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原作者・角田光代「私にはこんな話は書けません(笑)」 吉田大八監督の最新作『紙の月』完成報告会見レポート

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昨年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した映画『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が手掛ける待望の最新作『紙の月』が、11月15日(土)より公開となります。原作は、2011年に映画化された『八日目の蝉』をはじめ、女性を中心に抜群の信頼性と人気を誇る直木賞作家、角田光代さんによる長編小説。ご存知の通り、映画『八日目の蝉』も2012年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞しており、まさに最強タッグの実現と言えます。21日、都内で映画『紙の月』の完成報告会見が開かれ、吉田大八監督と角田光代さんに加え、豪華女性キャスト陣の宮沢りえさん、小林聡美さん、大島優子さんが登場しました。

物語は、バブル崩壊直後の1994年。銀行の契約社員として外回りの仕事をしている梅澤梨花(宮沢りえ)が、年下の大学生・光太(池松壮亮)と出会い、彼と過ごすうちに、顧客の預金に手をつけはじめ、ついには巨額の横領に手を染めて堕ちていくさまを描いた作品です。主演の宮沢りえさんは、『オリヲン座への招待状』以来、7年ぶりの主演映画とあって、公開前から大きな話題を集めています。さらに、小林聡美さん、大島優子さんそれぞれが演じる同僚の銀行員役は、今回の映画版オリジナルのキャラクターであり、原作ファンからも注目の役柄となっています。


宮沢りえ(以下、宮沢):7年ぶりの主演ということに驚いています。7年の間に沸々とためておいたものを本当に出し切ったという感じがあります。今までにやったことのない役で戸惑いもありましたが、監督のリードによって梨花という役の輪郭が徐々にはっきりしていく撮影現場は、もちろん楽しいだけではなかったですが、すごく濃密な時間になりました。


小林聡美(以下、小林):宮沢さんと私、2人ともキャリアは相当なところまで来てしまったんですが、実は初共演なんです。素敵なスタッフ・キャストの方と一緒に、刺激や緊張感もありながら、とても楽しい撮影でした。


大島優子(以下、大島):先輩方のお芝居を間近で見て、空気感や芝居への取り組み方、姿勢などを勉強させていただきました。みなさんに感化されながら、繊細に、常に緊張感を持ってお芝居させていただきました。今回は、監督に相川というオリジナルキャラクターを作っていただき、そしてキャスティングしていただいたことを、とてもうれしく思っています。宮沢さん演じる梨花とどう関わっていくか楽しみにしていてください。


角田光代(以下、角田):私は映画に関しては特に何もしていませんので、本日この場にいるのが申し訳ないです(笑)。素晴らしい映画にしていただいて、きっと私がいちばんうれしいと思います。ぜひ、みなさんご覧になってください。


吉田大八(以下、吉田):本日はお集まりいただきありがとうございます。ひとりでも多くの方に映画を観ていただけるよう、よろしくお願いします。

――宮沢さんは7年ぶりの映画主演となりました。普通の主婦が横領犯になるというセンセーショナルな内容ですが、オファーがあったとき、どう思われましたか。
宮沢:7年間サボっていたわけではなくて(笑)、実は、舞台を中心に仕事をしていました。映画もそろそろやりたいなと思っていたら、オファーをいただいて……。台本を読んだときに、正直すぐにやりたいという感じにはなれなくて、今までにやったことのない役を始めるにはちょっと時間がかかりました。でも吉田監督とお仕事がしてみたい、見たことのない自分を見てみたいと思って、この役を受けました。案の定、完成した映像には、見たことのない自分の顔があって衝撃でした(笑)。

――小林さんは、梨花とは対照的に厳格でストイックな先輩社員・隅を演じられましたが、どんなことを意識して役作りされましたか。
小林:私は、普段は親しみやすいキャラクターなんですが(笑)、隅は勤続20年以上のお局キャラで、親しみやすさを感じさせないように、少し怖く感じられるように演じました。そしたら、想像以上に怖くなっちゃいましたね(笑)。
大島:怖かったです(笑)。

――大島さん、女優の大先輩である宮沢さん、小林さんお2人との演技というのはいかがでしたか。
大島:監督の言うことを宮沢さんと小林さんお2人とも、体に入れてそれをかみ砕いて自分の演技にしているのを間近で見ていました。お2人が監督の指示を自分なりに調理して提出するということをやっているんだ、私も自分なりの演技を隠さずやっていいんだと、とても勉強になりました。

――角田さん、ご自身の作品が映画化されたことへのお気持ち、そしてすでに映画をご覧になったとのことですが、映画のご感想もお聞かせください。
角田:映画になるのはいつもうれしいです。映画を拝見したら、もの凄い映画になっていて度胆を抜かれました。素晴らしかったです。作中は何ひとつ良いことは起きてないんですけど、鑑賞後は爽快な気分になれます。これを作り上げた監督は凄いです。私には、とてもこんな作品は書けないですね。
宮沢:(原作を)書いて下さったのは角田さんですよ(笑)。

――原作とはまた違った主人公となった、宮沢さんの演じる梨花はいかがでしたでしょうか。
角田:凄い迫力で怖かったです。どんどん悪になっていくに比例して、透明な美しさが出てきて素晴らしかったです。

――吉田監督、映画オリジナルの役、小林さん演じる隅と、大島さん演じる相川が加わったりと、原作を大胆に脚色されていますが、映画化にあたり、どのような思いで臨んだのでしょうか。
吉田:原作を読んで、世の中に牙をむいている作品だと感じました。そんな読後感を映画化するにあたって、挑戦する姿勢を見せなければ失礼だと思いました。映画で表現するために、隅、相川というキャラクターが、その答えとして出てきました。

――この豪華な女優陣のみなさんを演出されていかがでしたか。
吉田:宮沢さん、小林さんが初共演なのを実は知らなくて、キャスティングが完了したあとに気付いて驚きました。そこに大島さんまでいるというのは……、この3人をそろえられたことを褒めてほしいですね。このキャスティングを実現しただけで、自分の仕事はほぼ完了したと思っています。現場で3人がそろっているのを見て、凄いことをしたなと自己満足しています(笑)。


吉田大八監督と言えば、前作『桐島、部活やめるってよ』でも、みごとな映画的改変で原作のストーリーをブラッシュアップし、原作者である朝井リョウさん本人からも絶賛された実力派監督です。今回の『紙の月』では、脚本に早船歌江子さんを迎え、女性の視点を重視しながらも、最終的にはやはり自ら映画的なアレンジを加えて脚本を完成させたとのこと。その中から生まれた、小林聡美さん、大島優子さん演じるオリジナルキャラクターの活躍にも期待が高まります。また、今回の会見では豪華な女優陣に注目が集まりましたが、池松壮亮さん、田辺誠一さん、近藤芳正さん、石橋蓮司さんなど、男性俳優陣の渋くて味のあるキャスティングも魅力です。普通の生活から悪に堕ちていく主人公と、それぞれの役者がどのように絡んでくるのか、こちらも見逃せません。原作者の角田光代さんが思わず「私には書けません」と発言した映画の内容を、原作ストーリーと見比べて楽しむのも面白いかもしれませんね。

映画『紙の月』公式サイト:
http://www.kaminotsuki.jp/

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記者:

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

TwitterID: stamina_taro

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