ミヤマクワガタ、ノコギリに敗れ激減!対戦成績79勝40敗「虫相撲」で判明

Nokogirikuwagata

 夏休みといえば、虫取りに虫相撲

夏休みといえば、虫取りだ。今も昔もカブトムシやクワガタムシは子供たちに大人気。狙いを定めた木に朝早く出かけてみると、そいつはいた。ノコギリクワガタや、ときにはミヤマクワガタもいた。

楽しかったのは「虫相撲」。カブトムシやクワガタを戦わせてどちらが強いか競い合ったものだ。これはゲームにもなってヒットしている。私が好きだったのは、「僕の夏休み」というゲームの中の「虫相撲」。

また「ムシキング」は、セガによる、トレーディングカードアーケードゲーム。じゃんけんを利用した単純なルールだから、カードを持ち寄り遊ぶこともできる。学校の短い休み時間に遊んだ人も多いのではないだろうか。

クワガタにもいろいろな種類があるが、ノコギリクワガタとミヤマクワガタは、どちらも立派なアゴを持っている。戦ったらどちらが強いのだろうか?

今回、立命館大の本郷儀人氏は、雄同士の戦いでノコギリがミヤマを圧倒し、森の餌場争いを制していると発表した。その結果、ミヤマが近年、全国的に急減しているという。

その調べ方がユニークだ。実際に「虫相撲」で戦わせる方法で実験した。その結果、119戦で79対40で、ノコギリがダブルスコアで圧勝だった。

そして、ノコギリは、大あごで相手を背中側から挟む「上手投げ」と、腹側から挟む「下手投げ」の2種類の技を使い分けるが、ミヤマは上手投げしか使えないということも発見した。動物学者が「虫相撲」を楽しみながら研究している姿が思い浮かぶ…何ともほほえましい成果だ。

 ミヤマクワガタ、「ノコギリ」に敗れ急減

日本の代表的なクワガタムシである「ノコギリクワガタ」と「ミヤマクワガタ」に、明暗が生じている。ミヤマが近年、全国的に急減しているのだ。地球温暖化など環境変化の影響とみられるが、立命館大の本郷儀人(よしひと)・非常勤講師(37)=動物行動学=は、雄同士の戦いでノコギリがミヤマを圧倒し、森の餌場争いを制していると唱えている。

本郷講師はノコギリとミヤマの雄を実験用の餌台に置き、戦いをビデオ撮影した。結果は、119戦で79対40。ノコギリがダブルスコアで圧勝した。ノコギリは、大あごで相手を背中側から挟む「上手投げ」と、腹側から挟む「下手投げ」の2種類の技を使い分けるが、ミヤマは上手投げしか使えない。ミヤマは自分の体の上からかぶさってきた相手を、大あごで挟むことができないらしい。

本郷講師は2002年以降、京都市の2地点の雑木林で、夜に樹液をなめに集まるクワガタの個体数を調べてきた。餌場でノコギリとミヤマが争う様子を頻繁に観察したという。「餌場は雄と雌の出会いの場だ。宅地開発などで餌場が減少する中、ノコギリにミヤマの雄が追い出され、雌に出会う機会が減っているのではないか」と話す。

本郷講師によると、2地点のクワガタの数は毎年50匹程度で横ばいだが、2006年までノコギリの約1.5倍いたミヤマは次第に減少。2009年には逆転してノコギリの7割程度になり、2011年以降はほぼ見かけなくなったという。

国立環境研究所の五箇公一・主席研究員(保全生態学)によると、ミヤマの減少傾向は全国の愛好家から報告されている。ミヤマは北方系のクワガタで高山帯を好み、幼虫は気温が25度を超えると死亡率が高まる。一方、ノコギリは南方系で比較的高温に強く、「温暖化の影響でクワガタの分布が変わり、ノコギリがミヤマの生息地に進出しているのでは」と指摘する。

クワガタの生態に詳しい荒谷(あらや)邦雄・九州大教授も、温暖化の影響で西日本の平野部などでミヤマが減少していると指摘する。その上で「ノコギリが勢力を増す中、雄同士の餌場での戦いの結果が、ミヤマへのとどめになる可能性がある」と話している。(毎日新聞 2014年08月04日)

 ノコギリクワガタとミヤマクワガタ

ノコギリクワガタとミヤマクワガタはどこが違うのだろう?

ノコギリクワガタ(鋸鍬形 Prosopocoilus inclinatus)は、コウチュウ目・クワガタムシ科・ノコギリクワガタ属の1種で、5亜種に分類されている。日本国内に広く生息している代表的なクワガタムシである。オスの大顎の内側に鋸のように歯が数多く並んでいることから名付けられた。

種小名のinclinatusは「傾斜の」という意味であり、大顎の形に由来している。個体数も比較的多く、人々によく親しまれている種である。体長はオスが24.2mm-77.0mm、飼育下では73.7mm(2004)メスが19.5-41mm。

ミヤマクワガタ(深山鍬形 Lucanus maculifemoratus)は、甲虫目・クワガタムシ科に属するクワガタムシの一種。普通種であり、いかにもクワガタムシらしい風貌から、ノコギリクワガタとともに古来からクワガタムシの代表として親しまれてきた。南西諸島や一部の離島を除く、ほぼ日本全土に分布し、旧環境庁により指標昆虫に指定されている。

オスの体長は22.9mm – 78.6mm(飼育下78.0mm)で、メスの体長は25 – 48.8mm。頭部に冠状の突起「(頭部)耳状突起」を有する。これはミヤマクワガタの最大の特徴である。これは小型個体では目立たないが、大型個体では発達する。

両者を比較すると、ミヤマクワガタは、体に毛が生えており金髪のようで光に当たると綺麗に反射する。頭に大きな出っ張りがある。ノコギリクワガタの方は、ミヤマクワガタと違って毛のようなものは生えているように見えない。体の色は赤茶色やまれに黒い個体もある。ミヤマクワガタとノコギリクワガタの大きな違いは、頭に出っ張りがあるかないか。体の色も全然違う。並べてみれば一目瞭然だ。

トップのノコギリクワガタ画像: author Keusju   http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fc/Nokogirikuwagata.JPG

※この記事はガジェ通ウェブライターの「なみたかし」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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