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「コミックと映画の垣根など叩き壊してしまえ!」高橋ヨシキが『300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』徹底解説

場面写真②

たった300人の重装歩兵で100万のペルシア軍を迎え撃つ、スパルタ王レオニダス率いる男達のマッチョな闘いを描いた『300<スリーハンドレッド>』から7年後、待望の続編『300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』が今夏公開された事は記憶に新しいはず。ガジェット通信ではこの映画に感化されたボンクラ男子が、ムキムキの戦士に変身する姿をご紹介しました。

ポチャ・ガリ・チビの3人は『300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』ばりのマッチョになれるのか!?
http://getnews.jp/archives/589567 [リンク]

そんな『300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』を、『映画秘宝』アートディレクター、デザイナー、映画評論家の高橋ヨシキさんが独自の視点で徹底解説! 特製コラムが到着しました。

高橋ヨシキ特製コラム全文掲載

コミックと映画の垣根など叩き壊してしまえ! ここはスパルタだ!
文:高橋ヨシキ

コミックを原作とする映画がボックス・オフィスの上位を独占するようになって久しいが、「コミック表現の映像化」という意味において本作を超える作品はついぞ現れていない。『300<スリーハンドレッド>』はそれほどまでに革新的な映画であり、映画、テレビ を問わずその後の映像表現に与えた影響も計り知れない(とくにサム・ライミ製作のテ レビドラマ「スパルタカス」シリーズは『300<スリーハンドレッド>』の直接の申し子だと言ってよい)。

フランク・ミラーのコミックを映画化するにあたって、監督ザック・スナイダーはコミック自体を絵コンテとして採用した。マンガそのままのマッチョ体型を創り上げるために、主要なキャストは8週間に渡ってハードコアなトレーニングを強いられた。コミックの世界観を完全に再現するため、ほぼすべてのカットに特殊効果(VFX)が加えられ、その作業は一年以 上に及んだ(『300<スリーハンドレッド>』の全カット数は 1523 カットで、そのうち 1300 カット以上が VFX 処理されている)。レオニダス王が前進しながら敵を次々と倒していく長回しのカットは本作の代名詞ともいえるものだが、この場 面は素早いズーム・イン・とズーム・バックを繰り返すことで1カットの中に「コミックのコマ割り」を表現してみせた。戦い の直前のレオニダス王のアップでは、CG を駆使して片目が大きくーー現実にはあり得ないほどーーデフォルメされた。 血しぶきはひとつひとつが「紙の上にインクを飛び散らせたものに見えるよう」描き込まれた。コミック独自の表現を映 像に落としこむために、『300<スリーハンドレッド>』には文字通りありとあらゆるテクニックが投入された。

こうして完成した『300<スリーハンドレッド>』は極めてオリジナルな作品となった。『300<スリーハンドレッド>』は脈動するイラストレーションのよう であり、どこまでも絵画=コミックに接近しつつ、しかしまぎれもなく「実写 映画」である、という離れ業をやってのけたのだ。「コミックを忠実に映像に 置き換える」というとあたかも制約が多いように感じられるかもしれないが、 逆説的に『300<スリーハンドレッド>』は「表現はここまで自由になれる」ということを示したように思われる。役者の顔をコミックに合わせて自由に変 形させてもいい。人間のサイズだって自由に変えていいし、地上のシーンを 水中で撮影したっていい(巫女が踊る場面は巨大な水槽の中で撮影された)。歴史上の事件を扱っているといって「時代考証」などにとらわれる必 要はない。「映画」あるいは「表現」は好き放題やっていいんだ、というごく 当たり前の事実に改めて気づかせてくれる。そういった意味で、物理法則を無視しているだとか、あるいは史実と違うといった批判はすべて的外れ だ(もしくはスペースオペラに対して「宇宙では音なんかしないんだよ」と言うような野暮の骨頂と同類である)。

『300<スリーハンドレッド>』はーー原作と同じくーー野蛮で血生臭く凶暴なファンタジーだが、いみじくも劇中でレオ ニダス王が「狂っているだと? ここはスパルタだ!」と叫んだのと同じように、「これが『300<スリーハンドレッド>』 だ!映画とコミックの垣根など知ったことか!」と叫んでいたのだ。

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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