TPPとはなにか?(1) 戦争の原因(中部大学教授 武田邦彦)
今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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TPPとはなにか?(1) 戦争の原因(中部大学教授 武田邦彦)
多くの人が「世界は最終的にどのようになっているのがよいだろうか?」と考えるだろう。普通は「戦争のない世界」とか「国境がない世界」と思っているのではないか。
今から100年ほど前までは、「世界大戦」というのはなく、個別の国同士で戦ったり、弱い国を植民地にしたりしていただけだったが、20世紀に入って第一次世界大戦、第二次世界大戦という二つの大きな戦争を経験し、人類は「戦争のない世界」を目指そうということになった。
戦争を無くすためには「平和が大切」という「思い」だけではダメだ。思いだけで戦争がなくなるならもうとっくに無くなっていて、現在の日本のように甘い考えを大人が持つことは無い。
強い意志というのは「平和が大切という思いと、それだけでは平和は実現しない」という冷静な見方ができる精神力のことだ。その一つに「自由貿易」というのがある。
第一次、第二次世界大戦の一つの原因が「貿易の不均衡」、「ブロック経済」、そして「経済制裁」だった。第一次大戦後、ドイツに膨大な賠償金を課したことが不安定な要素になっていたが、それに加えて、繁栄していたアメリカで1929年に株価の暴落が起こり、それが世界恐慌になった。
経済的な問題が国内では解決できなくなり、列強(アーリア人)は「自国と植民地」で「ブロック」をつくり、排他的な貿易を行うようになった。
これが、イギリスの「スターリング・ブロック」、フランスの「フラン・ブロック」になり、それに対抗するために、イタリアのエチオピア侵略、ドイツのオーストリア無血占領、それに日本の満州国建国になった。
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ここにヨーロッパでのドイツの進出と、アジアの日本の進出の図を示すが、今では「ドイツと日本の侵略」ということになるが、この領土だけを見ている人は、ドイツと日本を批判する反日日本人になるが、このブログで再三、指摘しているように、イギリス、オランダ、アメリカなどがその直前(第一次世界大戦前)までに獲得した植民地と比べると、特に問題になるようなものではなかった(反日日本人は錯覚しているが)。
全世界が「囲い込み」に夢中になった時代で、もちろんそれを支持したのはそれぞれの国の国民であり、この現象のうち、日本の行為だけを「侵略戦争」と読んだのが日本の反日・日本人であった。
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この頃から自動車が本格的に使われるようになり、軍隊もオートバイや戦車、それに航空機といった石油を使うものが中心になってきた。そうなると、アメリカは自国に、イギリスやオランダは植民地に膨大な石油資源を持つことになり、これが連合国(アメリカ、イギリス、フランス、オランダなどの石油所有国)と、枢軸国(ドイツ、イタリア、日本の非石油所有国)に別れる原因となる。
やがて、このようなブロック経済や石油制裁が、ドイツや日本を追い詰めて戦争に向かう。それが第二次世界大戦でもあった。
戦争中は憎しみなどもあったが、戦後になって、共産主義の台頭、それに対抗する資本主義国家の団結の必要性から、「ブロック経済を止めよう」という動きが進む。つまり「自由貿易の時代」である。
TPPというのは「戦争を避けるために、世界はできるだけ一つになった方がよい」という考えの延長線上だから、平和を求める人はTPPを支持するはずである。まずはTPPの基本はそこにある。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年09月26日時点のものです。
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