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「主婦力」を生かす企業経営 優秀な人材を安く買い叩くことにならないか

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買い物をする時、「夫と妻のどちらに購入の決定権があるか」というアンケート調査によると、食品や住宅関連用品、家電製品や旅行時の宿泊先、マイカー購入など、幅広い買い物で妻が決めるケースが多いという。

その反面、販売する側の多くが男性社員で、買い手の心理との間にギャップも生じやすい。2014年10月28日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、購買のカギを握る女性の心をつかむため、主婦の力を活用して商品を売っていこうとする動きを紹介していた。
派遣先で「主力商品」の売り上げアップを任される

東京・南青山の女性専門の派遣会社「インブルーム」。登録者のほとんどが主婦で、仕事の内容や経験によって差はあるが、時給は1000円から2000円で個人の状況に合わせた働き方ができる。

「主婦は、表に出てきていない宝の宝庫だと思います」。そう話す社長の野村洋子さん(51)は、10年前まで広告代理店で営業を担当していた。当時、顧客だった住宅関連会社の社長からこんな悩みを打ち明けられた。

「家を購入するときのキーマンは奥さんなのに、会社の中は男性が全て商品企画をして、お客と接しているのも男性。どうしたらいいんだろう」

その言葉で、企業の営業担当には女性が少ないことに気づき8年前にこの会社を立ち上げた。すると狙い通り依頼が殺到、いまでは40社以上に営業レディーを派遣している。

登録者のひとりで川崎市の主婦、松尾実里さん(39)は、不動産会社の営業で8年間勤務し、売上全国1位を獲ったこともあるが、出産を機に4年前に退職した。その後、インブルームに登録し、宮城県の「東北いちば」に派遣されている。

松尾さんは主力商品「しそ巻き」の首都圏での売り上げアップを任された。これを販路拡大の足掛かりにするという重責だ。マルイ溝口店では冷蔵の「ご飯のお供コーナー」にあり、しそ巻きは佃煮や塩辛など強力なライバルのなかで埋もれている状況だ。

松尾さんは焼酎のおつまみとして、人通りも多い日本酒の試飲コーナーに商品を置かせてもらうことにした。常温で保存できることを知った上での戦略で、売り場責任者も「気づかされた」と感心していた。
店長がパート主婦を頼りにするスーパー

イベント関連会社で6年間営業をしていた埼玉・川口市の尾田美和さん(39)は、かつての社長に「相手のかゆい所に手が届く営業マンになれ」と教育された。現在は収納アドバイザーとして、住宅メーカーなどで活躍している。

小学生と保育園児の子供をもつ藤原亜弓さん(39)は、新築住宅を購入した客に、およそ30万円の床コーティングを販売する仕事をしていた。熟年夫婦は3日前にも男性に営業されていたが、購入を迷っていた。藤原さんの「ジャムや油を垂らしてもすぐに水拭きできる」など分かりやすい話を聞いて購入することに決めたそうだ。

番組では、埼玉県を地盤とするスーパーマーケット「ヤオコー」の、パート社員のモチベーションをアップする取り組みも紹介した。パートでも売り場の販促方法や新人指導を任され、ボーナスも定期的に出る。優秀な人には表彰のほか、海外研修旅行もあるという。

さいたま市の浦和大久保店で調理実演コーナーを担当するパートの平野美和さん(40)は、売り出したい素材のレシピを自ら考え作っている。客とコミュニケーションをとりつつ売り上げにつなげる平野さんは、店長にたびたび呼び出されていた。

「旬の生秋鮭を使ったメニューを考えて」
「新商品の豆乳鍋のつゆのキャッチコピーを考えて、販促ポップを作って」

店長の求めに、平野さんは10~30分という短時間で店長の期待を上回る対応をしていた。加治屋店長は「私ではまずできない。主婦目線だと思う。任せて安心なところはあります」と話し、平野さんを完全に頼りにしている様子だった。
視聴者から「結局は搾取に見える」との厳しい声も

平野さんは週5日、9時から18時まで働いて、帰宅後は毎日新作レシピを試作している。その給料は、手当を含む月17万円ほど。そこから健康保険などが引かれ、年2回のボーナスは1回6万円足らずだ。

彼女は今後正社員を目指すというが、これほど優秀な働き手の適正な給料なのかどうか、正直言って疑問を感じてしまった。ネットにも視聴者から「正社員として本社登用してあげろよ」「何でもいいけど、労賃上げましょう」「結局は搾取に見えるんだよなぁ」などという批判もあがっていた。

経験を積み、優秀でやる気のある社員を正社員にしなくても即戦力で雇えるのなら、企業としてはありがたいだろう。主婦からすればこうした動きは選択肢が増えてやりがいもあり、現状のベストなのかもしれない。ただ、主婦ということで優秀な人材が買い叩かれ続けるのではないか、という心配もぬぐえないものがあった。(ライター:okei)

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