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アベノミクスで物価は上昇しなかった?

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今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

アベノミクスで物価は上昇しなかった?

「日経平均1万5000円超え!大切なのは株価、コアCPIなんて誰も知らない」 2013年05月16日 『ガジェット通信』
http://getnews.jp/archives/341168

なんだかなぁ。株や為替は瞬間的に反応するだろうけど、物価がそんなすぐに変わるわけないじゃん。速報値で0.7%下がっているというけれど、これって4月26日に公表された東京都区部のみの物価だよね。全国は5月31日に公表される予定。

まあ東京都区部だけの統計でももちろん物価の動向を知る手がかりにはなるから、それはいいんだけど、4月26日に公表されたということは、それよりも前のデータしか含まれていないということ。「中旬速報値」とあるから、15日ぐらいなのではなかろうか。この辺よくわからないけれど、26日以前のデータなのは間違いない。

異次元緩和が発表されたのは4月4日。実際に国債の買い入れを行ったのは11日らしい。いくらなんでもその1週間前後で、物価に反映されるわけないじゃん。気が早すぎ。日銀が国債を大量に買ったら、1週間後にスーパーで売ってる大根の値段が上がる?普通に考えてもおかしいだろう。

   *   *   *

また速報値と全国値は両者の増減の傾向は大雑把には同じだが、個々の値は違う。速報値(東京都区部のみ)は

  2013年1月 -0.5
  2013年2月 -0.9
  2013年3月 -1.0
  2013年4月 -0.7

で、一方全国の値は

  2013年1月 -0.3
  2013年2月 -0.7
  2013年3月 -0.9
  2013年4月 未発表

そして描かれているグラフを見ると、なんか両者を無理矢理繋いでいる気がするのだが。目視で読み取ると、

  2013年1月 -0.3 ←全国値
  2013年2月 -0.7 ←全国値
  2013年3月 -0.9 ←全国値
  2013年4月 -0.7 ←東京都の値

となり、全国の値に4月だけ東京都の値をはめ込んでいる。こんなことして良いのか?どうしても4月分のデータを使いたいなら、すべて速報値でグラフを描くべきだろう。

   *   *   *

あと、これは別に問題というわけではないが、これらの値は前年同月比、つまり去年(2012年4月)の物価との比較。値そのものはこんな感じになっている(東京都の値)。

  2012年10月 99.1
  2012年11月 98.7
  2012年12月 98.7
  2013年01月 98.6
  2013年02月 98.2
  2013年03月 98.5
  2013年04月 98.8

去年の値は

  2011年10月 99.9
  2011年11月 99.2
  2011年12月 99.3
  2012年01月 99.1
  2012年02月 99.1
  2012年03月 99.5
  2012年04月 99.5

前年同月比で比べるのがいいのか、単純に前月と比べるのがいいのかは、なんともいえない。月によって物価の変動の傾向はあるだろうから、前年同月比で比べたほうがいい場合もあるが、前年にたまたますごく物価が変化した場合、それとの比較になるので、現在の物価がそれほど変動していなくても、前年同月比の値は大きく変化してしまう欠点がある。

たとえば元記事のグラフで、2008年7月頃に物価が大きく上昇し、2009年7月頃には大きく下降しているが、それは2008年との比較でそうなっているだけで、実際には2009年の物価はここまで大きく下降はしていない。

   *   *   *

まあ、ようするにいろんな角度から見ないといけない。2012年3月~5月は前年同月比(2011年との比較)で物価はやや上昇してるんだよね。で2013年はその2012年との比較になるので、よけいマイナスが大きく見える。

物価はすぐには反映されないと思うけどね。四半期か年単位の時間が必要なのではなかろうか。円安で輸入品や燃料の価格は先に上がるだろうけど。給料はボーナスはともかく月給が上がるのは来年の春闘以降だよね。よくアベノミクスで生活は楽になったか?とかインタビューしてるけど、どういう理屈で楽になるのだろうか?歩合制の給料の人ならともかく、サラリーマンの給料が上がるとしたら春闘の時だよね。

逆にいま実質GDPの上昇が好調だけど、物価が上がるのはこれからだから、ちょっとウソっぽい気がしないでもない。実質GDPは物価上昇分を補正した値のはずだけど、円安で生産量は増えているけれど、物価はまだそれに見あって上昇していない(つまり補正が正しく効いてない)。物価が上昇したら実質GDPは現在算出されている値よりは下がるはず。その頃もっと生産量が増えていればいいけど。ってことで、やっぱ何事もある程度の期間を見ないと、正しい傾向はわからない。

   *   *   *

金融緩和してもインフレになるかはわからないという話。日銀が国債を買い占めちゃえば、いままで国債で資産を運用してた人は、他の投資先を探さなければならない。現金で持ってたら価値が下がっていくんだから。で、いままで日本の国債に向かっていた金が、株や海外の国債に向かう。いま株が上がっているのはそういうことだろう。

「インフレなんかになりっこない!」といって、運用を任されている資産をなにもせずに現金でずっと持ってるというのは、かなりの精神力がいるんじゃ…。もしインフレになったら「おまえは、仕事もせずになにをやってたんだー!よくも俺の資産を減らしやがって」ってことになるわけで。

参考サイト:
「全国平成25年(2013年)3月分及び平成24年度(2012年度)平均 3ページ目(PDFデータ)」 平成25年04月26日 『総務省統計局』
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

「東京都区部平成25年(2013年)4月分(中旬速報値) 4ページ目(PDFデータ)」 平成25年04月26日 『総務省統計局』
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf

執筆: この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年05月22日時点のものです。

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