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幻のケモノアニメ「セザールボーイの冒険」を観る

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セザールボーイの冒険 ローマ帝国編(1999年作品・OVA)

「大いなるマンション、セザール!」っていうCM覚えてますかね、皆さん。不動産大手の株式会社セザールが放映していた、熊獣人が悪者を退治して囚われの美少女救ったりする謎のアニメCMで、記者(アラサー)がクソガキだった頃に、大量に流れていたものですが、近年は見かけませんね。何故でしょうね。

その人気キャラ、熊獣人のセザールボーイを主役に据えた、誰得アニメが本作です。以下、パッケージの惹句引用。

《時空犯罪者スカーキャットが、タイムマシンを悪用して地球の過去を変えてしまった!!時空捜査官セザールボーイは歴史を元に戻すため、未来からローマ時代に向かう。はたしてそこで待ち受けていたものとは?!そして、地球の歴史は元に戻るのか?壮大なローマ時代を舞台にセザールボーイが大活躍。豪華スタッフ、人気声優陣で贈る、ハラハラ、ドキドキのSF冒険アニメーション。》

まあ、要するに歴史改変モノSFということである。さっそくストーリーを追っていこう。

時はローマ時代。ライオン獣人の皇帝セザール(=カエサル/声・花田光)が、親友だったトラ獣人のブルーガス(声・水内清光)一派に襲われるシーンから始まります。史実どおりですね。

ところが、そこにいきなり光線銃が放たれ、哀れブルーガスは即死。

「キェ〜ッケッケッケッ、クゥィッヒッヒッヒッ!」←比較的忠実な文字起こし

銃の主、オオカミ獣人のスカーキャット(声・野沢那智)は高笑いをあげます。那智は明らかにノリノリで怪演をしてます。

場面は変わって未来。気合が入りまくった絵の宇宙ステーション司令室の中に、いきなりデブケモ熊獣人が入ってきます。我らがヒーロー、セザールボーイ(声・大川透)! 勇敢なタイムパトロールだ!

「事件ですか局長! 君、紅茶を頼む! ハチミツをたっぷり、ミルクはナシだ!」

座っていた可愛いメスケモの熊獣人に有無を言わさずお茶汲みを命じるセザールボーイ。一体、未来の獣人界のジェンダー意識はどうなっているのでしょうか。

時空監視局局長(声・内海賢二)は、過去の歴史がスカーキャットによって改変された結果、あと3日でこの世界が終わるなどと剣呑なことを言い始めます。具体的には、ナポレオンがアメリカ大陸を発見したという歴史になっていたりするようです。

そこで、セザールボーイとメスケモ熊獣人のカレン・グローリー(声・三石琴乃)を歴史改変の起点、古代ローマ時代に行ってスカーキャットを捕まえるように命じます。歴史に忠実に、皇帝を死なせるためにね。

セザールボーイ「こんな女の子がタイムパトロールだなんて……」

カレン「セザールボーイ、貴方は女性差別主義者ですか? 私はこれでも連邦大学で時空犯罪学を学んで……」

セザール「女の子には女の子らしい仕事が……」

カレン「それを女性差別と言うんです!」

正論だわ。私もこういうインテリ女は大好物ですからね。結婚して欲しいですね。

そんなこんなでセザールボーイとカレンは口喧嘩をしつつもローマ時代にタイムスリップ。

ところが、スカーキャットが張ったと思われる時空バリアのためか、はたまた計器の故障かオペレーターのミスか、2人は、スカーキャットが皇帝セザールを助けた1ヶ月後のローマに到着してしまいます。局長の無能ぶりが遺憾なく発揮されたシーンです。

また、局長は2人に、未来の最新兵器とか貴金属とか持たせるわけでなく、基本的に着の身着のまま生足で送り込みます。こういうのをパワハラというのではないか。一体、未来の獣人界の労働問題はどうなっているのでしょうか。

突然、馬車に乗ったライオンのショタっ子が悪い騎兵に追われている現場に遭遇。「なんてことだ、あんな幼い子供を大勢で襲うとは……!」義を見てせざるは勇なきなりと言わんばかりにセザールボーイはショタっ子を救出。リアル馬が挽く車に獣人が乗っているというのは、冷静に考えたらシュールすぎる気がするが、冷静に観るアニメでもないだろうから気にしないことにする。

ショタっ子はなんと、皇帝セザールの息子、リディア(声・雪乃五月)でした。

皇帝セザールの命を救ったことで宰相に取り立てられたスカーキャットは、「皇帝陛下、リディア王子が陛下の命を狙っておりますぞよ」(大意)と讒言し、猜疑心を煽り、父に子殺しの汚名を着せようとします。

皇帝セザール「しかし……本当にリディアがそんな企みに加わって……」

スカーキャット「大親友のブルウガスでさえあなたを裏切ったではありませんか」

見事な説得力だわ。

そんなわけで皇帝セザールは息子を見つけ次第殺すように衛兵を動員。リディアは少数の従者や従姉のミュローナ(声・KaNNa)の手引きで逃げますが、追っ手は容赦なく襲い掛かる……その道中、セザールボーイに救われたというわけです。

どうでもいいがこのリディア、まだ鬣も生え揃っていないくせに回想シーンでは色気づいて従姉と乳繰り合っております。

というわけでリディアを道案内にスカーキャットを捕まえに行くセザールボーイとカレン。

皇帝の宮殿の地下通路を通り、玉座を目指しますが、道中、スーパーピットフォールみたいな針付き吊天井の罠に引っかかります。体当たりで壁を壊そうとするセザールボーイの脳筋ぶりに驚きつつも、カレンが指輪型プラスチック爆弾を使って難を切り抜けます。近代兵器はこのプラスチック爆弾しか持ってきてないらしい。

王の間に辿り着くと玉座に何者かの影が。

リディア「父上! 僕を信じてください! すべてあの宰相のたくらみなのです!」

しかし玉座にいたのはスカーキャット。宰相が玉座に座るとか僭越にも程があるのですが「お前の父親は夕べ病気に倒れた、そしてその時この私に全てを任せ皇帝の代理人にしたのだ。デェヘェハァハァハァッ!」と悪びれず、平然と嘘を吐きます。サイコパスですね。勿論、抜かりないスカーキャットはすぐに邪魔者の3人を落とし穴で地下牢にぶちこみます。牢には皇帝とミュローナも囚われていました。スカーキャットは水攻めで5人まとめて殺そうとしますが……

ご満悦顔でワインを飲むスカーキャット。

「イェ〜ッヘヘヘヘヘ! あと少しでこの国、いや、この地球が私のものになる……ふん、ワインの色も楽しめる……美しい酒……美しい国……すべて俺様のものだ。ダェ〜ァハッハッハッハェッ!」

那智って本当にこういう狂人演じさせたら最高だわ。

ところが、皇帝セザールと衛兵、セザールボーイ、カレンがスカーキャットの前に現れる。「スカーキャットよ、お前の企みは全て暴かれた! もはや逃げ道はないぞ!」

スカーキャット「貴様ら、何故ここに!?」

皇帝セザール「ここは余の城。余だけが知る無数の地下通路がある」

脱出シーンは一切描かれずこの一言で済まされるのが素晴らしいですね。

スカーキャットはヤケクソになり、「この国を無傷で手に入れようとしたのが間違いだったようだな……!」と、最終兵器である巨大ロボット、ゴーレムを起動。皆殺しにしようとします。ローマの槍や弓で巨大ロボットに勝てるわけなく、ゴーレムはナチュラルに兵士を踏み潰しまくる。

スカーキャット「ダハハハハハハハハェ、踏ゥみィ潰してしまえ! フェハハハハハハハ!」

那智、メッチャ楽しそう。

 しかし、セザールボーイの投げ縄の技術と、カレンのプラスチック爆弾のコンビネーションで見事ゴーレムは破壊! やったね!

スカーキャットは再びどこかにタイムスリップして逃げますが、その際、最後っ屁とばかりに光線銃を発射。それが直撃して皇帝セザールは死亡。

リディア「父上、父上ぇ……」

無事に皇帝セザールが死んだことで歴史は元通りになり、長居は無用とばかりにセザールボーイとカレンはあっさりと未来に帰ります。

突然消えてしまった2人を偲び、リディアとミュローナは「ありがとう……」と空を見上げるのでした。

余韻というものが著しく欠如しており、なんだか釈然としない気分なのだが、とりあえずこれで地球に平和が戻って終わり。

こんなわけのわからない謎アニメにも全力を尽す声優陣のプロ意識が本作の最大の売り物です。メカニックデザインはZガンダムなどで知られる小林誠さんで、これも見所。

セザールに製作の意図を取材したいところだったが、セザールは2003年に民事再生法が適用されており、事実上倒産してますので、断念。多分、この後、三国志編とか応仁の乱編とかロシア革命編とか出すつもりだったんだろうが……現在、あなぶきセザールサポートという会社が事業を引き継いでいますが、僕らのセザールボーイの姿は影も形もありません。

人間が欠片も出てこない高純度のケモノアニメ。勿論、個人的には大満足。諸兄も是非、一度ご覧になってはいかがだろうか。入手方法ですが、ブックオフとかハードオフの105円ジャンクコーナーを回っていたら2年くらいで発見できると思います。

ちなみにスタッフロールはこちらを参照。

(文責・岸本元。画像は著作権法32条に基づく引用の範囲だと考えるが、勿論権利者に怒られたら画像は消します。画像が荒いのは、テレビ画面を写真撮影したから。確かリッピングって今はやったら嬲り殺しにされるんだったよね?)

ガガリアン向けあとがき(ここ転載不可)

前の記事のせいで荒れてしまって失礼しました。今後はもっと気をつけます。ごめんなさい。
※この記事はGAGAZINEさんよりご寄稿いただいたものです

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