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“同期”ネットワークが日本企業を救う? 日本の“同期”文化に迫る

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 あなたにとって「同期」とはどんな存在だろうか。
 苦楽をともにした戦友でもあり、ライバルでもあり…。
 何か特別な感情がわいてくるはずだ。

 『同期の人脈研究』(岸宜仁/著、中公新書/刊)は、新聞記者として官僚・民間企業を長年追ってきた著者が日本の”同期”文化について論じたルポルタージュ。
 同じ年に卒業・入社した人々を結ぶ「同期」という言葉。日本の新卒一括採用が形成した独特の紐帯は、雇用が流動化した現在、どのように変化していくのだろうか。

■“同期”を形成する土壌とは
 日本の大企業の多くは、新卒者を一斉に採用した後、入社して一定の期間は同期入社の者にほとんど差をつけない。平社員のときに待遇に差をつけないだけではなく、昇進も横並びにさせていくことが多いのだ。年功序列を基本とする日本的経営では、同期意識を巧みに利用し、職場での一体感を演出しながら、社員全体のモチベーションを高めることが重要視されてきた。
 しかし、経済がグローバル化し、能力主義・成果主義の人事評価制度が採用されるにつれ、横のつながりは弱くなりつつある。オフィスのIT化、中途採用の増加などが拍車をかけ、「よそよそしい」職場が増えつつある、と指摘されている。

 苦楽をともにした仲間同士の“同期”コミュニケーションは、距離の近さゆえに孤立感の解消や組織の活性化につながる。人材の合理化・スペシャリストの育成といった外資的な人事を推し進めてきたSONYが画期的な商品を生み出せずかつての輝きを失いつつある例などを考えてみてほしい。
 新卒者の研修は少なく、中途採用には積極的というグローバルな雇用形態はそういったウェットな関係性の構築を困難にし、生産性の低下をもたらしているのではないだろうか。

■女子の同期
 さて、もともとは日本型雇用システムの「男性・正社員(総合職)・一括採用・年功序列」という前提が“同期”文化を作り上げてきた。大手企業の総合職や営業職として女性が多く採用されるようになってきた現在、女性の“同期”問題はどう変わっていくのだろうか。

 かつての企業では、女性は人事や総務などの管理部門に寄せられ、現場を知らず、社内にコネクションもないという“事務屋”としてのポジションしか与えられてこなかった。そして職位が上がると力不足感に悩むことが多くなる。そのため、本人にも企業側にも、女性も男性同様現場を知ることが必要、という思いが強まっている。しかし、いきなり営業への異動なども難しい。
 そこで重要になってくるのが、社内の友人を通して各部署の情報を収集するといった日々の努力だ。“同期のネットワーク”は、こういった社内の情報収集にも一役買うだろう。
 結婚・出産などでキャリアの形成に悩むことも多い女性社員。現在弱まりつつある“同期”文化を回復させることは、女性の社会進出にも役立つと言えるかもしれない。

 本書では、著者のかつての取材をもとにかつての大蔵省・現在の財務省でのルポタージュ、リクルートやマッキンゼーといった民間企業でのインタビューなどをもとに”同期”文化について詳しい論考が加えられている。
 日本型雇用が崩れつつある中、グローバル型雇用もそのマイナス面を表面化させつつある。日本の弱みでも強みでもある”同期”ネットワークについて、本書を通して一度考えてみたい。
(新刊JP編集部)


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