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餅つきと停止

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今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

餅つきと停止

以前もなんか書いたことがあるが、機械の「停止」について述べてみる。停止とは機械を止めることだが、それほど単純じゃない。ここで餅つき機械を考える。杵と臼で餅をつく。途中餅をひっくり返す係も必要。

一番緩やかな停止、定常停止とか呼ばれる。これは現在ついている餅がつき終わったら停止しろということ。途中で止めたら中途半端な完成度になって、その餅はもう出荷できない。だからいまやってる餅がつき終わったら、キリの良い所で止まれということ。

2番めの停止。これはすぐに止まれということ。ついている餅は出来損ないになってしまい、破棄するしかないがしかたない。なるべく早く止めたいときに使う。

3番目の停止。いわゆる非常停止。これはとにかく止まれという命令。2番めとなにが違うかというと、たとえば杵を振り下ろしたまま止まってしまうといろいろ都合が悪い。餅が杵にくっついたままになってしまう。だから2番めの停止では、杵を上げた状態で停止する。いわゆる「定位置(初期状態の位置)」に戻って止まる。しかし非常停止の場合はそういうのを考慮せず、とにかく止まる。

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メカをいきなり止めるといろいろ不都合がある。たとえば杵の動きと餅をこねる手は同期していなければならない。先に餅をこねる手の方が止まったら、手の上に杵が降りてきてメカが壊れてしまう。だから止まる時もバラバラに止めるのではなく、同期を維持したまま止める必要がある。ただ非常停止の場合、なるべく早くとめなければならないから、同期を優先させるか否かは悩ましい。

また物には慣性があるから、急には加速できないし、停止もできない。動いているものを急に速度をゼロにしても実際にはゼロにならないから、各所に無理な力がかかってしまう。自動車のタイヤでも急ブレーキを踏むとスリップしてタイヤが痛むように。なので適度に減速しながら止める。

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しかしこれも非常停止の場合は、機械が壊れても止めなければならない場合がある。ようするに非常停止というのは、ただちに止めないと人間が危険ということ。機械が壊れても人間の安全を優先する。

でもやっぱ止められない物はあるんだよね。化学反応なんか途中で止まらないわけで、その場合どうするかとか、いろいろ悩ましい。

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またこうした機械はメンテナンスを絶え間なくやってやらないといけない。家電製品とかだけ見ると機械は放っておいても10年ぐらい動くように思うけれど、こうした機械はそうはいかない。可動部分は油を塗ってやらなければならないし、油があるとゴミがつくからそれを取り除いてやらなければならない。

また動く部分はどうしても調整がずれてくるので、定期的にズレをなおしてやらなければならない。無論少量のズレは常にフィードバクをかけて自動的に補正するが、その補正で間に合わなくなるほどズレる前に再調整が必要になる。そうしないとエラーでまくり。そして調整するのは人間だから、人間の教育も必要。ここをサボられると、いくら高性能な機械を作っても、元も子もなくなってしまう。メンテナンスする人間がいなければ、どんな機械もガラクタ。

ものを作る機械の場合、作られる製品よりも、その機械自身の精度が高くなければならないわけで、精密機器を作る機械にはさらなる精密さが必要。「オングストローム」(0.1ナノメートル)とか多くの人は化学の授業でしか聞いたことのない単位を扱ったりする。途上国の工場だとなかなか精密な製品を作れないのはこのため。製品は買ってきて分解すれば真似できても、それを作る機械はノウハウの塊だからおいそれとは他国には売らない。だから真似できない。

日本のメーカーが海外に工場を作るのを嫌がるのは、このためなんだけどね。なのに円高で(ry

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年10月23日時点のものです。

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