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話題の心理サスペンス『オオカミは嘘をつく』監督インタビュー「子供の頃から意識してきた“隣人への猜疑心”」がテーマに

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タランティーノが“2013年のナンバーワン映画”に選出した、イスラエルの新感覚心理トラップムービー『オオカミは嘘をつく』。11月22日より公開となり、映画ファンの間で話題となっています。

本作は、イスラエルの森の中で起きた、ある凄惨な少女暴行殺人事件がきっかけに、気弱で善良そうな容疑者、容疑者に復習を企む被害者の父親、型破りな不法捜査に乗り出す粗野な刑事という3人の登場人物たちが繰り広げる心理戦が見所のサスペンス。本作を手掛けた新進気鋭の映画監督アハロン&ナヴォットは、本作での注目をうけ、ジョニー・トー監督のノワール・アクション『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』のリメイクが決定しています。

今回は、アハロン・ケシャレスとナヴォット・パプシャドに映画についてインタビュー。「日本映画大好き! 三池崇史大好き!」というお2人の映画愛がビシビシ伝わってきましよ!

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http://getnews.jp/archives/697749 [リンク]

―『オオカミは嘘をつく』大変スリリングで、緊張しながら拝見させていただきました。本作制作のきっかけは?

アハロン:前作の『マッドネス 狂乱の森』を撮った後、次はどんな作品を作ろうと思った時に、以前より描きたかった小児性愛というテーマがあって。でも、普通のドラマにしては僕らっぽくない。そして『ダーティ・ハリー』っぽい刑事モノも作ってみたい、復讐に燃える父親も描いてみたいという想いがあって、それを一つの映画にしちゃったらどうかと思って出来たのがこの映画なんだ。

―日本の観客からするとイスラエルの社会情勢に詳しく無いという事もあり、これまでに観た事の無いタイプの映画といいましょうか。非常に新鮮な描写の連続でした。

アハロン:イスラエルは軍が力を持っている事も関係して、すごくマッチョな男性社会なんだ。徴兵制があるので、子供の頃から自分の父親が軍の訓練をしているのを見ていたしね。中東という扮装が絶えない地域でもあるし、小さな頃から「生き延びる/生き延びるには」という事を自然と意識して生きてきた。毎朝新聞を見る度に、僕は色々な人から命を狙われていると感じるんだ。そういう中で生きていると、どうしても隣人や周りの人に猜疑心を持ってしまう。だから、そんな猜疑心や社会への不信感というのが映画を作っても色濃く出てしまうんだ。

『オオカミは嘘をつく』で言うと、子供達を殺した犯人なのでは無いかと疑われている人物が出て来るけど、刑事や被害者の父親は「事件を解決する為」という大義名分を持って、自分達が抱えているパラノイア(妄想症)のはけ口にする様に彼を激しく拷問する。そうした社会に対する寓話ともとれる物語を作ったんだ。

―日本でも残念ながらこうした子供が被害者となってしまう事件が多いのですが、その度にネット上では「極刑を求める」「同じ目に合わせろ」と言った色々な論争が起こります。私もそう思う事もあります。けれど、実際に「この人が犯人なのでいくらでも危害を加えて良いです」と言われた時人間はどんな行動をとるのか? 色々な事を考えてしまいました。

ナヴォット:児童愛好家が出て来る映画って、犯人が最初から分かっていて追いつめる過程を楽しむといった様な作品が多いと思うんですね。実際に、自分の家族や大切な人が殺害されて、犯人だろうという人に“自由に制裁を加えて加えて良い”という状況になったとして、人間はどんな行動をとるのか。ネット上では「被害者と同じ目に合わせろ」「死刑では足りない、もっと厳罰を」などと発言出来ても、そんなに簡単な事じゃない。

この映画はブラックユーモアも多く取り入れているので、クスっと笑えるシーンもあるんだけど、あっという間に悲劇に展開する。最後にはこうした事件の難しさ、恐ろしさ、悲しさを感じて欲しいという気持ちで作っているんだ。

―本作、日本ではR-18指定ですが、本国でのレーティングはいかがですか? イスラエルと日本の映画事情の違いもあるのでは無いでしょうか。

アハロン:イスラエルではジャンル映画というのがほとんど無くて、レーティングがつく映画というのはほとんどポルノ要素なんだ。前作の『マッドネス 狂乱の森』の時にR-18指定と言われて僕たちがものすごく抗議したから、『オオカミは嘘をつく』については検閲者が「この間みちあに食い下がってきたら面倒だぞ」と思ったそうで、R-16で上映する事が出来たんだ。

ナヴォット:イスラエルでは三池崇史の『殺し屋1』と同じレーティングなんだよ。アレに比べたら全然ショッキングじゃないよね!? 僕は三池監督の作品が大好きなんだ。それまでも、黒澤明監督、北野武監督の作品を観ていたけど、アハロンと出会って(アハロンはナヴォットの専門学校の講師)、さらに多くの日本映画を知る事が出来た。最近では園子温監督も好きで注目しているんだ。

アハロン:ナヴォットはもちろん、僕ももともと映画が大好きで、色々な作品を観て、色々な監督に憧れてこうして映画を作っている。だからこそ、尊敬する監督の一人であるタランティーノが『オオカミは嘘をつく』を絶賛している事を知ってとても興奮したよ。日本の、僕たちと同じ様にジャンル映画がたまらなく好きな皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいな。

―今日はどうもありがとうございました。

映画『オオカミは嘘をつく』ストーリー

イスラエルの森の中で起きた、ある凄惨な少女暴行殺人事件。気弱で善良そうな容疑者、容疑者に復習を企む被害者の父親、型破りな不法捜査に乗り出す粗野な刑事――。本当に容疑者は犯人なのか? 被害者の遺族はここまで過剰な復讐(しゅう)を許されるのか? 刑事=正義と言えるのか? あなたの固定観念は覆り、これまで経験したことのない感情が沸き起こる。そして、衝撃の結末が待ち受ける……。果たして本当の“悪”とは何なのか――!?

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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