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昭和恐慌は「一人当り90円の借金」を返済しようとして発生した

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今回はシェイブテイルさんのブログ『シェイブテイル日記』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/413222をごらんください。

昭和恐慌は「一人当り90円の借金」を返済しようとして発生した

1000兆円の政府債務が積み上がった現代とよく似た状況が84年前にもありました。
ただ、その時積み上がっていた政府債務、よくいわれる言い方では「国民一人あたりの借金」とは90円でした。

1929年(昭和4年)、浜口雄幸内閣が誕生し国民から熱狂的に迎えられました。
浜口内閣は痛みを伴う改革を訴え、不況下の緊縮財政を断行します。
同年8月には、浜口首相は緊縮財政の必要性を訴えるビラを全国1300万戸に配布しました。

今日のままの不景気は底知れない不景気であります。これに反して緊縮、節約、金解禁(著者注:金本位制に復帰すること)によるところの不景気は底をついた不景気であります。 我々は国民諸君とともにこの一時の苦痛をしのんで、後日の大なる発展を遂げなければなりません。

「全国民に訴う」 1929年8月28日

これに対して、野党・政友会の三土忠造は政府を次のように批判しました。
その中で当時大問題であった政府債務の規模にも言及されています。

一般国民は経済上の知識が乏しく、唯古来の道徳上の教訓によって、節約と言えば無条件に誠に結構なもののように考えるのは無理もないところである。 即ち自分だけ節約した場合と国民挙げて節約した場合とを混同したのである。

世間一般の人は従来通りの生活をしていて自分一人節約した場合には、その節約しただけ懐に余裕が出来ることは言うまでもないが、世間一般が挙って節約した場合には、これとは全然相反する結果を来すのである。…。国民挙って消費を節約すれば、他人の生産した物を買うことが減少すると同時に、自分の生産した物の売れ行きも減少する。 言い換えれば経済政策全体の縮小に終わる。…。

浜口首相も井上蔵相も我が国の公債総額が60億円近くに上ったことを以って、あたかも国家の存亡に関する一大事の如くに宣伝し、現内閣はこれを整理を以って重要使命とするものであると吹聴し、この60億円を一人に割ってみれば90円にして、国民は生まれながらにして90円の借金を負っている、誠に大変なこととつげた。…。

いかがでしょう。政府債務の桁こそ大きく違えども、財政再建派の言うことは時代を超えて判でついたように一緒です。
84年前の浜口首相は、野党からの正しい批判に耳を貸さず、翌昭和5年には日本を昭和恐慌に追い込みました。

ではその政府債務は、明治時代以降、一体どのように推移しているのでしょうか。

政府債務は経済成長とともに桁違いに伸び、それが自然


図1日本の政府債務超長期推移
出所:2002年まで=総務省統計局政府債務現在高*1、2003年以降IMF
1872年(明治5年)以降の日本政府債務推移(対数表示)

*1:「第5章 財政 | 国家財政」 『総務省 統計局・政策統括官(統計基準担当)・統計研修所』
http://www.stat.go.jp/data/chouki/05.htm

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/09/kinyu.jpg

そう遠くない将来、京(けい)の桁がわからないと経済記事が読めなくなるだろう。

政府債務を重大な問題と捉える政治家やマスコミはいつの時代にもいるようですが、浜口首相が問題とした「一人90円の借金」は今では何の問題もありません。
さらに言えば、「一人90円の借金」も、正しくは当時7割が国民の資産でしたので、海外に返済すべきは一人30円でした。
その返済すべき海外債務も昭和63年にはめでたく完済し、現在では一転して、日本国民が世界におカネを貸す世界一の債権者となっています。

政府債務は累増しても国民からの借金(内債)で、インフレ(お金の刷りすぎ)でさえなければ健全であり、これを個人の債務のように返済を企てると経済は破綻します。

そもそも現在の日本国民は、政府・海外に一人あたり800万円の債権があるだけで、返済すべき債務は全くのゼロです。

安倍首相にも使い古された「1000兆円の政府債務で経済破綻」「一人あたり800万円の借金」の大ウソを理解していただき、デフレ下の増税という昭和恐慌の引き金を引いたのと同じ増税緊縮政策に踏み出さないようにお願いしたいところです。

【参考】現在の日本でも消費増税が必要、という向きにはこちらも読んでいただければ目からウロコが落ちるかも知れません

「国の債務は返済の必要がないという本質」 2013年08月10日 『シェイブテイル日記』
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20130810

執筆: この記事はシェイブテイルさんのブログ『シェイブテイル日記』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年09月06日時点のものです。

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