ケータイ小説投稿サイト『Gocco』の投稿作品30タイトル以上が作者に無断で電子書籍化される
サイトクリエイトが運営するケータイ小説投稿サイト『Gocco』に投稿された小説作品が3月下旬以降、相次いで作者に無断でAmazonの『Kindle』や楽天の『Kobo』に電子書籍として登録されていることが明らかになりました。登録されたタイトルは全て元の作者名でなく「TSK編集部」名義となっているのが特徴で、4月23日現在は30タイトル以上の登録が確認されています。
この問題が発覚したのは、4月20日に『Yahoo! 知恵袋』で以下のような質問が投稿されたことが契機でした。
TSK編集部の著作と言う事で突然、アマゾンと楽天で、私が書いたケータイ小説が電子書籍化されて売り出されました。私の所には、なんの連絡もありません。これは、盗用では、ないでしょうか?
(出典:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13105982158 [リンク])
また、21日には電子書籍化されたタイトルの情報を『Twitter』で自動配信する電子書籍新着情報(@amaebooknew [リンク])のアカウントが、空野瑠璃子さん(@soranoruriko [リンク])作の『ケータイうさぎ』が配信されたと言う情報をツイート。空野さん本人がこれに気付き、不審に思って情報提供を呼びかけたところ、他にも『Gocco』に投稿された複数人の作品が、いずれも「TSK編集部」の名義で少なくとも30タイトル以上にわたり電子書籍化されていることが判明しました。
『Gocco』の現行の会員規約では、以下のように運営元のサイトクリエイトや同社が指定する第三者に対して「無償で期限なしに非独占的に利用する一切の権利」を許諾することおよび「著作者人格権を一切行使しない」ことを承諾する旨が定められています。
第6条 著作権その他の知的財産権
1. 利用者は、投稿した文章、画像等の内容、およびこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条から第28条までに規定される権利を含む)、その他の権利につき、当社および当社の指定する者に対して、これらを日本国内および日本国外において無償で期限なしに非独占的に利用する一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます)を許諾します。また、当社が指定する第三者に対して一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます)を許諾しないことを承諾します。
2. 利用者は、当社および当社の指定する者に対して著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。(出典:http://gocco.jp/pc/kiyaku.do [リンク])
しかし「TSK編集部」がこの規約で言うところの「当社の指定する者」であるとしても、問題の作品は有償(大半が1冊100円)で販売されており、また作者の名義を「TSK編集部」とする行為は会員規約の成否以前に氏名表示権(著作権法第19条)の侵害をまぬがれないとみられます。
『Gocco』運営元のサイトクリエイトからはまだ今回の電子書籍化および同社と「TSK編集部」との関係について公式のアナウンスは出ていませんが、これらの電子書籍化が作者に無断で行われている点と氏名表示権侵害の事実が動かない以上は大規模な盗作事件に発展するのは避けられない情勢であり、早期の対応が求められます。
参考:ケータイ小説SNS「Gocco/ごっこ」へ投稿した作品が無断で電子書籍化されTSK編集部名義で販売中?(Togetterまとめ)
画像:楽天Koboストア(http://www.kobobooks.com/ [リンク])で「TSK編集部」を検索した結果表示
※画像下段の『白いティスタメント』は詩空亜金さん(@sisoraakin [リンク])が『Gocco』を含む複数のサイトで公開した『まっしろなティスタメント』の表題を「TSK編集部」が改変したもの。
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。