疑似科学叩きは成功しない
今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。
疑似科学叩きは成功しない
なんどか書いているけれど、疑似科学を力で社会から排除しようとしても成功しない。たとえばこのサイコップの歴史を見ればわかる。
「サイコップ」 『wikipedia』
http://ja.wikipedia.org/wiki/サイコップ
1975年に占星術に反対する科学者の声明を発端に生まれた組織だ。疑似科学を検証&批判している。スプーン曲げのユリ・ゲラーとかと戦っている。
でも「歴史」の項目をみれば、決して平坦な道のりではないし、それで成果がどれほど上がったか。四半世紀以上経つのに、疑似科学は健在だよね。
日本でもオウム事件の直後は、ほぼ完全な疑似科学&オカルト排除が行われたが、いつの間にか戻ってしまった。どんな権力を使ってもあのオウム事件直後ほど疑似科学&オカルト排除を行うことは、もう永久にできないだろう。
あれで成功しなかったということは、どんな方法でも成功しないということ。あれ程啓蒙された疑似科学排除、オカルト排除の価値観は社会に定着しなかった。むしろ過度に行えば疑似科学批判の副作用の方が社会にとって有害になってくる。
* * *
疑似科学を科学的に検証し続けるのは有益だと思うのだよね。正しい情報を求める人が正しい情報を得られることは重要。しかし正しい情報を欲しがらない人もいる(自分では誰もそうは思っていないものだが)。
そういう人のためにも、正しくない情報を社会から排除した方がいいと考える人は少なくない。でもその試みは成功しない。
ポール・ファイヤアーベントは、自著『自由社会の科学』において、CSICOPの設立時のマニフェストというのは、まるで教皇インノケンティウス8世が1484年に出し、魔女狩りのきっかけとなった教書のようなものだ、という論調で扱った。
懐疑派の『ガーディアン』紙の記者ですら、CSICOPロンドンの会合を取材した時に次のように書いた。「考え方が異なるグループに対する非寛容な態度というのも、ここまで極端になると、嫌悪の対象でしかない。CSICOPの有力メンバーらは、調査の原則というものを、風向き次第で自分勝手にがらりと変更してしまっても平気でいるらしい」
執筆:この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年6月12日時点のものです。
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