体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

メインタイトルは“0.3秒”で分からせろ――ベストセラー仕掛け人に聞く、売れる本の秘密

メインタイトルは“0.3秒”で分からせろ――ベストセラー仕掛け人に聞く、売れる本の秘密
 人生一度でいいから自分の本を出版してみたいと思ったことがある人は多いはず。
 でも、「出版」って敷居が高いように思いますよね。

 『本を出したい人の教科書』(講談社/刊)は出版プロデューサーとして出版界に30年貢献し、1600冊の商業出版を成功させてきた吉田浩さんが、本を出したい人向けに“どのようにすれば本が出せるか”“どう書けば本が売れるか”を指南する一冊です。
 今回のインタビューではそんな吉田さんに知られざる出版界の裏側について直撃。
 本を自分で出版したこともないのに出版プロデューサーがいる? 自費出版のマイナスポイントとは? 前編では出版業界について、そしてベストセラーの条件についてお話をうかがってきました。

■本を出したことがないのに本をプロデュースする人たちがいる!?

――まずは吉田さんのお仕事である「出版プロデューサー」についてお話をうかがいたいと思います。

吉田:一言で説明をすると、日本中にいる隠れた作家、才能、企画を探し出して、日本中出版社に売り込むという仕事です。私は30年前からこの出版プロデュース業を行っていますが、「出版プロデューサー」を名乗ったのは、私が最初です。

――これまで何冊の本をプロデュースされてきたのですか?

吉田:この30年間でだいたい1600冊くらいの出版をお手伝いしてきました。
また、私自身も200冊の本を書いてきました。すべて、商業出版で、印税がもらえる出版です。私が出版プロデューサーを名のってから、500人くらいが出版プロデューサー、出版コンサルタントを名乗って、さまざまな出版セミナーをやってきたと思います。
私の強みは、たぶん、その中でも一番、出版社とのコネクションを持っています。企画書を売り込む先として500社、1500人くらいの編集者がいます。
すべて、編集者の個人アドレスに企画書を送って企画を採用していただいています。

――売り込む先が500社あるというのもすごい数ですが、出版プロデューサーを名乗る人が500人もいるというのも驚きですね。

吉田:本の出版点数が増えて、ヒットが増えれば、書店さんも潤いますし、出版業界が活性化するので、全体的には歓迎されることだと思います。しかし、出版プロデューサーの中には、1冊も自分の名前で本を出版したことがない人がいます。そういう方の中には、高額な予算をいただいておきながら、本が出ないという、トラブルも多くなってきました。
医者にたとえるならば、医師免許を持っていない人が「うちで安く手術をしますよ」と言っているようなものです。また、水泳でいうのであれば、コーチが「私、1回も泳いだことがないんです。でも、泳ぎ方を教えますよ」と言っているのと同じです。
1冊の本を出版するまでは、数え切れないくらいの苦労があります。それを1回も乗り越えたことのない方が、果たして、本当に「いい本」を作れるのか疑問です。
私は童話や絵本を含めて200冊、自分で自分の本を書いてきましたが、200冊とも悩み、苦しみました。その苦労を知らずして、出版プロデュースはできないと思いますね。

――本を出したことがあるかどうかが、信頼できる人かどうかの一つの見分け方になるのですね。
出版プロデューサーの仕事は、隠れた才能を発掘することだと先ほどおっしゃいましたが、「著者探し」というのは出版業界の大きな課題になっていますよね。

吉田:まさに、その通りです! 今は、ベストセラーを出した著者に出版社が行列をつくって並んでいるような状態です。しかし、私は決して行列に並びません。私がプロデュースをするのは、「初めて本を書く人」「今まで一度も本を出したことがない方」なのです。

――では、吉田さんはどのように著者を発掘しているのですか?

吉田:私が会長を務めているNPO法人「企画のたまご屋さん」では、日本全国から本の出版企画が集まり、それを毎週月曜日から金曜日まで1本ずつ、1000人近くの出版社の編集者にお送りするという事業を展開しています。
毎年、どのくらいの企画が送られてくるかわかりますか?
年間1000本です。ただ、年間で200本くらいしか売り込みができないので、800本の企画書はボツになってしまうんです。これは無料で企画を売り込んでいるので、ボツになるのは仕方がありません。
私個人は、日本を代表する経営者の本を出版プロデュースしています。
会社の社長から出版の依頼を受けて、毎日、企画書を作ったり、売り込みをしたり、本の販促活動をしています。
私個人が行っている「出版コンサルティング」は「月に3人まで」と決めています。
本の販促までやっているので、それ以上の本作りを進めると、クオリティが下がってしまうのです。これは平均ですが、毎年、私が出版プロデュースをした本が36冊出ています。

1 2 3次のページ
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。