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金銭で解雇可能?「解決金制度」導入による企業と労働者への影響

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政府が「解決金制度」(金銭解雇)の導入を提言

政府の規制改革会議は3月25日に、裁判で「解雇無効」とされた労働者に対して、企業が一定額を支払うことで解雇できるようにする「解決金制度」(金銭解雇)の導入を提言しました。同時に、制度適用の申請は労働者の権利と位置付けています。導入の背景にあるのは、安倍政権の成長戦略にある「雇用の流動化」実現と、解雇無効判決が出ても使用者との信頼関係を失った労働者が職場復帰するのは現実的に難しいという理由があるからだと考えられます。

日本の解雇規制は「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」(労働契約法16条)としか規定がありません。そして、多くはこの合理的理由と社会通念上相当が争点になります。単に会社の経営が苦しい、性格が合わない、などの理由では解雇できません。しかし、産業構造は多様化し、変化のスピードも早く、解雇しやすいようにしてくれとの要望が経営者側から上がりました。

米国は「仕事」に、日本は「人」に対して報酬を支払う

欧米に比べ、日本は解雇しづらいと言われています。しかし、ヨーロッパ諸国も、思われているほど解雇は容易ではありません。例えば、G7で比較した2002年の資料(出典:日本労働研究雑誌)によると、解雇のしやすさ総合1位はアメリカ、2位カナダ、3位英国、4位フランス、5位イタリア、6位日本、7位ドイツになります。しかも、上位3ヶ国に比べ、下位3ヶ国は僅差で、解雇に関して厳しい国といえます。

次に解雇しやすい国の1位になったアメリカと、日本の気質を比較します。御存知の方も多いと思われますが、アメリカは欧米諸国の中で最も「契約社会」の概念が強く、仕事に就く際にもやるべき仕事が事細かに規定されています。逆に、自分の契約外の仕事は行いません。他人の仕事を手伝うことも、基本的にはありません。日本は逆に、この職務が曖昧です。

アメリカ人は「仕事」に対して報酬を支払います。だからこそ、労働者もより高額の報酬を求めて転職するのは当たり前です。会社も担当してもらう仕事がなければ、解雇するのは当然との考えを持っています。ただし、訴訟大国であることから、不当解雇を巡る裁判事例も数多く存在します。対する日本は、「人」に報酬を払います。分かりやすい例が、「ポストに就けば手当が出る」「その人の能力に焦点を当てない」などで、転職の際も成し遂げてきたことに目を向けず、どこに勤めていたかを見る傾向が強くあります。

労働者は自己責任が問われる時代だと覚悟を決める必要がある

「解決金がどの程度の金額か」という根拠がないため何とも言えませんが、今後は事業縮小や業態転換を理由とした解雇が行いやすくなるはずです。厳しいことを言えば、解雇される側にも全く落ち度がないとは言い切れません。

そんな中、労働者が生き抜くために必要なのは、絶えずスキルアップし続け、必要とされる人材になることでしょう。今の時代、50年も安泰である企業を求める方が間違っています。企業が変化を求められるように、労働者も変化に対応する心構えを持つ必要に迫られているのです。自己責任が問われる時代に入ったと、覚悟を決めるのが最善策かもしれません。

(佐藤 憲彦/社会保険労務士)

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