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「社是」に背いて業績好調 カインズホームは「パートにも報奨金出す」

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「社是」に背いて業績好調 カインズホームは「パートにも報奨金出す」

「ホームセンター日本一」の売り上げを誇るカインズホームは、全国に194店舗を展開し、売上高は3700億円に迫る勢いだ。2014年10月16日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、創業者の方針に背いて小売り専門から脱却した2代目社長・土屋裕雅氏(48)の経営戦術を紹介していた。

カインズでは、客が飽きずにリピーターとして店を訪れるというが、そのワケは安さだけではない。パンクしにくい自転車や、ご飯がこびりつきにくい茶碗など、他にはないオリジナル商品が毎週売り場に投入されるためだ。
3000万円かけ全国の従業員を集めヒアリング

埼玉県本庄市の本社で働く従業員数2432人のうち、開発担当の社員は150人を占める。年間9000点もの新商品を世に送り出し、新商品の仕上がり具合は毎週月曜日に社長が直接担当者から話を聞く。

1件につき3分と短いが、すべて終えるのに4時間は続くマラソン会議だ。ここで土屋社長がふるいにかけ、GOサインが出なければ商品化はされない。

商品開発をさらに強くしているのが、年2回本社で行われる「新商品展示会」だ。貸し切りバスや飛行機などを使い、北海道から沖縄までのパートや社員など1700人に集まってもらう。客に接する現場の従業員から、商品について思いのままの意見を聞くためだ。

あるパート女性は、LEDライトの明るさを示す単位が「ルーメン」であることに気づき「何ワット相当」という表示も必要だと指摘した。4日間で3000万円もの費用がかかるが、土屋社長は「現場の声を謙虚に聞いて経営に生かす。生活を楽しく、お客様の生活を変えるために頑張る」と語る。

月の売上目標を達成すると、社員だけでなくパートにも報奨金が出る。「元気が出る制度」といって、金額は売り上げによって違うが、あるパート社員は2500円をもらって「うれしいですね。やる気が出ます。夕飯のおかずもボリュームアップします」と笑った。支給額について訊かれると、土屋社長はこう答えた。

「毎月分と年次分を足して、昨年でしたら9億円弱。会社が利益を出した時に、全員の頑張りによって達成できたわけだから、還元しようということです」

一番の脅威は「ネット通販、特にアマゾン」

カインズは、群馬に本社を置くベイシアグループのひとつだ。ベイシアグループは、スーパーベイシアや作業着のワークマンなど28社からなる巨大グループで、総売上高は8000億円。これを一代で築いたのが、土屋社長の父、嘉雄氏(82)だ。

1959年、嘉雄氏は伊勢崎市で衣料品専門店「いせや」を開業。高度成長期で住宅関連の商品が売れると踏んで「いせやホームセンター」を立ち上げた。これが今のカインズで、安さを武器に全国チェーンにまで成長させた。

創業者が掲げた社是には「売ることに徹し製造には参入しない」という意味の「商工分離」という言葉があるという。その方針に背き、2代目の土屋裕雅社長が自社製造に梶を切ったのは12年ほど前。初めて訪れた中国の展示会で、商品の質と安さに衝撃を受けたためだ。

土屋社長は「『仕入れ』を中心にしている限りは、どこでも同じものになってしまう。差別化の要因は『価格』しかなくなる」と動機を語った。

「あの商品をカインズで買おう、と思われるような商品を作らないと成長は難しい」

と話す土屋社長は、現在のライバルはネット通販で、一番の脅威はアマゾンだという。対抗するには、オリジナル商品の開発に力を入れるだけでは難しい。
社是は変えたが商売の王道は守る

ネット通販に対抗するため、「商品を試すことができるのがリアル店舗の最大の武器」と考えた。高圧洗浄機を試せる場を設けるなど体験型の展示や、建設現場の職人向けのサービスと品ぞろえの充実、自転車など専門知識の高い人材確保などによって生き残りを図っている。

父である創業者の方針に背いて自社製造に踏み切った、と言われる土屋社長だが、カリスマ創業者の嘉雄氏は、「商品を安く売る、人を大切にする。お客様との我々の接点は商品しかないんだから」と笑っていた。「商工分離」は変更したが、客や従業員を大切にする姿勢が損なわれなければ、商売の王道からは外れないということだろう。(ライター:okei)

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