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与党が勢力維持、現実味を増す憲法改正

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【山本洋一・株式会社政策工房 客員研究員】

 総選挙が終わった。与党が公示前より1増の325議席を獲得し、全議席の3分の2の勢力を維持。民主党は伸び悩み、維新の党は微減となった。選挙結果について様々な論評がなされているが、一つだけはっきりしていることがある。憲法改正の現実味が増した、という事実である。

 
 与党の自民党は公示前より3減の290議席、公明党は4増の35議席を獲得。自民党の追加公認1人を加えると与党の勢力は公示前より2議席増え、326となった。圧勝した前回2012年衆院選並みの勢力を維持し、引き続き3分の2超を占有することとなった。

 
 自民党の谷垣禎一幹事長は衆院選の勝因について「安定した政治への期待」と分析してみせたが、それだけではないだろう。客観的に見れば、最大の勝因は野党の準備不足。想定外の解散により、野党第一党の民主党ですら定数の半分以下である198人しか擁立できなかったからだ。野党の中には選挙直前になって出馬を表明したり、国替えしたりした候補者も多かった。

 
 読売新聞が選挙直後に行った世論調査によると、与党が圧勝した選挙結果を「よくなかった」と考える人が46%で、「よかった」の38%を上回った。この調査から読み取れる有権者の本音は「与党の候補者以外に有力な選択肢がなかった」というもの。同じ調査で「自民党に対抗できる野党が必要」と考える人は82%に上った。

 

首相が会見で「憲法改正は悲願」

 
 安倍晋三首相は今回の勝利により、4年間の「フリーハンド」を得た。政府・与党内における発言力は増し、早くも来年秋の総裁選には「誰も出馬できないだろう」との観測が漏れる。私の知人である、某紙の政治記者は「与党の発言力は限りなく低下し、首相官邸の主導権が強まる」という。

 
 その首相が意欲を示すのが憲法改正だ。首相はかねて積極的な改憲論者として知られ、選挙後の記者会見でも「憲法改正は悲願であり、自民党結党以来の目標だ。そのためには国会の3分の2以上の議席に加え、国民の理解が重要。憲法改正の必要性を訴えていきたい」と意気込んだ。

 
 改憲には衆参両院で「総議員」の3分の2以上の賛成が必要だが、今回の与党圧勝により、衆院におけるハードルはクリアした。与党の勢いが続けば、2年後の参院選で参院のハードルも越えられる可能性もある。共同通信がシミュレーションによって今回の衆院選の投票結果を次期参院選に当てはめてみたところ、改憲勢力が3分の2を上回ることがわかったのである。

 
 参院の定数は242。このうち改憲に前向きな与党と維新の党、次世代の党の議員数は現在、152人を占めている。さらに今回の衆院選の投票結果を次期参院選に当てはめると自民党が大勝し、単独で参院の過半数を占めるほか、改憲勢力全体で3分の2である162議席を上回るという。これまで「現実的に不可能」と言われてきた憲法改正が、ぐっと現実味を帯びる。

 
 このまま行けば2016年夏の参院選は、改憲の是非が最大の争点となるかもしれない。その時には、今回の衆院選のように2人に1人しか選挙に行かないなんてことがあってはならない。たった半数の国民によってこの国の行く末が決まれば、後に大きな禍根を残すことになる。

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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