派遣労働の見直しによる労働環境の変化

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労働者派遣制度改定で有期雇用派遣の規制強化へ

派遣労働の見直しによる労働環境の変化

「業務」から「人」へ。8月20日、厚生労働省の今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会(鎌田耕一座長)が報告書をまとめ、業務を基準に派遣期間を設定する現行の方法から、それぞれの派遣労働者が同一の「単位」で派遣就労できる期間に制限を設ける仕組みに改定すべきと提言しました。

現行の制度では、専門業務とされる26業務については派遣の期間制限がなく、それ以外の業務では上限が最長3年とされています。しかし、この方法では当該業務に当たるかどうかといったことが非常にわかりにくく、また、派遣労働者が途中で変更となった場合、次の労働者は残された期間内でしか働けず、必ずしも派遣労働者の保護とはならないため制度の見直しが求められていました。

そもそも、派遣法が「臨時的・一時的」な制度とされたのは、派遣労働者が正社員などの常用雇用者の代替されることを防ぐ、という趣旨からでした。しかし、派遣法の施行から法改正を経て四半世紀以上が経過しました。時代の変化を受けて、「常用代替防止」を再構成し、また、派遣労働者の雇用の安定に資するため、有期雇用派遣の規制を強化しようと制度の見直しが審議されてきたのです。

派遣は「臨時的・一時的」な働き方ではなくなる

研究会が提言した派遣の新制度では、同一の有期労働者の同一の「単位」で働ける派遣就労は3年を上限としました。派遣労働者がその派遣期間を超える場合、派遣会社は、①派遣先に直接雇用の申し入れ、②新たな派遣就労先の提供、③派遣元で無期雇用(期間制限の上限なし)のいずれかの措置を講じなければなりません。つまり、派遣労働者は、派遣期間満了後、自身の望む働き方を選択できることになります。派遣で働く労働者には、大まかに「本意型」の労働者と、「不本意型」の労働者が存在しますが、今回の制度見直しでは、その双方に「出口」を用意したといえます。

現在、全労働者における非正規雇用者数は約4割と言われている中、派遣を「臨時的・一時的」な働き方とするのではなく、労働者が望む働き方への足掛かりとして機能させようというのが今回の提言の狙いです。

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