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【新刊レビュー 】田中経一著作『麒麟の舌を持つ男』 料理が織り成す至高のミステリー

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新刊レビュー『麒麟の舌を持つ男』

書誌情報

どんな本?
死を目前にした人にかつて食べた最上の味を完璧に再現する“最期の料理請負人”が挑む、極上のミステリー。「満漢全席」に拮抗する「大日本帝国食菜全席」とは一体何なのか!? 70年の時を超えた感動のラストを食べ尽くした瞬間、謎に包まれた幻のレシピが甦る。世界を魅了したTV番組「料理の鉄人」伝説のディレクターが料理と料理人への愛情で描き切った驚嘆のデビュー作! (「BOOK」データベースより)

読みどころ

著者・田中経一氏はテレビ番組『料理の鉄人』のディレクターをやっていた人物。
そのデビュー作とあって、料理が織り成す謎が本当に面白い。そして、料理・料理人に対する畏敬の念が溢れるほどに込められている。
聞いたことのない料理の数々すべてが美味しそうに表現されているのは、田中氏ならではといえるだろう。お腹が空く作品。

レビュー

読了時間:約4時間30分
オススメ度:★★★★★

主人公の佐々木は“最期の料理人”という、なんともアングラ感漂う仕事で生計を立てている。どんな料理も再現できる天才的な腕と舌で、死期の迫った人々の最期に食べたい料理を再現するのだ。
あるとき、華僑の大物の最期の料理を担当したことで、佐々木の人生のターニングポイントとなる物語は始まっていく。

舞台は現代日本から終戦前の“満州国”へと行き来しつつ展開される。クライアントは中国トップの料理人・楊清明。彼が最期の料理として注文したのは“大日本帝国食菜全席”という未知の料理。

誰も知らないその料理のレシピと、レシピを作った料理人“山形直太朗”の人生を追ううちに、最初は胡散臭く、人間臭さのなかった主人公が少しずつ温かみを取り戻していく様子が心にしみた。

直太朗の娘・幸の苦しみ、楊の抱き続けていた想い、直太朗が隠し続けた真実、そして佐々木の無機質な心――。“大日本帝国食菜全席”の知られざる闇から生じた悲しみを、登場する料理の一品一品が解きほぐしていくのも印象深い。最初の一口からすべてが感動へと繋がっており、うまくできすぎじゃないかと思う。

詳細情報

書籍名:麒麟の舌を持つ男
著者:田中経一
価格:1600円(税別)
出版社:幻冬舎

※表紙画像は幻冬舎公式ホームページより
http://www.gentosha.co.jp/book/b7917.html

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記者:

若いうちはなんでもやっとけー! とがむしゃらに生きている20代女です。 趣味は旅行と読書、創作活動、そして酒。夢中になると大変なことになるので、いつも控えめに過ごしております。

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