スピルバーグも涙した仰天の役作りとは? 史上最強の名優ダニエル・デイ=ルイス“やりすぎ”伝説
スティーブン・スピルバーグ監督が、アメリカ史上“最も愛された大統領”エイブラハム・リンカーンの「世界を変えた28日間」を描く『リンカーン』がいよいよ4月19日より全国公開となります。
リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイスは、先日発表された第85回アカデミー賞で史上初の3度目となる主演男優賞を獲得。現代にも通じるリンカーンの“リーダーの資質”と、政治家として、そして家庭人としての“知られざる真実”の姿を描いたこの作品は、「今、最も観るべき映画」として全米興行収入は1億8千万ドル突破のビッグヒットを遂げ、オバマ大統領や米上院議員も全員観賞するなど、話題となっています。
本作で生き写しの外見だけでなく、リンカーンが憑依したかのごとく熱演したダニエル・デイ=ルイスは英国人俳優。1年間の準備期間を条件にアメリカの象徴でもある大役のオファーを受諾し、
「人生についての出来事を読んでもある程度までしか分からないものだ。私がもっと興味を持ったのは、リンカーン個人の経験を主観的に理解することだった。その意味で、彼の残した書き物はとても重要だった。彼の演説だけでなく彼が語った物語を読んでも、彼という人物がまざまざと見えてくるからだ」
と語っており徹底した役作りを明かしています。どの様に徹底しているのかというと……
・リンカーン関連の書物やリンカーン自身が書き残したものを読みあさる。
・19世紀の生活に慣れるため、妻メアリー・トッド・リンカーン役のサリー・フィールドと当時の文体で手紙の交換を4ヶ月間行う。
・特徴的なウェーヴのかかった髪型に似せて自分の髪を伸ばし、髭を生やす。
・1時間半のメイクでリンカーンになりきる。
書物を読み漁ったり、髪を伸ばすのはまあ分かりますが、奥さん役の女優さんと実際に手紙のやりとりをするなんて驚き。しかも、4ヶ月。付き合ってくれたサリー・フィールドさんもすごい!
そして、製作期間中スピルバーグ監督は、リンカーン大統領と対面するという意識から敬意を表すため常にスーツ着用で臨んだほど。
「最期のシーンを撮り終えると、ダニエルと僕は各部屋に戻った。ダニエルはリンカーン役ではなく、ダニエル本人として話してきてくれた。そのとき私は、今日で友達だった、これまで信じてきた第16代大統領リンカーンと会うのが最後だと気付いて涙が溢れてしまった」
と、クランクアップの日の驚きのエピソードをスピルバーグ監督は明かしています。ダニエル・デイ=ルイスもすごいけど、スピルバーグ監督のハマリこみっぷりもすごい。そんなダニエル・デイ=ルイスのなりきりっぷりが垣間見える初出し映像はこちらから!
リンカーン以外も“やりすぎ”なダニエル・デイ=ルイスの役作り伝説
ダニエル・デイ=ルイスはリンカーン以外でも、やりすぎな役作り伝説が盛りだくさん。1998年には一時俳優を休業し約4年間イタリアで靴屋の修行に励み、息子は父親の職業が靴職人だと思っていたのだとか。
■『マイ・レフトフット』(1989)/役名:クリスティ・ブラウン
脳性小児麻痺を抱えるクリスティ・ブラウンになり切るため、撮影中ずっと左足だけを使い車椅子で生活。
■『ラスト・オブ・モヒカン』(1992)/役名:ホークアイ
モヒカン族の戦士を演じるため、6ヶ月間野営や釣り、獣の皮をはぎ方、陸地や森で生き抜く術を学ぶ。訓練の終盤では自分でカヌーを作れるまでになっていた。
■『父の祈りを』(1993)/役名:ジェリー・コンロン
撮影中は北アイルランド訛り徹底し、約15Kg減量。独房のセットで夜を過ごし、自分に向かって撮影クルーに罵りや水を投げつけさせた。
■『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993)/役名:ニューランド・アーチャー
常にキャラクターになりきり、プラザホテルに2週間滞在。1870年代の衣服を身につけニューヨークの街を数週間生活。
■『ボクサー』(1997)/役名:ダニー・フリン
常にキャラクターになりきり、プラザホテルに2週間滞在。1870年代の衣服を身につけニューヨークの街を数週間生活。
■『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2001)/役名:ビル・“ザ・ブッチャー”・カッティング
主役のはずのレオナルド・ディカプリオを抑え、まさかの主演男優賞にノミネート。
■『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)/役名:ダニエル・プレインビュー
準備期間を1年間設け役作りに専念。リトルボストン市民の前でのスピーチを、台本なしの即興で行い周囲を驚かせた。
『リンカーン』
4月19日(金)TOHO シネマズ日劇他全国公開!
http://lincoln-movie.jp
(C)2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS IIDISTRIBUTION CO., LLC
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。