アメリカに衝撃が走った“中学生が68歳女性を苛める動画”

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アメリカに衝撃が走った“中学生が68歳女性を苛める動画”

先週からアメリカのメディアで大きく取り上げられているのが、写真の女性カレン・クラインさんの『Youtube』動画の映像です。カレン・クラインさんはニューヨーク州のロチェスターと言う地方都市に住む女性で、職業は中学の通学バスの監視員です。ニュースでは「Bus Monitor」と書かれています。私自身もアメリカのスクールバスを利用したことはありますが、それは大学のスクールバスだったので監視員はいなかったのです。ですから今回の事件で初めてアメリカには中学生のスクールバスの監視員と言う職業があるのを知りました。

ニューヨーク州と聞くと、どうも摩天楼を想像しがちですがニューヨーク州はとても広くいろんな場所があります。ロチェスターはアメリカ側のナイヤガラの滝に比較的近い市で、大都会のイメージとは程遠い街です。かつてはフィルムのコダック社の本社で潤った市でした。

さて、その地方都市ロチェスターで事件は起きました。通学バスを運転している最中、通学バスの監視員のカレン・クラインさんに「カレン、本当にデブだね」と幼い口調の中学生が切り出します。他の中学生も同じように集中して攻撃し始めます。それに対しカレンさんが涙をためたのでしょう、中学生たちは「あっ、眼鏡がくもってきている」「眼鏡が汗をかいている」などと泣かせる原因を作っていながら追い打ちをかけるように68歳の女性をいじめます。そして「顔に水が流れているぞ」と流れ落ちる涙をからかいます。
それでもまだ攻撃はやみません。「糖尿で死ぬだろうね」「家族いないんでしょ、だって息子が自殺したじゃん、あんたの側になんかいたくなかったんだよ」などと悪魔のような言葉がよくぞ中学生の口からでるものです。

この『Youtube』の動画がアップされ、それがアメリカのマスコミをにぎわしました。カレン・クラインさんのニュースは瞬く間にアメリカ全土に広がり、善意の寄付も募られ『indiegogo』というサイトで寄付できるようになっています。
実際サイトに行ってみますと寄付が行われるまで五段階にわかれており、
1.寄付金額
2.寄付をするもののEメールアドレス記入欄
3.寄付するものの情報開示の有無のチェック欄(寄付金と名前を提示してよいか、もしくは無記名など)
4.寄付に関してのコメント
5.クレジットカードによる支払いの情報入力
これらを入力することで、カレン・クラインさんへの寄付が完了します。

ニューヨーク時間6月25日午前9時30分現在で64万5553ドルの募金が集まっています。日本円に計算するとおよそ5136万196円。この寄付金は精神的に傷ついたカレンさんに旅行でも行ってもらおうという趣旨に賛同した人たちがネットを通して寄付したものです。
6月22日付の『Examiner.com』の記事によるとカレンさんのバス監視員の年収は1万5000ドル(約119万4150円)ですからいかにこの寄付金が大きいかがわかります。

小さなニュースがここまで衝撃的にアメリカ全土に知れ渡ったことは、いじめの抑止力にはなったと思います。またいじめる側の卑劣かつ卑怯な『Youtube』の映像が何度も何度もテレビで放送されることで、いじめることの愚かさを多くのアメリカ人が目の当たりにしたことでしょう。

アメリカに係わらず、メディアはどうしても大々的なニュースを取り上げがちですが、この複数の中学生が68歳のバスの監視員を言葉で、また本人にちょっかいを出していじめる、いわゆる小さなニュースをここまで大きく取り上げたアメリカのメディアの良識に感心します。

寄付サイト:「Lets Give Karen -The bus monitor- H Klein A Vacation!」『indiegogo』
http://www.indiegogo.com/loveforkarenhklein

画像:「Karen Klein crowd funding campaign by Max Sidorov – $628,233」『flickr from YAHOO!』
http://www.flickr.com/photos/k-ideas/7428980804/

※この記事はガジェ通ウェブライターの「あおぞら」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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