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差別はネットの娯楽なのか(2)――外国人女性タレント・フィフィ「在日外国人の生活保護受給はおかしい」「なぜ愛する母国に帰らないのか?」

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エジプト出身のタレント、フィフィさんがツイッターに投稿した生活保護に関する内容が、先ごろ話題となった。

 

彼女のつぶやきに関しては、以前から問題視しており、その理由についても以前から一度まとめてみたかった。

 

彼女は、生活保護に関連し「在日外国人の1人として言わせていただきます。外国人が生活保護を受けること自体が不自然です。自国から拒否されてるわけで無いならなぜ愛する母国に帰らないのか?」。

 

続いて「恩恵を受けているなら、文句を言うな。文句を言いながらおねだりすれば、それは”たかり”と言われても当然。プライドがあるなら自らを偽るな」とつぶやいている。

 

生活保護の「不正受給」に関する問題は、これまでに多く語られているので割愛するが、生活保護はこの社会の最後のセーフティネットだ。それを受給することが「恩恵」「たかり」というのは間違っている。恥だと思わせるような発言は、偏見を増大させることでしかない。

 

本来なら問題にすべきところは、年金額や最低賃金が低すぎることだろう。怒りが向かうべき先は国や行政のはずなのに、その怒りは社会的弱者である外国人に向かっており、怒りの矛先をかわす片棒を担がされているような印象を受ける。

 

また、私もよく「日本に不満があるなら国に帰れ」と、見ず知らずの人からメンションを飛ばされることがある。基本的に「帰るのは国ではなく家族の待つ家だ」と答えているものの、ものすごく不愉快な気持ちにもなる。

 

生まれ育った国と国籍が違う人間が、今現在営んでいる生活を捨てて、どこかに「帰る」ということは、事実上は不可能だ。無理なことを分かっていて「帰れ」ということは、自分が気に食わない他者や外国人を黙らせるためのものでしかない。

 

差別とは、この社会から疎外することでもある。だから、「帰れ」は究極の差別用語だろう。差別とは、相手の心を殺すこと。だから、「帰れ」は「死ね」と云っている様なものでもあると思う。

 

そして、彼女は朝鮮学校の無償化除外問題についても語っているが、その認識に著しい誤認がある。不幸なことに、現実の世界ではそれを彼女にきちんと指摘する人物はいないようだ。また、ネット上での指摘にも耳を傾けずにいる。

 

※朝鮮学校の無償化除外問題については、彼女の一連のツイートと『朝鮮学校「無償化」除外問題Q&A 金明秀 – SYNODOS JOURNAL(シノドス・ジャーナル) – 朝日新聞社(WEBRONZA)』 http://webronza.asahi.com/synodos/2012051100001.html
を比較してみるといいと思う。

 

彼女の間違った知識は、ヘイトを発する者たちに利用される。これは昨夏に韓流やフジテレビを批判して話題になった高岡蒼佑さん、排外主義者に担ぎあげられて有頂天になっている片山さつきさんにも同じことが言える。

 

生活保護問題が外国人でも受給できるのは、在日の1世、2世たち先人がその権利を勝ち取ってきたからだ。社会の最後のセーフティネットからこぼれおちてしまうことの苦痛を、私たちは誰よりも知っている。

 

しかし、彼女のつぶやきは、本当に困窮している人たちを追いやるだけで、受給者が増える社会の構造的な背景については一切触れられていない。

 

自分が唱える正義が、誰かを結果的に傷つけるものとして利用されたとしたら。また、誰かにとってだけ「都合のいい」正義に加担するなら。もはやそれは正義とはいえないのではないか。

 

それと同様に、自分の発言が差別者に利用され、差別することを正当化させる後押しになるとしたら。それはすでに、形を変えた新しい差別ではないのか。だからこそ、彼女の罪は深い。

 

11月13日までに、フィフィさんは朝鮮学校無償化除外問題に関した一連のツイートを削除した。7万人もフォロワーがいる彼女は、悪意だけを拡散させた。その元となった発言を消し、自分のしでかした罪を無かったことにしている。差別はいつも無責任だ。

(李信恵)

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