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Spotifyを日本で聴く場合の違法性について

Spotifyを日本で聴く場合の違法性について

今回は栗原潔さんのブログ 『栗原潔のIT弁理士日記』からご寄稿いただきました。

Spotifyを日本で聴く場合の違法性について

本記事は以前アップした記事*1の内容を再編集したものです。元記事の追記が多く読みにくくなっていたので追記の内容を本文にまとめました(全体的内容は変わっていません)。元記事も記録としてそのまま残してあります。

*1:「Spotifyを日本で聴いた場合の違法性について」 2012年12月5日 『栗原潔のIT弁理士日記』
http://www.techvisor.jp/blog/archives/2853

音楽系のサービスでは、権利者側のビジネス上の理由から特定の国だけにストリーミング配信を行なっており、日本では視聴できないものがあります。配信先のチェックは基本的にIPアドレスを見て行なうのでプロクシ等々を使えばチェックを回避して、日本で視聴できてしまいます。倫理的にどうなのかという話は別にして、こういう行為を行なった時に著作権法的にどう扱われるのかといった点について検討してみたいと思います。まずは、Spotify特有の話ではなく、あらゆるストリーミング配信サービスに共通の話からします。

そもそも、ストリーミング方式でコンテンツの視聴をするだけであれば、著作権法上は違法とされることはないと思います。著作権法は原則として視聴行為をコントロールしないからです。視聴する際のキャッシュの複製については著作権法第47条の8により認められているので問題ないと思われます(100%大丈夫だと保証しろと言われるとちょっと困りますが)。

ただし、コンテンツの視聴をするために会員登録が必要で、その前提として会員規約に同意することを求められており、会員規約に「私は米国に居住しています」なんてことが書いてあれば、サービス提供会社との間の契約違反にはなり得ます。なお、この場合でも著作権侵害にはなり得ません(著作権法には「視聴をする権利」は定められていないからです)。

ここまでは一般的なお話ですが、Spotifyに特有な点がいくつかあります。

まず、Spotifyは有料会員によるコンテンツのダウンロードが認められています。ダウンロードは著作権法上定められた複製に相当するので著作権侵害の可能性を考慮する必要が出てきます。さらに言えば、2012年10月1日より施行された刑事罰化についても考える必要があります。本ブログの過去エントリー「違法ダウンロード刑事罰化に関するまとめ(その2)*2」でも説明した、違法ダウンロードの刑事罰適用の条件をもう1度おさらいしてみましょう。

*2:「違法ダウンロード刑事罰化に関するまとめ(その2)」 2012年9月30日 『栗原潔のIT弁理士日記』
http://www.techvisor.jp/blog/archives/2648

119条第3項: 第30条第1項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

細かいことを省略して簡単に言えば、「有償著作物(市販CD等)のコンテンツを権利者の自動公衆送信権を侵害してアップロードしたものをそれを知りながらダウンロードする」と刑事罰の対象になるわけですが、ここで、対象となる違法自動公衆送信に(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む)とのカッコ書きがある点に注意が必要です。

ちょっとトリッキーな規定ではありますが、このカッコ書きがあることで、たとえば中国等にある、CD音源を違法にアップしたサーバーからダウンロードした場合にアップロード者の違法性を問うまでもなく、ダウンロード者を検挙できるわけです(権利者側がこういう規定にしたかったのはうなずけます)。このカッコ書きが、海外では合法だが日本では正規に提供されていない配信サービスにも適用されるかどうかは要検討です。

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