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ジュネ監督『天才スピヴェット』は3Dで見るべき? 仏映画界の巨匠が3D演出に初挑戦した理由とは……

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T.Sとホットドック

フランス本国と日本で驚異の大ヒットを記録し、観る者すべてを幸せにした『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督。その待望の最新作『天才スピヴェット』が、11月15日(土)より全国順次公開となります。

10歳の天才科学者スピヴェットが、権威ある科学賞の授章式でスピーチをするため、アメリカ大陸を横断する“壮大なスケールの家出”を描いた本作。いつもは風刺やブラックユーモアを盛り込んだストーリーが魅力的なジュネ監督ですが、本作では“感動作”という新境地を切り開いていることでも話題を集めています。

ジュネ監督

そして注目は何と言っても、ジュネ監督が初めて挑戦した3Dによる映像演出。3D映画と言えば、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』がまず頭に思い浮かびますが、「観るのではない。そこにいるのだ。」というキャッチーコピーの通り、映画館にいながらにして自分がその映画の世界に入り込んだような体験ができることで多くの人に衝撃を与えました。映像の奥行きを3Dで表現した『アバター』以降、これまで公開されてきたさまざまな3D映画の中には、一見すると最新の映像技術とは縁がなさそうに思える“巨匠”と呼ばれる監督たちの名作も多く含まれています。

『タクシー・ドライバー』(’76)、『グッドフェローズ』(’90)で知られる、マーティン・スコセッシ監督は、映画『ヒューゴの不思議な発明』(’11)で、“世界初の職業映画監督”と言われたSFXの創始者であるジョルジュ・メリエスを題材にし、彼が観客に提供した“映画のマジック”を3D映像で追体験させる見事な演出を披露。アカデミー賞では同年最多の11部門にノミネートを果たし、撮影賞や視覚効果賞を含む5部門で受賞。映画という文化を保存・伝承することの重要性を訴えるスコセッシからのメッセージは、多くの人に感動を与えました。

『パリ・テキサス』(’84)、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(’99)で知られる、ヴィム・ヴェンダース監督は『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(’10)でアート系作品世界初の3Dに挑戦。「舞台は“生”で鑑賞するもの」という既成概念をぶち壊し、その空間をも映像化したいという想いから完成した作品は、「5感のすべてを圧する映像体験革命」と評されました。

ジェームズ・キャメロンに「3D映画の概念を崩した」と言わしめたのは、『ブロークバック・マウンテン』(’05)、『ラスト、コーション』 (’07) で知られるアン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(’12)。“映像に新たな次元を与える”という想いからから、「薄気味悪いほどの自然なリアリズム」「映像の可能性を極限まで引き出した圧巻の映像美」と評される新しい映像表現を実現し、公開翌年のアカデミー賞で最多受賞を獲得しました。

ジュネ監督_2

彼らに追随する形で3D初挑戦となったジュネ監督は、「子供の頃、ビューマスターという3D映像が見られるおもちゃが好きだったんだ」と昔から3Dに興味があったことを明かし、「原作本は、余白部分に地図、スケッチ、人物画、メモなどの小さな絵が添えられている。それらをスクリーンから飛び出させて劇場中を漂わせるためにも3Dが必要だった」と、3Dで撮影するという前提で脚本を書いたことを説明しています。

T.Sの分析

また、『アリス・イン・ワンダーランド』『ダーク・シャドウ』など個性的な役を演じることが多く、本作で昆虫博士であるちょっと風変わりな母親役を演じたヘレナ・ボナム=カーターは、「これまでこの映画のような3D映画は見たことがなかったわ」とジュネ監督を絶賛。「誰かの頭の中を描くために使われ、誰がどう考えているのかを可視化していて、しかもこの少年は普通じゃない頭を持っているのだから、とても新鮮でオリジナルで、この映画のお題にぴったりの手法だと思ったわ!」と公開が楽しみになるコメントを述べています。

ジュネ監督は、「次に3D映画を撮るとしたら、メガネなしでも3Dとして見られる技術に進化してからかな」と語っているようですが、主人公のアイデアが手品のごとく画面に飛び出してくるジュネ監督の作風はまさしく3D向き。本作では飛び出す絵本のような映像世界に、今まで感じたことのない楽しさを味わうことができるはずです。

映画『天才スピヴェット』公式サイト:
http://spivet.gaga.ne.jp/

『天才スピヴェット』クレジット
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記者:

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

TwitterID: stamina_taro

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