[百合嫁の日常] 解離性同一性障害とセクマイと
スカートの下にズボンをはいた高校時代。
私の自認は現在、身体は女性、性指向はバイセクシャルです。
そして解離性同一性障害(DID)という記憶障害を伴う精神病を患っています。
カノジョと一緒に10年ぐらいかけて、人格(記憶)の統合をしてきましたが、まだ記憶が飛ぶことがしばしば起きます。
子供時代の私は「自分は女性なのだろうか。男性なのだろうか。女性が好きなのだろうか。男性が好きなのだろうか」と悩みました。
なにせ出ている人格ごとに性別も性指向も違います。
特に困ったのが記憶障害でした。
Aという人格が古典を学んでも、Bという人格でテストを受けると、忘れてしまっていて点数が悪くなるのです。
高校時代の私は、スカートの下にジャージのズボンをはいていたのですが、それは寒さ対策だけではなく、人格が交代した時に感じる服装の違和感を消すのにも役立っていました。
記憶の引き出しが入れ替わるたびに、薄れたり消えたりする思い出。
大変でした。
ちなみにこの「高校時代に悩んでいた記憶」も、このエッセイを書くにあたって一生懸命思い出しました。
自分が書いているエッセイを読み、「あれ? なんでスカートの下にジャージを着ていたのだろう。寒さ対策だけではなかったような?」と疑問を持ったのが、思い出すきっかけでした。
セクシャルマイノリティー(セクマイ)は病気ではありません。
セクマイの中でも『性同一性障害』は病気に区分されています。(手術しなきゃならないからね)
しかし他のセクマイは健康な方も多いです。
だけど私は思うのです。
自分を隠す・クローゼットとして生きなければならないという社会的な環境が一般的な病気を患いやすくしているではないかと。
NHKのWEBサイトにある『同性愛者の自殺について考える』というコラムの中に「社会に見えてこない同性愛者の自殺率の高さ」という章があります。
その中に「欧米の調査では、同性愛者の自殺企図率がそうではない人と比べて数倍高いという結果がくり返し報告されています。」という文言があります。
自殺はいわゆる結果であって、その前に鬱など沢山の病気を発症しているのだと思います。
さて私の話に戻りましょう。
私自身の解離性同一性障害は小学生か幼稚園の頃から患っているために、今となっては何が原因か分かりません。
バイセクシャルなのはDIDだからなのか、セクマイだからなのか、「卵が先が、鶏が先か」といった感じです。
しかし今現在は、記憶の統合も行なわれ、身体は女性、性指向はバイセクシャルに落ち着きました。
解離性同一性障害と性同一性障害との間には「記憶の欠如があるか・ないか」という分かれ目があります。
似ているような名前でも、全然違うカテゴリーなのです。
大人になってから『解離性同一性障害』と診断された私ですが、この病気は患者数が少ないので、他の病気と間違えられる人がいるのではないかと冷や冷やです。
何故ならDIDの記憶障害は本人にとってはただの記憶障害に感じられ、人格(記憶の箱)が激しく交代しているのは身近にいる人にしか分からないからです。
私の場合も、「DIDなのではないか」とまず疑ったのは、一番身近にいるカノジョでした。
カノジョと一緒に受診することによって『解離性同一性障害』という病名が付いたのです。
それまで私は、記憶障害を「もう歳だからアルツハイマーとかを患っているのかしら」と思っていました。
セクシャルマイノリティーの病気というのは鬱や性同一性障害が有名ですが、その他、色々あるのです。
「死にたい」と思ったら、まず精神科に行ってみましょう。
先生に悩みを打ち明けたり、薬の治療で楽になる場合があります。
長生きをすると良いことがある場合もあります。
子供の頃、死にたがっていた私が、今、幸せに生きているように。
解離性同一性障害(DID)
私は「解離性同一性障害」という病気を患っています。
解離性同一性障害 記憶の引き出しが幾つもに分かれ、引き出しそれ自体が人格を持つことがある精神病です。
記憶の引き出しにアクセス出来ず、記憶が失われることがあります。
上記の文は藤間が書きましたが、専門家ではないので厚生労働省Webサイトからも引用しておきます。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_dissociation.html
「多重人格障害:これらの中でも多重人格障害はDSM(アメリカ精神医学会の診断ガイドライン)では解離性同一性障害と名づけられ、きわめて特徴的な症状を示します。患者は複数の人格をもち、それらの人格が交代で現れます。人格同士はしばしば、別の人格が出現している間はその記憶がない場合が多く、生活上の支障をきたすことが多くなります。」(厚生労働省Webサイトより)
性同一性障害(GID)
こちらも私は専門家ではないので、厚生労働省Webサイトから引用します。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_gender.html
「主な三つの症状があります。
・自らの性別を嫌悪あるいは忌避する。
・反対の性別に対する強く、持続的な同一感を抱く。
・反対の性別としての性別役割を果たそうとする。」
(厚生労働省Webサイトより)
セクシャルマイノリティー(セクマイ)
LGBTやLGBTsと表記される。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、その他を指す。
・レズビアン(女性同性愛者)
・ゲイ(男性同性愛者 使い方によっては同性愛者全般を指す)
・バイセクシャル(両性愛者)
・トランスジェンダー(性同一性障害)
・その他(多様にある)
同性愛者の自殺について考える
http://www.nhk.or.jp/heart-net/mukiau/shirou3.html
※この記事はガジェ通ウェブライターの「fujimashion」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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