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身近にある権利状態不明著作物(3) 文献で手がかりを探す

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前回に引き続き、日本音楽著作権協会(JASRAC)などの管理団体に権利の信託を行っていない状態で公表から50年以上が経過した作詞・作曲者の権利状態を確定する際に必要な没年を調べる方法について解説します。

前回はインターネットを使用して検索エンジンで手がかりを探す際のポイントについて解説しましたが、今回はネット上に情報が無い場合の手がかりとなる可能性がある書籍や新聞・雑誌などの文献の調べ方について解説します。

身近にある権利状態不明著作物 – ガジェット通信

(1)  校歌や市町村歌の「権利状態不明」
http://getnews.jp/archives/507560 [リンク]

(2) まずはネットで基礎情報を集める
http://getnews.jp/archives/508255 [リンク]

人名事典

まずは図書館で人名事典を調べてみましょう。「亡くなっているらしいが没年はわからない」という人物の場合は日外アソシエーツの『現代物故者事典』が最初に当たるべき文献となります。存命の可能性がある人物の場合は同じく日外アソシエーツの『現代日本人名録』や興信データの『人事興信録』(最新は2009年版)、交詢社の『日本紳士録』(2007年の80版で刊行終了)などがあります。

この他、職業や活動した時代がわかっている場合は職業別や時代別の人名事典も様々な種類のものがあるので調査したい人物に応じて使い分けましょう。ただし、図書館では基本的にこの種の文献は「禁帯出」、つまり館外への持ち出しが禁止されているので借り出してじっくり調べることは出来ません。

自治体発行の郷土史、学校の校史

公立図書館ならば必ず所蔵している『○○市史』などの郷土史は、調査対象の歌が作られた時期や制定経緯を知る際に重要な資料となります。
市町村歌の場合、その制定は自治体にとって重要事なので市町村章や市町村旗の制定と同様に一章を設けて解説しているのが通例であり、その場合は「市民を対象に歌詞を公募し合計○編の応募作を審査した結果、××氏の作品を入選作として採用した。作曲は△△氏に依頼した」のような制定経緯が書かれています。

また、校歌の場合は「教育」の章に学校の開校時期や歴代の校長職に就いた人物と並んで校歌の制定時期や作詞・作曲者の名前が書かれている場合があります。また、学校の開校50周年や100周年など節目の年に校史が刊行されていれば、校歌の制定経緯についてより詳細な情報が書かれている可能性があります。

注意点としては、自治体の合併が行われた場合は現在の自治体でなく合併前の自治体の文献を別に調べてみる必要があるということです。学校についても同様で、校名が変わっていたり別の学校と統廃合されて校歌を一新しているような場合があるので注意が必要です。

新聞、自治体の広報紙

楽曲が制定・発表された時期が最低でも月単位で特定されている場合は、その時期の新聞、特に地方紙を調べると公募の結果や発表会の様子を報じる記事が掲載されている場合があります。ただし、余りに古い年代のものは原紙でなくマイクロフィルム化されている場合が多く、また小規模な図書館には所蔵されていない場合もあります。図書館によっては申請をすれば全国紙や地方紙のデータベースが利用可能なところもあるので、可能ならばキーワード検索で記事の掲載日とページ数を特定すると作業効率が向上します。

1940年代以降に作られた楽曲の場合は自治体の広報紙を通じて歌詞(まれに曲も)の募集や結果発表が行われることが多いので、楽曲が作られた時期や作詞・作曲者の出身地や当時の居住地・活動時期を絞り込む際に第一級の資料となります。公立図書館ならばほぼ確実に創刊号からバックナンバーを取り揃えており、1990年代以降のものであれば市役所のサイトでPDF版を公開している場合もあります。

図書館のカウンターに相談する

自力で調べてもわからなかった場合は、図書館のカウンター(「調査相談」や「レファレンス」などの表示があります)でそれまでに判明している情報を提示して調査を依頼しましょう。その図書館に所蔵されている資料だけで判明しなければ近隣の図書館や都道府県立図書館、それでも無ければ国立国会図書館から資料を取り寄せて回答してもらえる場合があります。

図書館の利用に当たって特に注意すべき点は、著作権保護期間内の歌詞や楽譜は著作権法でコピーが特に厳しく規制されており書籍に掲載されているものの場合「曲全体の半分」までしかコピーが許可されていません。そのため、資料の一部に歌詞や楽譜が含まれている場合はそれを理由にコピーを拒絶されることがあるのでトラブル防止のため「歌詞や楽譜の部分は目隠し処理をしてコピーを取ってください」と事前に伝えておきましょう。なお、歌詞や楽譜をペンでノートに書き写すことに関しては特に制限されていません。また、当然ながら著作権消滅が確定しているパブリックドメインの作品に関しては上記のようなコピーの規制は適用されません。

次回は、人物の活動状況や著作権の状態を特定する際のポイントについて解説します。

画像:慶應義塾大学メディアセンター「人物について調べる」 – 人物情報の調査に役立つデータベースや人物事典の紹介。
http://libguides.lib.keio.ac.jp/mit_person [リンク]

※この記事はガジェ通ウェブライターの「84oca」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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