知識がなくても楽しめる美術館の工夫
4月に入り、外に出かけるにはちょうどいい陽気になってきた。でも、混んでいるところはちょっと…という人はのんびり美術館に行ってみてはどうだろう。
岩波ジュニア新書から出版されている『美術館へ行こう』(草薙奈津子/著、岩波書店/刊)では、平塚市美術館館長である著者の草薙氏が、美術館の魅力、鑑賞の仕方といった基礎、美術館の中やその役割、さらには学芸員の仕事について紹介する。
美術館に行くといっても、絵のことは詳しくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない、何となく高尚なところ、というイメージを持っている人もいるだろう。
草薙氏が館長を務める平塚市美術館では、前庭に花のプランターを置いたり、入り口に大きなユニコーンを置いたり、点字に工夫を凝らしたりと、何とかたくさんの人に興味を持ってもらい、美術館になじんでもらおうと日夜、工夫しているという。さらに、展覧会を催すだけでなく、美術館でのワークショップにも力を入れている。これは最近の美術館の傾向でもあり、どこの館もワークショップが盛んに開催されている。詳しい知識を持っていなくても、興味を持てるはずだ。
また、電車の中、レストラン、どこに行っても人間のいるところには必ず守るべきマナーがあるように、もちろん美術館にもマナーがある。
美術館内で走らない、大きな声で話さない、展示されている美術品をさわらないといった常識なことが守ることができれば、マナー違反にはならない。基本的に美術品にはさわってはいけないが、中には特別にさわってもいい作品もあるという。最近では眼の不自由な方たちにも美術を楽しんでもらおうということで、さわれる彫刻展といった種類の企画展を開催するところもある。
また、メモをとるときは、万年筆やボールペンなどインクの出やすい筆記用具ではなく、鉛筆を使おう。万が一、インクが美術品についてしまうと、修復に時間とお金がたいそうかかってしまうからだ。
ゴールデンウイークの予定がまだ決まっていない。そんな人はお散歩がてら、近場の地域の美術館に足を運んでみるのもいいかもしれない。家族や友人と美術館でのんびり過ごしたり、ワークショップに参加してみるのも、良い休みの日になるのではないだろうか。
(新刊JP編集部)
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