、その指揮者の悪夢を今でも見ることがあるよ(笑)。その音楽に対する苦悩と恐怖は、これまで映画を通して観たことがなかった。だから、その経験をベースに映画を作ろうと思ったんだよ。

――本作でJ・K・シモンズの印象がガラっと変わりました。

チャゼル監督:実は『セッション』の制作前に、重要なシークエンスを抽出した短編を作っていて、シモンズはその頃からフレッチャーとして演じていたんだ。獣のような雄叫びで叫んでもらうシーンを撮影したときには、正直引いてしまうほどド迫力で(笑)、本当にワクワクしたよ。あっ、役の衣装も今回はJ・Kのアイデアだよ。あと例えば、僕が「叫ぶ!」って書いたセリフをわざと低い囁き声で読んでみたり、本当にコラボレートとして最高の役者だよ!


――難しい役どころを演じたマイルズ・テラーについても教えてください。

チャゼル監督:マイルズはドラムをやったことはあるけれど、ジャズドラムはやったことがなかった。だから僕とマイルズのリハーサルは、彼がそのドラムと向き合うことから始まったんだ。今回はただのジャズではなく、より複雑なジャズの楽曲を演奏してもらう必要があった。しかも、最初は迷いのあるミュージシャンが、偉大なミュージシャンに腕を上げていくような姿を演じるんだ。マイルズはドラムと向き合って、ドラマーの気持ち、考え方っていうものを吸収していった。ドラムに執着するようなミュージシャン、その心理に彼はだんだん入っていったね。

――彼の熱演もあって衝撃的なクライマックスでした。ラストの展開は最初から決めていたのでしょうか。

チャゼル監督:最初からこのエンディングはイメージしていたよ! 捉え方によってはある人物の勝利だけど、どこか悲劇的でもあり、ジレンマの問いかけが観客に残るようなエンディングを目指していたんだ。


――日本でも多くの人たちに観て欲しいと思っています。監督の今後のご活躍にも期待しています!

チャゼル監督:『セッション』は初めての本格的な長編作品ということもあり、パーソナルな見知った世界を描けたのは凄く助けになったよ。自分の経験をベースにしているから、すごく作りやすかった。今後作っていく映画にも自伝的要素があるという風にはならないと思うけどね(笑)。

――本日はありがとうございました!

映画『セッション』予告編(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=dOHtzIdTO4E

映画『セッション』公式サイト:
http://session.gaga.ne.jp/

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記者:

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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