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湘南で最近よく見かける「牛乳ラーメン」、その誕生秘話とは?

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横浜のココがキニナル!

神奈川独自のラーメンと言えば横浜家系。西湘は平塚のタンメン。その手前の湘南は…牛乳ラーメン!?藤沢の老舗「こぐま」に続いて辻堂に「しろくま」がオープン…キニナル。(スさんのキニナル)

はまれぽ調査結果
元プロボクサーが独立を機にはじめたのが「こぐま」で、今は別の方が引き継いでいる。「こぐま」の製法を教わりアレンジしたのが、「しろくま食堂」

「牛乳ラーメン」の震源地へ

藤沢市の北口、市役所へ向かう途中の裏路地に、常に行列が絶えない一軒のサッポロラーメン店がある。店内をのぞいてみると、調理場を囲むような、コの字型のカウンターのみとなっていた。


午後2時ごろでも、店内は満員の様子

これこそが、藤沢市のラーメンファンなら知らない人はいないと思われる、老舗ラーメン店「こぐま」。同店の「牛乳ラーメン」は、創業当初からの人気メニューとなっており、市外から訪れる人も少なくないようだ。早速、休憩時間に取材を申し込んでみたのだが、「忙しいから」と、あっさり断られてしまった。

そこで、JR辻堂駅近くにある「しろくま食堂」を、訪ねてみることに。これが、逆に「牛乳ラーメン」の真相に近づくきっかけとなるとは、その時は知るよしもなかった。

「しろくま」と「こぐま」の関係は?

取材を受けていただいたのは、「しろくま食堂」の店主、加藤さん。
以前は大和市で同名のラーメン店を営業していたのだが、今から約1年前の2012(平成24)年3月に、辻堂元町1丁目のこの地に同店をオープンしたそうだ。オーナーの自宅が辻堂にあったこともあり、この場所に空きテナントが出たのをきっかけに、移転に踏み切ったという。


「くま」つながりを感じさせる「しろくま食堂」外観


鍋で牛乳を温める、加藤店長

「牛乳ラーメン」は、同店でも一番人気となっているそうだが、移転をきっかけに始めたものなのだろうか。また、「こぐま」との師弟関係のようなつながりは、果たしてあるのだろうか。

この点について加藤さんは、「牛乳ラーメンは、大和市の店舗でも提供していた」という。どうやら、「みそラーメン」に並ぶ人気メニューを模索していた同店社長が、あるとき、「こぐま」の評判を聞きつけたらしい。そして、加藤さんに、「『こぐま』へ行って作り方を教わってこい」というムチャ振りをしたようだ。


1Fはカウンター7脚、2Fは23席の座敷となっている、店内の様子

言う方も言う方なら、行く方も行く方という気がする。さらに、訪ねられた方も訪ねられた方という展開が、この先に続く。「こぐま」の生みの親である山神さんは、意外にもあっさり伝授してくれたそうだ。
「しかし、(山神さんは)さじ加減がすべて目分量なので、細かなところは自分で研究するしかなかった」と話す加藤さん。結局、数回ほど教わったのみで、一部のブログに書かれているような「修行」は、ほとんど行っていないらしい。


「こぐま」をベースにした、「しろくま」独自の牛乳ラーメン(750円)

逆に、独自の味を打ち出そうとした加藤さん。豚足と鶏ガラをベースに、野菜をたっぷり煮込んだスープを使用し、牛乳のクセや臭みが残らない「あっさり」とした味を目指しているとのこと。
確かに「こぐま」と比べてみると、クリアなキレのある風味が、その特徴となっているようだ。

今明かされる、「こぐま」誕生の経緯

加藤さんによれば、その後「こぐま」は店主が2回ほど変わっているので、現在の店主とは直接面識がないそうだ。そして、当の山神さんは、藤沢市内でボクシングジムを経営しているという。
牛乳ラーメンとボクシング、そこには一体何の関係が…。早速、そのジムを紹介してもらい、山神さんを訪ねてみることにした。


藤沢市西富にある、協栄山神ボクシングジム外観

JR藤沢駅から歩いて20分ほど、遊行寺交差点の近くに、そのボクシングジムはあった。ジム内に入ってみると、汗臭いような印象とは裏腹に、若い女性がリング上に立っていた。


左側でミットをはめているのが、山神会長

1968(昭和43)年設立以来、すでに日本チャンピオン2人を輩出させているのが、この協栄山神ボクシングジム。練習に励んでいた藤沢市内在住のSさんによれば、「ボクササイズではなく、本格的なボクシングを学べると聞いて、興味を持った」と話していた。

さて、山神会長に「牛乳ラーメン」の件を確認してみると、確かに「こぐま」の生みの親だという。そればかりか、最初はこの場所で、「牛乳ラーメン」を作っていたと話す。


75歳なのにこの若さ、元気の秘密はどこにあるのだろう

会長は1955(昭和30)年頃、都内の目黒区にあった野口ボクシングジムに所属し、現役のボクサーとして活躍していたとのこと。やがて野口ジムの近くに、当時としては珍しかった札幌ラーメンの専門店ができると、すっかりその味にほれ込み、通うようになっていったという。


野口ジムから独立していった、若かりし頃の金平正紀氏(右)と、山神会長(左)

一時は、目黒の有名とんかつ店「とんき」の料理人を引き抜き、金平氏と「とんきん」というとんかつ店を経営していたという山神会長。やがて、指導者への道を歩み始めると共に、これから流行しそうな札幌ラーメン店も開こうと考えたそうだ。そこで、札幌ラーメンの専門店で一週間ほど修行をさせてもらうと、協栄山神ボクシングジムの開設後、ジムの一角でさらに研究を重ねたという。

そんなとき目に付いたのが、当時藤沢駅前の「さいか屋」で売っていた「4.5牛乳」。一般の牛乳より脂肪分が高いので、コクのあるクリーミーなラーメンが作れるのではないかと、ひらめいたらしい。


「青線地区」としての歴史を持つ、藤沢駅北口周辺

一方、当時の藤沢駅北口では、風俗店などを藤沢新地へ移す再開発計画が進められていた。今の「こぐま」の土地は、もともとすし店とスナック店があった場所なのだが、その影響で閉店してしまったそうだ。そこで1970年代のはじめごろ、その土地を購入し、初代「こぐま」が開店することになった。

その後、ジムが軌道に乗り始めたこともあり、「こぐま」は台湾出身の方に売却。現在は、「また別の方が引き継いだと聞いているが、行ったこともないし行こうとも考えていない」と、会長は話していた。

なぜボクサーは、ラーメン店を開くことが多いのか

元ボクサーが引退後にラーメン店を開くケースは、ほかの業種と比べても、意外に多いような気がする。同ジムに所属していた第12代日本ジュニア・ミドル級王者、堀畑道弘氏も、以前反町のラーメン店で料理人として働いていたそうだ。

この点について山神会長は、「ラーメン店は、個人で起業するには、比較的始めやすい商売」と話す。野球などのチームプレイと違い、ボクサーは孤独で、内面に向かいやすい。したがって、1人で黙々と作業するラーメン店は、ボクサーとの相性がいいのかもしれない…という訳だ。


減量から来る、汁ものへの憧れも、あるのかもしれない

また、「体を作るのは食事なので、健康面も含めた食へのこだわりは、人一倍ある」と話す山神会長。かつて考案した「牛乳ラーメン」は、化学調味料などを一切使用していないそうだ。今でも、同ジムに所属するボクサーのために、コラーゲンスープなどを作ることがあるという。

湘南名物として定着するか、「牛乳ラーメン」

言われてみれば「牛乳ラーメン」は、特に飲んだ後など、すーっと胃に染みこむ体に優しいラーメンだ。健康管理の達人ともいえるプロボクサーと「牛乳ラーメン」、その関係が、何となく分かってきたような気がする。

今後、山神会長の健康志向を継承するようなラーメン店は、ロハスな湘南に定着していくかもしれない。一方、奇をてらった「変わりダネ」というスタンスならば、飽きと共に遠ざけられてしまうだろう。鎌倉市など藤沢市以外にも広がってきた「牛乳ラーメン」。そのパンチは、ボディーにどう響いていくのだろう、今後のラウンドを見守っていきたい。

―終わり―

◆しろくま食堂
住所/神奈川県藤沢市辻堂元町1-3-25
電話番号/0466-37-0802
営業時間/11:30~14:30 17:30~翌5:00(火~土)
11:30~22:00(日)

◆協栄山神ボクシングジム
住所/神奈川県藤沢市西富1-3-16
電話番号/0466-26-4563
練習時間/PM1:00~PM9:00(月~土)
PM1:00~PM3:00(日・祝)
http://www.geocities.jp/yamagami_bg/

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記者:

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