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個人主義と中国語の部屋

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今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

個人主義と中国語の部屋

クリエイティブな活動、イノベーションを起こせる企業、それにはそういった人材が不可欠だという(ってこの一行で勘の良い人はこの先読む必要ないなw)。

しかしはたしてイノベーションを起こせる企業には、クリエイティブな人材が必要なのだろうか。企業としてクリエイティブなことと、その社員がクリエイティブなことはイコールではない。社員がクリエイティブでなくても、企業としてイノベーションを起こせればいい。

人類の歴史は少数の天才によって牽引されてきた。アインシュタインとか歴史に名を残している偉人たちによって。宗教だってそうだろう。キリストやブッダなど、あとの世に絶大な影響を及ぼしている。

しかし彼ら個人が代替えの効かない存在だったのかというと、どうだろうか。たとえキリストやアインシュタインが存在しなくても、別な人間が同じ偉業を残したのではなかろうか。

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アーサーCクラークの「幼年期の終わり」では、次第に地球では正常な子供が生まれなくなっていく。最初のミュータントが誕生した後は、次々にその数が増えていく。そこでこんなことが語られる。あなたの子供がミュータントの第1号だったことに意味はない。たまたまそうだっただけで、それはたとえるなら核分裂の連鎖反応が最初にどの原子が起こしたのか?を問うようなものであると。

スケールを変えてみる。アインシュタインが相対性理論を着想した時、最初にひらめきを発したのはどの脳細胞だったかを問うことに意味があるだろうか。

よく偉人の伝記などで、大きな問題に直面している時に、たまたま気分転換で散歩に出た何気ない風景から、画期的なアイディアを着想するというストーリーがある。あるいは昭和のスポーツマンガとかで、必殺技を編み出すヒントが、たまたま目にした動物の動きだったりする。

アイディアを着想したきっかけは確かに大事かもしれないが、それはあくまできっかけであって、おそらくそのきっかけがなくても、別な事象をきっかけとして結局はそのアイディアをひらめいたことだろう。

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人間が「人」を偉大だと考え、企業や脳細胞を単位に偉大だと考えないのは、人間がそのスケールで物事を見ているからに過ぎない。もしかしたら俺の脳細胞の一つは、「アインシュタインのあの脳細胞が偉大なだけなのに、アインシュタインという人間全体が偉大だとこいつ(俺)は思ってるな」とか、考えているかもしれない。

はたしてiPhoneなどを次々に生み出したApple社という企業(の仕組み)が偉大だったのか、そのCEOだったジョブズが偉大だったのか。

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表題の中国語の部屋というのはコンピュータサイエンスとかでよく出てくる話。中国語がまったくわからない人物が小部屋に入って、外とはタイプライターなどでのみやり取りする。小部屋には中国語の文法を始めとする膨大な資料が詰まっていて、中の人はそれを見ながら、外界とやりとりをする。

外にいる人間からは、あたかも彼が中国語を理解できているように見えるわけだ。でも彼が実際にやっているのは、資料を引きながら定型的な処理をしているだけ。彼自身は自分が何を(中国語で)しゃべっているかもわからない。

クリエイティブな企業も、その社員は「クリエイティブってなに?イノベーションっておいしいの?」という人材でもいいはず。社員たちはまったくクリエイティブということが何か理解していない。それでも彼らの企業はクリエイティブに振る舞う。

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まあクリエイティブを重要視するあまり、クリエイティブな人材だけを偏重するようになってませんか?という話。地道な資料集めとかデータ処理があってこそ、最後のひと押しとして、クリエイティブな着想が生まれるわけで。

ネットで語られるクリエイティブな発想をするにはどうすべきか?とかを読むと、まるで言葉で自転車の乗り方を教えるようなものに感じるのは俺だけ?確かに自転車の乗り方を文章にして説明すればそうなるかもしれないけど、文章を読んだからといって自転車に乗れるようにはならないよね。試行錯誤で体得した結果を、あとから文章でまとめるとそういう内容になるというだけで。そういうのをありがたがって読んでる人たちって馬鹿じゃないかと。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年05月07日時点のものです。

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