ラーメン評論家が見るお店の「こだわりポイント」とは?―元“ラーメン女子大生”インタビュー(2)
年間350杯、1日1杯ペースでラーメンを食べ続ける日本初の“女性ラーメン評論家”本谷亜紀さん初の著作となるラーメンガイド『日本初の[女性ラーメン評論家]になっちゃいました!』(扶桑社/刊)が刊行!
大学在学中は“ラーメン女子大生”として、メディアなどに出演しラーメンを紹介してきた本谷さんだが、この本では本当にお勧めしたい東京の40軒のラーメン店をはじめ、地方の名店なども網羅。ラーメンが食べたくなる写真もばっちり掲載されている。
というわけで、新刊JP編集部は初めてのラーメン本を出版した本谷さんを直撃! お話をうかがってきた。今回は後半部分をお届けする!
(新刊JP編集部/金井元貴)
■ラーメン評論家が見るラーメン店の「こだわりポイント」
―今回、掲載されている東京のラーメン店40軒を選ぶうえで基準などはあったのですか?
「かなりありました。実はこの40軒って普通のラーメンガイドから考えれば、すごく少ないんです。普通は400軒くらい載っているものが多いんですけど、載せ過ぎてしまうと手に取った人が迷ってしまうじゃないかと思っていたので、40軒にしぼりました。
また、この本のポイントはかなり感情を入れ込んでレビューを書いているところです。だから、味だけじゃなくて、ストーリーが見えるようなお店がいいなと思って選びました。あと30、40軒くらいは候補があったのですが、最後までずっと悩みました」
―でも、ラーメンのレビューを書くって大変だと思います。
「本当に大変ですよ。しかも、こんなに一気に書くのも初めてだったので」
―味を文章で表現するのって、とても難しいですよね。
「本当に難しいです。だから、誰が読んでも分かるようにしたかったし、もっといえば、ラーメン専門書であって専門書でなくしたかったんです。ラーメン専門書には普通の方が読んでも全く分からないようなラーメン用語が使われることがあるんですね。例えば、ハルユタカ(小麦の品種)とか」
―すごいですね(笑)
「あとは浄水器の名前とか。そういうのは、マニアックな人が読むと『ああ、ここはシーガルフォー(*1)を使っているのね』『分かってるじゃん!』って楽しめるんですけど、この本はマニアックになり過ぎないように書きました。
あと、一つの店に200文字という文字数って結構少なくて(笑)、思い切り書いたら1000文字以上必要だということが分かったんです。だから、200文字にまとめることが大変でした」(*1・・・浄水器の製品の名前)
―とにかく文章を削って。
「削りましたね!」
―今、浄水器のお話が出来てきましたが、ラーメン評論家の目線で、お店のこだわりを見つける際に押さえるポイントを教えていただけますか?
「私は麺の箱を見ています。麺箱というのですが、よく入り口とかに置いてありますよね。そこに自分のお店の名を入れていたら、自家製麺だなと判断します。この本の最初に出てくる『渡なべ』はそうですね。また、『浅草開化楼』のような製麺所の名前が入っているときは、それぞれ特徴があるので、『ここはもっちり感を重要視している』とか『ここは麺のつるつる感をウリにしている』と考えます。だから麺箱はチェックしますね」
―それで分かってしまうんですね。
「これはたくさん食べているうちに分かってきました。でも、今回はそういうことは書いていません(笑)」
―ラーメン評論家さんやラーメン店主さん同士の会話も結構凄そうですね。
「普通の方が聞いたらよく分からないと思いますよ。外国語に聞こえるんじゃないでしょうか。『ガイバクとナイバクは、どちらが良いか』とか」
―全然分からない(笑)
「外国産の小麦と国内産の小麦という意味なんですよ。私はこういう話を聞くのが好きなんです。麺の太さ1ミリ変えるだけで、味が変わりますからね!」
―じゃあ、言い合いになったりすることも?
「私は一度もないのですが、ラーメン屋さん同士の論争はあります。お互いの想いをぶつけ合ったり、原因はいろいろありますが、みんな本当にこだわっています」
―付き合う男性もやはりラーメン好きが良いのですか?
「そうですね。でも、男性でラーメンが嫌いっていう人は会ったことがないです」
―確かにほとんどいないですよね。
「そうなんですよ。ただ、ラーメンが好きというだけでなくて、ラーメンのことを知っていて欲しいんですよね。ある程度、ラーメン用語を理解していないと私と会話していても“??”となると思います。だから、こだわりのお店を知っておくとか、ちょっとだけそういう部分は覚えておいて欲しいなと思います」
―「ラーメン評論家」という肩書きに対して重さを感じていますか?
「そうですね。私は評論家として活動していますが、年齢や性別からアイドル扱いされることが多いので…。それでいろんな人が美味しいラーメン店を知る機会になればいいのですが、時にちょっとギャップを感じることがあります。水着でラーメンを食べる企画が来たりとかして、それは自分としては違うなと思って断っています。
でも、評論家という肩書きの重さはまだ分かっていないと思います。ラーメン評論家って常にバッシングの対象なんですが、私たちはバッシングされてナンボだと思いますし、自分とは別の考え方をいただいたらそこに新しい発見もありますから」
―では、最後に読者の皆さまにメッセージをお願いします。
「今までにないラーメン本を作りたいと思って書きました。より多くの方に手に取っていただいて、この本の中から一軒でも自分に合うお店が見つかれば嬉しいです」
―ありがとうございました!
(了)
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