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【なぞなぞ霞ヶ関】実は国の持ち物? フリーランス記者が取材できない国会記者会館の図面が出てこないナゾ

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会計検査院の審査要求後の記者会見

東京都千代田区永田町1-6-2。国会議事堂とは道路を隔てた向かいという好立地にある国会記者会館。1967年に衆議院事務局によって建設され、地上4階・地下2階で159社が加盟する国会記者会に所属する記者が使っています。あまり知られていませんがこの建物、実は土地も建物も衆議院の持ち物。それを記者会所属メディアは無料で使用していることになります。建物内で通常必要とする維持修繕費用は記者会が負担する取り決めになっていますが、その範囲を超える空調設備・電気設備・エレベーターの改修には税金が投入されていることが明らかになっています。

そんな国会記者会館が注目されることになったのは、東日本大震災のデモが国会前で開催されるようになってから。デモの模様の撮影ポイントとして格好の地だったため、屋上や館内の廊下などが使われるようになりました。

ところが、インターネットメディアの『Our Planet-TV』が屋上の使用許可を求めると、記者会非加盟会社という理由により不許可。東京地裁・東京高裁に仮処分を申し立てるも却下されています。同様に、フリーランス記者の寺澤有さん、畠山理仁さん、佐藤裕一さんが2012年10月12日に会館4階廊下よりデモの模様を取材しようとしたところ拒否されています。寺澤さんらも国会記者会館への立ち入り取材を国会記者会が妨害してはならないことを求める仮処分を申請しましたが、最終的に最高裁でも却下されました。

これを受けて寺澤さんらは、2013年4月4日に会計検査院に審査要求書を提出。国会記者会館の無償使用が財政法9条1項と大蔵省(当時)の通達「国の庁舎等の使用又は収益を許可する場合の取扱いの基準について」に違反していると指摘、衆議院や責任者に対して是正の通知を求めています。

要求書によると、衆議院事務局の見解は「フリーランスやネットメディアであることのみをもって、国会記者事務所の使用に関しまして、国会記者事務所の使用適格がないとは考えておりません」という返答。また、財務省も「フリーランスやネットメディアの記者も使用できる」と明言、国会記者会が行なっている会館の「管理」とは、鍵をかけたり火元に注意するといった日常的な意味であって財産を好き勝手にしてもいいということではない、としています。

代理人を務める山下幸夫弁護士は、「記者会館は衆議院が所有している国民財産。加盟者以外のジャーナリストにも使用させなければいけないという前提で無償使用が認められる」と強調し、「国有資産を恣意的に独占するのはあってはならない。財産の管理という観点から問題にした」と会計検査院に要求した意義を説明します。

今回いちばん不思議なのは、記者会が会館の使用する根拠になっている1969年3月15日付けの「国会記者事務所の使用について」の法令。ここに「使用範囲」という項目に「別紙図面のとおり」とあるのですが、裁判所での申し立ての審理の中で提出要求があったにもかかわらず、それを拒否されたといいます。「本来管理権がない部分まで主張しているのではないか」と山下弁護士は疑問点を指摘し、同席した倉地智広弁護士も「出せば済む話なのに出していないのはなぜか」と追求する構えを見せます。

民事訴訟ではなく会計検査院審査要求をしたのは、もともと寺澤さんが取材した警視庁の旅費を巡る裏金作りを大内顕氏が暴露する過程で審査請求した経験に基づいたものとのこと。「その時は却下されたが、会計検査院は調査することにより、翌年より該当の捜査費の項目が廃止された。審査要求は裁判中だとできないので、こちらの方が早いのではないか」と話す一方、却下された場合を見据えて公正取引委員会に訴えることを検討して、「少しでも状況を前に進めたい」と話します。

裁判所が要求しているのに図面が出てこないうえに、法的にもいろいろと微妙な存在のような国会記者会館。税金が投入されている以上はその使途が明らかにする必要があるので、寺澤さんらの要求がどのように審理されるのか、チェックする必要がありそうです。

審査要求書(全文) THE INCIDENTS (Alternative Version)
http://incidents.cocolog-nifty.com/the_incidents/2013/04/post-d24e.html

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

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