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それは「顧客ニーズ」か、単なる「わがまま」か?

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 ビジネスについての考え方はさまざまとはいえ「薄利多売ではなく、効率よく利益を出す仕組みを作りたい」というところは多くの企業に共通しているはず。
 だからこそ、企業はこぞって利益率が高い商品を開発しようとするわけですが、もちろんこれは簡単なことではなく、毎年数えきれないほどの新製品・新サービスが現れては、人知れず消えていきます。
 ただ、だからといって何も方法がないわけではありません。高収益をあげる商品を作るためのポイントやプロセスというのは確かに存在し、そこには法則のようなものもあります。
 それを明らかにしているのが新商品開発コンサルタントとして活動している高杉康成さんの著書『[実践] 超高収益商品開発ガイド 粗利80%実現7つのステップ』(日本経済新聞出版社/)です。
 今回は高杉さんにお話を伺い、高収益を挙げる商品を作る秘訣を教えていただきました。

―高杉さんは新商品開発のコンサルタントとして活動されていますが、これまでにどのような商品にかかわったかをお聞きしてもよろしいでしょうか。

高杉「『岩盤浴おやすみマスク』という商品があります。これは、花粉症対策のマスクなのですが、従来のマスクは花粉をシャットアウトすることを注力した商品ばかりでした。「花粉除去 99.9%」といった具合ですね。
ところが、花粉症で悩んでいる方は、昼間だけではなく、夜も花粉症に悩まされていました。そこで、この夜のニーズをとってみると、「布団についた花粉で眠れない」、「夜眠れないので翌日つらい」、「花粉症マスクは息苦しくて気づいたら寝ている間に取っている」というような困りごとが浮かび上がってきました。
そこで、この会社の持っている「ポカポカする機能性繊維BS−FAIN」という素材を生かし、夜用のマスクを企画開発することにしました。ここで最も注力しましたのが、「夜用であること」なんです。息苦しくてはマスクを外してしまうので通気性を確保し、ポカポカする素材の特徴を生かすために、素材の成分を研究し、使い捨てではなく洗い替えができる仕様にしたてました。結果として、1枚2100円という高価格にもかかわらず大ヒット商品となりました。
市場シェアではなく、顧客ニーズをしっかりととりいれた商品コンセプトと仕様の仕立てが鍵となりました。
後は、工事現場などで使われる発電機やハツリ機械の音を小型軽量の箱で囲って騒音を落とす「ミノリサイレンサー」、農業のビニールハウスやキノコ栽培などで使われ、熱エネルギーを保存しながら内外気を入れ替えてくれるため、空調コストを落としてくれる「熱交換器・涼風」といった商品を手がけました。どちらも顧客ニーズをとらえた大ヒット商品となっています。他にも大企業から中小企業まで、ユニークで高収益である商品を数多く手掛けてきました」

―また、高杉さんがご存じの「高収益商品」について、実例を交えてお聞かせ願えればと思います。

高杉「例えば、ホギメディカルという医療メーカーは、手術の種類や方式によって違うガーゼ、ディスポタオルなどの医療材料を、術式や疾病ごとにキットにして販売し高収益を上げています。これは、手術をする際、準備をする多忙な看護師さんなどが、忙しくてそういったことをしている時間がないという困りごとをうまく解決している商品ですね。現場の動きをみることで生まれる典型的なニーズ収集型高収益商品です」

―本書は商品開発のはじめから終わりまでが非常に細かく体系立てて説明され、非常に充実した内容です。このような網羅的な本を書くことになったのにはどういう経緯がありましたか?

高杉「今の新商品開発コンサルタントの仕事を始めて約10年になりますが、小規模企業から上場企業まで、様々な業種、規模の企業を支援してきました。その中で、大きく欠如しているのが「顧客ニーズ」という視点だったのです。
大企業は、自社の持っている工場、技術に頼ってしまい、中小企業は連携ビジネスや補助金に頼ってしまう。また、顧客ニーズ収集を行っていると言っている企業でも、その中身が薄く、うまく実践している企業は数少ないことがわかりました。これでは本当の意味で良い商品は生まれないという危機感を持ちましたね。
世界に秀でた技術を持ちながら、それをうまく顧客ニーズと融合させるという重要な部分が欠如しているからこそ、日本企業は苦戦しているのでしょう。一部、技術に秀でた会社の成功事例がTVなどで放送されていますが、あれは、ほんの一部の事例で、大多数の企業は、技術だけではなく顧客ニーズをしっかりととらえる形のビジネスを模索すべきと考えたのです。そこで、本書を出版し、顧客ニーズの重要性と、そこからスタートする商品開発の体系をしっかりと伝えていくことにしました」

―特に興味深かったのが「顧客ニーズ」の掴み方の部分です。顧客の要望を「ニーズ」か「わがまま」か判断するために、どのようなことが必要となるのでしょうか。

高杉「顧客からの要望が1人とか1社だけであれば、それは、まずは「わがまま」としてとらえてみることです。そして、同じような仕事をしている人から同じような要望がでてきたら、その段階で初めて「ニーズ」としてとらえる必要があります。
これは、1人や1社からの要望だけで商品開発をしてしまうリスクを減らす狙いがあります。「顧客ニーズに基づいた商品を開発したが売れなかった」という話が時々あるのですが、よく聞いてみると、やはり1人や1社の要望だけで商品開発をしてしまっているのですね。
人や企業は多様な動きをします。例えば、パソコンを使う場合でも、個人と企業では使い方が違います。セキュリティの考え方が違ったりしますね。USBメモリーを禁止している企業も多いですが、個人ではだれでも使っていますね。このように、1人1人で使い方等は違うものなのです。従って、そこから出てくる要望というのは千差万別の可能性をもっています。そこで、1人や1社から出てきた段階では、まずはそれを「わがまま」としてとらえ、同じようなことをしている人から同じような要望が出ていないかどうかを探していくのですね。
千差万別とはいえ、人や企業は、同じような属性を持っていると同じような困りごとを持っている可能性が高いのです。例えば、私のようなコンサルタント業である場合、出張が多いので「軽くて壊れにくいパソコン」に対しては強い要望を持ちます。一方、同じような出張族のコンサルタントにとってみれば、前述のような仕様はありがたいものとなりますね。
このように、1人や1社から出てくる要望は、まずは「わがまま」としてとらえ、同じような属性を持っている人から同じような要望が出てきた段階でそれを「ニーズ」として扱うことが必要なのです。要は、要望の法則を見つけ出すようなイメージですね」
(後編につづく)



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