パワハラと言われない「叱り方」のコツ

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心の病の急増で部下への指導・注意が奥手に?

パワハラと言われない「叱り方」のコツ

従業員と会社の間に起こるトラブルのうち、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが顕著に増えてきています。そんな中、心の病にかかるサラリーマンが急増し、大企業の社員約1600万人が入る「健康保険組合」では、心の病の受診数が2011年度までの3年間で2割増となったそうです。

このような状況では、「何でも『パワハラ』と言われそうで、部下に対して、まともに指導も注意もできない」という声をよく耳にします。

「余計なひと言」がパワハラの原因に

まず、指導は「部下を育成する」という目的のもとに行われなければなりません。気をつけたいことは、「注意すべき事柄だけを取り上げる」ということです。上司も人間である以上、つい感情が先にたち、注意に続けて「余計なひと言」を言ってしまいがちです。具体的には、「人格を否定するようなことを言う」「過去の失敗を持ち出す」「自分の若い頃と比較して攻める」などです。

例えば、たびたび遅刻する部下に、「遅刻はダメじゃないか!」という注意に続けて、次のようなことを口走ってしまうとNGです。

「君はだらしないから遅刻ばかりするんだ」
「これまでどんな教育を受けてきたんだ」
「親の顔が見てみたい」

また、「自分が若い頃だったら何時間も立たされて、こっぴどく叱られたもんだ!」と言って、同じように長時間立たせてしつこく叱ってしてしまうとパワハラになってしまいます。指導するときのコツは、ダメなことをきちんと伝えた上で、「なぜそうなってしまうのか?」「どうしたら改善できるのか?」といった「問いかけ」を行い、部下自身に考えさせ、気づいてもらうように導くことです。そして、改善された場合は、その事実をしっかりとフィードバックしてあげることが大切です。

叱った後の「ちょっとした声かけ」が信頼関係を築く

そして、人の気持ちは、言語とともに「表情」に表れます。例えば、部下が何かを言おうとした時、上司が怖い顔をして横目でチラッと見て大きなため息をついたとしましょう。それだけで、部下は、もう話せなくなります。部下は「言葉」だけでなく、「表情」からも上司のメッセージを受け取るのです。

一方、人は笑顔を向けられると心地よい気分になります。それは、相手が自分を受け入れてくれていると感じるからです。指導・注意した後に、その部下と廊下ですれ違ったりしたら、温かい表情で「この前の仕事、進んでる?」と、「ちょっとした声かけ」をしてみてください。上司は立場上、当然、部下をきつく叱らなければならないときもあります。しかし、日頃のコミュニケーションが信頼関係を作り上げます。同じ指導・注意をしても、信頼関係があるのとないのとでは伝わり方は雲泥の差です。

コミュニケーションをほんの少し意識するだけで部下の「心の病」を防ぐばかりでなく、パワハラのない風通しの良い職場作りのきっかけとなり、きっと業績アップにもつながっていくことでしょう。

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