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東日本大震災復興支援 第11回チャリティー製パン講習会

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3 月11 日、第11 回チャリティー製パン講習会が開催され、423,000 円が「あしなが東日本大震災遺児支援募金」に寄付されました。会場となった秋葉原の正栄食品工業さんは一昨年本社の新社屋が完成したばかり、ガラス張りの外装デザインで駅からも近く2階に併設されたテストキッチン・ホールも80人以上の収容が可能というとても綺麗な講習会会場です。

取材日  2015年3月   レポーター  尾見 典子

講師は発起人である山﨑豊氏(元ジェラール・ミュロシェフ)、初回からの中心メンバーである伊原靖友氏(ツォップオーナーシェフ)、井上克哉氏(オーベルニュオーナーシェフ)のほか、今回は遠く福岡より渡邊裕之氏(タンドルマン
オーナーシェフ) 大阪からは米山雅彦氏(パンデュースオーナーシェフ)が参加し講師としてデモンストレーションを行いました。

渡邊氏は《赤ワインとチーズのパン》《デニッシュ》《チョコレートのブリオッシュ》《マドレーヌ》を実演、紹介しました。

赤ワインとチーズのパン(渡邊シェフ)

芳香豊かな食事パン。昨年のボジョレーヌーボー解禁の時にお店で販売したら、お客様の反応がとても良かったそうです。渡邊氏のお店では、お客様の認めるものはイベントに終止せず、四季を通じて楽しんでいただけるよう継続して販売しています。

デニッシュ

自分のパン職人人生は「人」なくして語れないという渡邊氏は、一緒に働くスタッフにも自身の持つ製パン技術、ノウハウといったものを惜しみなく伝え、自分が不在であっても誰もが作業できるような工程を工夫しているそうです。また、家族は常に自分の傍に一緒に居ると心に留め、コックコートの袖にも一家の名入りの刺繍を施されているほど。山﨑氏や伊原氏とのコミカルな会話を交えながら手際よく成形が進みます。講習会に参加することでこういった製パン以外のお話を聞けるのも楽しいことです。

チョコレートのブリオッシュ

つぎつぎと美味しそうなパンが焼き上がっていきます。実は、渡邊氏のデモンストレーションの傍らで何やら焼かれているのが目に入り、午前中ずーっと気になっていました。それが伊原氏お手製の昼食のメニューでした。傍らで準備されていたのですね。そしてお料理には山﨑氏のパンが添えられます。

ランチタイム

*お料理(伊原氏)
キドニービーンズの煮込み(メープルシロップで甘み)・ほうれん草のスープ
人参、マンゴー、ヨーグルトのマリネ・大山ハム3 種(パプリカ/チーズ入りモルタデッラ・ペッパーシンケン・ロース)・リーフサラダ(バルサミコドレッシング)
* パン(山﨑氏)
バゲット、フォカッチャ(セミドライトマト バジル)、コーンのパン、マスカルポーネパウダー入りのパン

山﨑シェフのパン 4種

野菜そのものを食べるパン(米山シェフ)

昼食を挟み、午後は米山氏による《ポテトパン》《コンプレ》の実演、旬の野菜を使ったパン作りの紹介でした。

米山氏が最初に製パンの学びを得たお店ではフルーツをふんだんに使ったパンを取り入れよく販売していたそうです。それが一般的になった昨今「パン×フルーツはもう認知されている。自分が独立した際には『野菜』で行こう」と決めたそうです。シェフは野菜への思いがとても強い方ですが、それは原料とか有機野菜とかそういった事ももちろんですが、生産者さん、八百屋さんとの信頼関係を大切にしているそうです。実際小麦にしても野菜にしても時期のあるものは苦労も多いが、それが良い仕事をしていくことにも繋がっているんだと話してくださいました。

ポテトパン

ハルユタカ100%、塩、砂糖、フォークでつぶしたじゃがいもを合わせるだけ。それに旬の野菜を加えておいしいパンが出来ました。いつも、焼き上がったときにどういった状態の野菜にして食べるかイメージしてつくるそうです。他にも、レンコンパンと同じコンプレの生地で、パンの上に塩ゆでした菜の花とチーズを乗せたものもありました。

去る1 月17 日は、阪神淡路大震災から丁度20 年目の節目にあたり、当時大阪で被災したシェフにとっても感慨深い講習会となったに違いありません。米山氏は参加者が熱心にメモを取ることに興味をもたれ、「真面目な受講者を前にして気が引き締まる思いだ」と感心しておられました。どうやら関西の講習会では見られない状況のようです。

井上シェフのパン

井上氏は、午後の講習の合間に、油脂として太白ごま油を配合した「つやつや食パン」と、同じ生地で成形を変え低い温度で焼き上げた「ル・マタン」をつくり、バター不足の状況下、品質を落とさず生地の老化を防ぎアレルギー対応にも即しているごま油を取り入れたベーカリーレシピのヒントとなるようなアイデアを伝授してくださいました。

チャリティー講習会では、5 人のシェフの他に製パンやお料理に関わる材料の提供をしてくださったタカナシ乳業(株)大山ハム(株)ネスレネスプレッソ(株)日の本穀分(株)竹本油脂(株)各担当者の方々による自社製品の紹介の時間もありました。それらの商品は普段からシェフの方々が愛用しているものばかり。その良さを試食のパンや昼食のお料理で感じながら味わい、一部を持ち帰りのお土産としてお試しさせていただきました。

奇しくも第11回チャリティー製パン講習会の行われた3月11日は日本中が震災と向き合う一日でありました。会場でもその時間に犠牲となられた方への黙祷を捧げ、一日も早い復興を祈りました。発起人の山﨑氏は、震災当日列車が止まり東京駅で一夜を明かしたそうです。最後に「自分の出来る事は何か?冷え入る駅の構内で一晩ずっと考えました。そしてチャリティー講習会を開いて被災地にお金を送る事を思いつき、すぐ伊原・井上両シェフに相談し自分の仕事を犠牲にしてでもいい、年一度を目安に10年はやりましょう、と提案しました。この4年間、現地ツアー等他にもいろいろなイベントを試みながら被災地の人とも交流を持ち、嬉しい事にこの講習会も11回を数え、どこの会場も満員で今回も80名の
ご参加をいただきました。ありがとうございます。具体的な事はまだ未定ですが、今後も被災地のために何かを続けて行きたいと思います」と述べられ講習会は終了しました。

あっという間の一日でした。デモンストレーションは材料の単位が大きく、業務用ミキサーを使用する際のコツや詳細な拘りの話など、製パン業に携わる方に向けた説明を中心に進められるのですが、家庭製パンをされている参加者も多くいらっしゃるので、司会進行を務める山﨑氏・伊原氏はそのことをふまえ、途中、家庭で行う場合の方法や代用はこれ、とか置き換えて誰もが理解を深められるよう説明されていました。休息時も会場のあちらこちらでシェフを囲み歓談する光景が見られ、終始和やかな雰囲気。一流シェフのパン作りを間近で見て、普段はなかなか直接お会いすることの無いパン職人との交流の機会を得、その復興支
援の一端を担う事が出来る「チャリティー製パン講習会」。これからも継続的な復興支援活動への取り組みを期待しています。

■この記事を執筆したパンライター
パンライターのりこ
http://pansta.jp/user/iim1538/
パンは心の糧。美味しいパンでみんなほっくり〜心豊かに。パンの気になる情報やおいしい食べ方、愉しみ方を提案していきます。

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