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6年前の退職は「不当解雇」に違いない! いまさら会社を訴えることはできるのか?

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Aさんは47歳の男性。30代から薬品卸の会社に勤めていたが、6年前のリーマンショック時に上司から退職勧奨とパワハラを受けた。

上司は会社のリストラ方針を受け、ノルマを上乗せし、未達成を理由に自己都合退職を迫った。Aさんが拒否したところ、上司は仕事ぶりなどについて細かいことを叱責し始め、業務後にたびたび反省文を書かせた。

さらに書いた反省文を読まずにゴミ箱に捨て、暴言を吐くなど、上司のパワハラはエスカレート。うつ状態になってしまったAさんは、これに耐えられなくなって、意識が朦朧としたような状態で退職勧奨を受け入れたという。
ICレコーダーに「証拠」も録音しているが

退職後もAさんは心身の調子がすぐれず、就職先も見つからない。実家で親の介護をしながら通院していたが、最近「あれは不当解雇だったのではないか」と思うようになった。

幸い当時の上司の発言はメモに残しており、一部はICレコーダーに録音もしている。手帳には勤務時間が書かれており、賃金不払い残業の証拠にもなるのではないか。

しかし会社に訴えてもそのようなことを、受け入れてくれるとは思えない。いまさらではあるが、憎き会社を裁判に訴えることはできないだろうか…。職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。

――パワハラをして精神的に追い詰めたうえで退職勧奨を行い、従業員を退職させる…。解雇を避け合意退職にするための典型的な手口ですね。使用者が労働者に対し、正当な理由なく反省文を書かせたり、暴言を吐いたりする行為は、パワーハラスメント(パワハラ)に当たり、損害賠償責任を発生させうるものです。

また、退職勧奨が社会通念上相当性を欠く方法により行われた場合も、使用者は、労働者に対し、法的責任を負うことがあります。度重なるパワハラ行為によって正常な判断能力が失われた労働者にむりやり退職を強いたような場合は、これに当たる可能性が高いです。

今回の場合は、ICレコーダーに録音もあるようなので、証拠として裁判所に提出し、パワハラや退職強要の事実を認めてもらうことも必要です。
「債務不履行」なら消滅時効期間は10年

しかし、時効には要注意です。違法な行為があった使用者の責任を追及する根拠としては、不法行為(民法709条、715条)と債務不履行(民法415条)の2つが考えられますが、不法行為に基づく損害賠償請求権は、時効によって3年で消滅、債務不履行を根拠として請求をする場合、消滅時効期間は10年となります。

あなたの場合、すでに退職から6年が経っていますが、債務不履行に基づいて会社を訴えるのであれば時効を気にすることなく、裁判をすることができます。なお、時間外労働(残業)に関しては時効が2年のため、残念ながら未払賃金を会社に請求することはできません。

退職の意思表示が無効であるとして、雇用関係が現在まで続いていると主張し、時効にかかっていない直近2年分の賃金を請求することも考えられます。働けないことについて会社に責任があるため、労働者は賃金請求権を失わないという理屈です。

しかし裁判所は、解雇から長期間が経過した後は、信義則上もはやその無効を主張できなくなるものとしており、退職の効力を争う場合も同様に考えられます。退職から6年が経過した現在でも労働者としての地位があると主張するのは、今回は難しいでしょうね。

退職の経緯について納得ができない場合は、退職後すぐに争い始める必要があります。労働問題は意外と奥が深いので、すぐに弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

【取材協力弁護士 プロフィール】

岩沙 好幸(いわさ よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。頼れる労働トラブル解決なら≪http://www.adire-roudou.jp/

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