書評とは

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書評とは

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

書評とは

俺の記事に誰かがこうツイートしていた。

いい本なのか、読むべきなのかよくわからない書評(?)、紹介(?)なんですけど…。

我が意を得たり!最高の褒め言葉。これを読んだ時、結構嬉しかった。俺の記事をちゃんと読んでくれたんだな、と。ちゃんと読めばこういう感想になるはず。

2chで「今北産業」という言葉がある。いま、途中から話題に参加したので、短く3行ぐらいでこれまでの要点をまとめてくれ、ということ。

なので俺は簡単には要約できないようなブログを目指している。要約できないというのは支離滅裂ということではない。ぼんやりと浮かび上がっているが、それを上手く言葉にはできないもの、そういうものを伝えたい。要点を箇条書きに列挙できるような文章は書きたくない。

   *   *   *

概念というのは曲線で囲まれたアメーバみたいな形であり、それを言葉にしてしまうと、どうしても多角形で近似することになってしまう。多角形からはみ出た曲線の部分にこそ本質があるのだが…。

直線で曲線を近似する方法は2つある。1つはどんどん細かく分割していく。十分短い無数の直線で表現すれば、曲線に近づいていくだろう。これもひとつの方法ではあるが、どうしても枝葉末節の部分が多くなり、読みやすさが損なわれるように思う。専門書とかならいいが、ブログには向かない気がする。

もう一つの方法は、重ね合わせ。一つの概念を、ある時は四角形だといい、別な時は三角形だという。さらに別な箇所では五角形とみなす。それぞれ一側面を表しているが、概念の形の本当の形は四角形でも三角形でもない。4次元の物体を3次元空間に投影するようなもの。見る方向によって様々な形に「歪んで」みえる。それがたまたま三角形に似ている場合もあるし、四角形に見えることもある。

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俺が考える理想的な書評、いや書評に限らず作品評、いやあらゆる他人の意見に対する批評、はわざとど真ん中を外して評価すること。「ああ、この作者はこういうことがいいたいんだな」と明確な部分を批評してもしかたない。

むしろそんな単純な部分だけを見るのは作者に失礼だと思う。ドーナツのように中心部を避けてわざとその外側に注目する。本当にこころをこめて作った作品なら、作者が一番注力したのはたぶんそのドーナツの部分のはずだから。

フィクションもそこに至る長い道のりがあればこそクライマックスで盛り上がる。一番手間を欠けているのは、その道のりのはず。というよりも道のりさえあれば、実はクライマックスシーン入らないのではないかとさえ思う。

概念そのものは直接は描けない。だからその周辺をすべて細かく描くことで、間接的に本体の輪郭をおぼろげながら浮かび上がらせる。言葉で表せないものを、言葉で表すというのはそういうことだ。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年10月09日時点のものです。

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