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大企業のポスト不足は経済発展が鈍化したからではない(疑似科学ニュース)

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今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

大企業のポスト不足は経済発展が鈍化したからではない(疑似科学ニュース)

課長や部長になれる人間は限られていて、新卒の新入社員が勤続年数を重ねた時に、みんなこれらのポストに就けるわけではないのは明らか。しかし高度経済成長時代は全国にどんどん新しい会社ができた。大企業は支店を増やしていった。だから課長や部長になれなかった人でも、地方のポストが用意された。しかしいまや成長は鈍化しそういうわけにはいかなくなった。それが大企業のポスト不足、形ばかりの管理職の増加の原因。

…と、これがネットの「定説」になっている。課長は数人の部下を束ねているし、部長は数個の課を束ねているのだから、部下に対して課長の数が、課長に対して部長の数が少ないのは誰でもわかること。じゃあ課長や部長になれなかった同世代の人間はどこに行くのか?これは誰でも疑問に思うこと。そこで上記の説明がされると「なるほど!」と納得してしまうわけだ。

しかし高度成長時代、いくら支店が次々に出来たとして、それで課長や部長になれなかった人間をまかなえるものだろうか。一般社員数名に対して課長が1人とすると、何年か毎に会社の規模が数倍の規模にならないと足りないような。そんなねずみ算式の成長ってありえるのか。

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以前下記

「「就職、絶望期」(海老原嗣生)」 2012年03月25日 『疑似科学ニュース』
http://nebula3.asks.jp/83295.html

でも書いたことだけど、別な角度から述べてみる。

「高卒で一流大企業のホワイトカラーに普通に就職出来たのはいつ頃までなんで(1/2)」 『OKWave』
http://okwave.jp/qa/q5955761.html

大企業でポスト不足問題が顕在化したのは1990年代。新入社員が20代で会社に入り、課長になるのが40代だとすると20年後。つま1990年代の20年前すなわち1970年代に「なにか」が起きた。

「高校・大学進学率の推移」 『社会実情データ図録』
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3927.html

「学歴別就職者数および大学卒就職率の推移」 『社会実情データ図録』
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3165.html

「なにか」とは別に意外なことではなくて、大学進学率の増加。1965年に20%前後だったのが1975年には40%前後になっている。20%なら5人に1人だから、部下と課長の比率とだいたい合うのではなかろうか(笑)。

   *   *   *

OKWaveの記事でも高卒が大企業のホワイトカラーに就職できたのはだいたいこの時期という答えになっている。1965年~1975年頃が境目なのだろう。上述の海老原嗣生の著書では、多くの企業が高卒ホワイトカラーの採用をやめて、大卒総合職一本に切り替えたのは1970年代後半と述べている。

それ以前は高卒のホワイトカラーの採用があり、ただし彼らは出世できなかった(課長補佐が上限)。つまり学歴(入り口)で住み分けが行われていたわけだ。これは欧米型雇用に近いという。入り口でわける。軍隊の士官候補生や警察や官僚のキャリア/ノンキャリアと同じ。採用の時点で幹部に出世できる人間とそうでない人間を分け、前者は幹部になることを前提に育てる一方で、後者は技能職とする。

よく欧米型雇用を礼賛する記事はこの2つがごっちゃになって、いいところだけを紹介する傾向があるという。すなわち技能職は出世できないがその分転職はしやすい。そこそこの給料で満足し、会社以外の人生を楽しむ。キャリアはその逆。

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日本型雇用の問題というとすぐに終身雇用とか年功序列をやり玉に上げるが、むしろ構造的な問題は、もともと高卒と大卒という形で欧米同様に入り口で幹部候補生と技能職を差別化してたのに、大学進学率の増加でなし崩しにすべて形だけは幹部候補生となってしまった点だろう。

ある意味誰でも幹部に出世できる「機会均等」といえるかもしれない。でもそれは社員同士の過剰な競争を生み、それが「辛さ」になってるわけだ。最初から出世できる人間とできない人間をわければ、それぞれ割り切って仕事ができる。そこそこの給料で満足し会社以外の人生を楽しむか、高給を目指して仕事に没頭するか。

日本型雇用と欧米型雇用、どっちがいいかは、よしあしですな。でも日本型雇用のまま(入口で分けない)、解雇の規制を緩めたら、競争がもっと激烈になって辛くなるような気がするんだけど、いいんですかね…。非正規雇用は日本型を欧米型に近づける苦肉の策とも言える。

執筆: この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年09月19日時点のものです。

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