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「医薬品ネット販売解禁」のウソ――見せかけの「解禁」の正体を暴く[連載:岩盤規制(3)]

岩盤規制

「医薬品のインターネット販売解禁」のウソ 見せかけの「解禁」の正体を暴く

「岩盤規制」のある分野には、ビジネスチャンスがあります。なぜなら、岩盤規制によって守られる既得権者たちが、新規参入による競争にさらされることなく、昔ながらのやり方でビジネスを続けているからです。

そんな中で、安倍首相は、「今後2年間で、岩盤規制を打ち破る」と表明しました。
これは、新たなビジネスを興そうと志す人たちにとって、大きなチャンスのはずです……という話を前回しました。

http://getnews.jp/archives/620600 [リンク]

もっとも、首相が「岩盤規制を打ち破る」といったからといって、そう簡単に事が進むとは限りません。

第1回にお話ししたように、政治、役所、マスコミが一体になって既得権者を守る強固な枠組みがあるからです。

http://getnews.jp/archives/613931 [リンク]

安倍内閣のこれまでの経過をみると、

・首相の表明した方針は、決して口先だけではなく、岩盤規制改革に着手する動きは現実化しつつあります(電力、農業、国家戦略特区など)。

・しかし、一方で、首相の方針が骨抜きにされたり、逆行してしまったりしているケースも少なくありません。

後者の一例が、医薬品のインターネット販売です。

安倍首相は、2013年6月、「すべての一般医薬品の販売を解禁いたします」と宣言していました。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0605speech.html [リンク]

ところが、同年秋の臨時国会で成立した法改正(今年6月から施行)では、「すべての」という部分が撤回されました。

・多くの一般医薬品については解禁するものの、

・処方箋薬(医師が処方する医薬品)から一般医薬品(薬局の店頭で販売される医薬品)

に転換して間もない医薬品(いわゆる「スイッチ直後品目」)23品目と劇薬5品目、計28品目について、引き続きネット販売禁止となったのです。

1)わずか28品目(0.2%)の議論だったのか?

これに対して、「引き続き禁止されたのはわずか28品目(一般医薬品の0.2%)に過ぎない。ほぼ全面解禁じゃないか」と言われることがあります。

しかし、ここで注意すべきは、今回の法改正で、28品目だけでなく、処方箋薬のネット販売も引き続き禁止されたことです。

従来から、一般医薬品のネット販売解禁と並ぶ課題として、処方箋薬のネット販売解禁という議論がありました。

海外の多くの国では、病院で処方箋を発行してもらい、薬は薬局にわざわざ行かずにインターネットで購入……ということが認められています。我が国でも、足の悪い人など、病院のあと薬局まで行く手間を省けたら助かるという人が大勢いるはずです。

ところが、今回の法改正では、

・「処方箋薬のようなリスクの高い医薬品から、一般医薬品にスイッチした直後の医薬

品」は引き続きネット販売禁止とし、

・その帰結として、(スイッチ直後品目でさえ禁止なのだから)「処方箋薬のネット販売解禁など、およそ不可」ということに確定してしまったのです。

2)「リスクが高い」品目はネット販売を禁止すべきか?

「処方箋薬やスイッチ直後品目は、リスクが高いのだから、ネット販売は禁止して当然でしょう」と思う人も少なくないかもしれません。

しかし、「リスクが高い」とはどういう意味なのか、きちんと検証してみる必要があります。

厚生労働省で開催された「スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合」の資料で、ネット販売が禁止された一般医薬品28品目について、リスクが高いため、どのような特別な留意が必要なのか、品目ごとに説明がなされています。

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記者:

株式会社政策工房代表取締役、特定非営利活動法人「万年野党」理事。

ウェブサイト: http://yatoojp.com/

TwitterID: HaraEiji

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