【燻製】自家製ベーコンを作ってみた
今回は基本の「ベーコン」を作ってみようと言う事で、燻製作りにチャレンジです。と、言っても作り方は簡単で材料は「肉と塩のみ!」と言うシンプルさ。自作のベーコンは市販のベーコンとは別次元の美味しさなので、是非チャレンジしてみて下さい。
塩豚を作る
今回は「ベーコン」なので豚のバラ肉を使います。2本まとめて作る時は、もう一本は肩ロースを使って「ショルダーベーコン」を作ると面白いでしょう。
まず肉を水道水で洗います。目的は肉の表面に付着している雑菌を、水道水の塩素で少しでも減らす事と、ドリップ(血など)を洗い流す事です。
洗った肉はキッチンペーパーで水気を拭き取ります。言うまでもありませんが、必ず綺麗なキッチンペーパーを使って下さい。いくら綺麗に洗った布巾でも使用禁止です。
次に豚肉に塩を振り、ラップで巻きます。目的は「肉に塩分を与えて腐敗を防ぐ為」となります。
普通に冷蔵庫に置いておくだけでは、空気に触れている肉の表面から腐敗が始まりますが、塩を振る事で雑菌の繁殖を抑え、肉を腐敗ではなく熟成させるのです。
ちなみに塩はなんでも良いのですが、せっかくなので岩塩、もしくは「粗塩」(海水から作った粗目の塩)を使いましょう。
ラップの上に適量の塩(肉の重さの2%)を撒き、豚のバラ肉に塩を揉み込みます。今回は大きい方のバラ肉は1キログラムあるので、塩は20グラムです。
この時は必ず使い捨ての「ポリ手袋」をして作業します。どんなに頑張って手を洗っても無菌にはならないので、手を洗ってから「ポリ手袋」をして作業するのが燻製作りのコツです。
全体的に塩を揉んだらラップで巻いてからビニール袋に入れて冷蔵庫で寝かせます。1日1回、必ず肉をひっくり返して下さい。(下側だった面を上側にする)
数日経つと袋の中に血の混ざった水が出てきますが、一週間程度の熟成期間であれば、特に捨てる必要はありません。
再び洗って乾燥させる
一週間くら寝かした「塩豚」を冷蔵庫から取り出し、ラップを取り除きます。多少は色が悪くなっているかもですが、大丈夫です。理想は「肉が赤い」と熟成が進んでいる状態と言えます。
多少、ドリップから臭いはしますが、腐敗臭までは行ってないはずです。もしもドリップがネバネバして、腐敗臭が強かった場合は残念ながら失敗かもしれません。
「ベーコン」の作り方としては多めに塩を振り、後で「塩抜き」と呼ばれる作業をするのが一般的です。この方が均一に塩がまわるからです。
しかし、出来上がりの塩分濃度がイマイチ掴みにくいと言うデメリットもあります。なので今回は「塩抜きなし」の手順でベーコンを作ります。
また、適当にやっても「塩」はそこそこ均一にまわります。水分があるうちは肉の中に塩分が浸透するので、そんなに気を遣わなくても大丈夫です。
塩漬けされた豚肉、「塩豚」は表面にドリップが付着しているので水道水で再び洗います。この行程を怠ると、かなりの確率で腐敗するので、面倒くさがらずに洗いましょう。
使い捨てのポリ手袋を着用し、洗ったベーコンの水気をキッチンペーパーで拭き取り「たこ糸」で縛ります。この時に頑張って成形するように、綺麗に縛る人も居ますが、割と適当に縛っても大丈夫です。
縛ったベーコンを吊るして乾燥させます。吊るす事で余計な接触面が少なくなり、衛生的かつ効率良く乾燥する事が出来るのです。
また、この時に「扇風機」を使うと時間短縮になるのでオススメです。肉の表面がパッツンパッツンになったら乾燥終了です。
燻煙の準備をする
筆者は大型のスモーカーがあるので、あらかじめ余熱しておきます。冷えた状態から加熱すると菌が増殖しやすい30~40度の時間が長くなるので、少しでも早く加熱する為に余熱をするのです。
スモーカーの温度計が65度になったら乾燥させたバラ肉をスモーカーに入れます。今度は「熱乾燥」と呼ばれる行程です。
食材の表面に水分が多いと煙のノリが悪いので、より乾燥させるのが目的です。すでに前の行程で、ある程度は乾燥させてあるので30分ほど「熱乾燥」させれば十分です。
スモークウッドを入れて燻煙開始!
30分後、スモーカーの温度計が65度になっている事を確認したら、スモークウッドに着火して燻煙開始です。
スモークウッドとは、スモークチップを圧縮して固めた物で、スモークチップと違い継ぎ足しをする手間が省けるので人気があります。価格も1本500円前後なので、手間を考えたら安いものです。
スモークウッドの種類ですが、基本的には「桜」が色々使えて良いと思います。なので最初は「桜」で燻煙してみて下さい。
スモークウッドを入れると、スモーカー内部の温度が少し上がります。70度が理想です。目的の温度まで上がらない場合は、内部の電熱器のパワーを上げる、もしくは「炭」に火を付けて1~2個入れると良いです。
この時に80度を超えてしまうと「ただの焼き豚」になってしまうので要注意です。必ず70度で燻煙しましょう。
また、逆に温度が低すぎるのも駄目です。60度で大抵の菌は死ぬと言われていますが、最低でも65度まで温度を上げて下さい。
この、ほとんどの菌が死滅する70度で燻煙するのが大事なポイントです。燻製と言うと「スモークの香り」に気が行ってしまいがちですが、実際には保存性を高める為に殺菌し、コーティングするのが本来の目的です。
ここで言うコーティングとは、要するに「煙の中に含まれる樹脂」です。あの松ヤニみたいなベタベタし奴ですね。
燻煙する事で、スモークチップの中にある樹脂が煙に含まれ、その煙で食材を覆う事で、燻製後も食材の表面に雑菌が繁殖するのを防ぐと言う訳です。
ベーコンの完成!
燻煙時間は、ある程度は好みですが90分か120分が妥当でしょう。肉の大きさにもよりますが、1時間程度では肉の中心部の温度が60度に達していない可能性があります。
燻煙が終わったら速やかにバラ肉を室内で吊るします。スモーカーに吊るしておくと、再び「30~40度」と言う菌が繁殖しやすい温度帯になってしまうので、必ずスモーカーから出して冷まします。
当たり前ですが、この時も必ずポリ手袋をして下さい。肉を触る時は終始ポリ手袋が鉄則です。
完成したベーコンはキッチンペーパーで包み、綺麗なビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。
燻製したては煙のカドが立って、ちょいとエグいので数日置いてから食べる事をオススメします。
ベーコン作りと言うと素人には難しいと思われがちですが、作業自体は簡単です。あとはスモーカーなどの道具があるか無いかです。
塩は必ず計る(肉の2%)
肉を素手で触らない
温度は70度
この三点を守れば失敗する事はないでしょう。以上のレシピで作ってみて「ちょっと塩っぽい」と感じたら、次回からは「塩抜き」の行程を入れてみて下さい。乾燥させる前に小一時間、鍋に水を張り肉を漬けておくだけです。
筆者の場合、ベーコンは「調味料的な何か」として使う事が多いので、ある程度は塩分高めで作っています。この方が保存が効くし安全です。
そのまま食べて美味しいってベーコンだと、今度は少し塩が少ないと言う事なので、長期保存は出来ないと考えた方が良いでしょう。
ちゃんとした塩分を与え、衛生管理に注意して作ったベーコンは数週間は保存出来ます。そもそも「生ハム」が塩だけで何年間も熟成を続けられる事を考えれば、そう簡単に痛む食材でない事は想像出来ます。
あと、何度もしつこいのですが「ベーコンを切る時もポリ手袋必須!」である事を忘れないで下さい。素手で触ると、触った部分から雑菌が繁殖します。
それでは、みなさんも「自家製ベーコン」に挑戦してみて下さい。今は手軽なスモーカーも売っているので、道具を揃えるのも、そんなに難しくはないでしょう。
市販の水っぽいベーコンとは違う、本物のベーコンが味わえますよ。
※この記事はガジェ通ウェブライターの「YELLOW」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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