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日本の若者はこれからもずっと不幸です/成功よりも「没落」の可能性のほうが高い理由(わけ)

日本の若者はこれからもずっと不幸です/成功よりも「没落」の可能性のほうが高い理由(わけ)

今回はRootport さんのブログ『デマこいてんじゃねえ!』からご寄稿いただきました。

※記事のすべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/227531をごらんください。

日本の若者はこれからもずっと不幸です/成功よりも「没落」の可能性のほうが高い理由(わけ)

日本社会の荒廃を、貧困層のせいにする人がいる。いわく、貧乏人は無計画に子供を作り、しかも教育にカネをかけないので、バカが増えるという。本当だろうか?
あるいは教育コストの高騰で「豊かな人がますます豊かになる」という。本当だろうか?
どちらも間違っていると、私は思う。

一般的に、所得が増えると出生率は下がる。これは世界中で観察される現象だ。
ところが日本のように豊かさが飽和した社会では、「金持ちでなければ子供を作れない」という状況が成立する。極端な例を想像してみよう。もしも生まれてくる子供たちが「金持ちの子」だけだとしたら、数世代後には全人口が金持ちの家系の子孫になるはずだ。反面、所得格差がなくなるとは考えづらく、人口が入れ替わっても貧富の差は残り続ける。つまり大多数の人が「没落」を経験することになる。
現実には、こんな極端な状況にはならない。が、「高所得なほど子供をたくさん作る」という傾向があれば、これに近い現象が起きるはずだ。相対的な所得階層が親より高くなる子供よりも、低くなる子供のほうが多くなる。大多数の子供たちが「プチ没落」を経験するのだ。日本の若者たちが閉塞感を覚えるのは、成功の可能性よりも没落の可能性のほうが高い――、絶えず下向きの圧力にさらされているからだ。

主婦・OLの半数以上が「日本の社会は幸せではない」 若い世代ほど幸せを感じにくい傾向に 2012年6月14日『IRORIO』
http://irorio.jp/satoaki0123/20120614/12237/

「20代30代の死因 自殺が一位」なのは「それ以外で死ににくいから当たり前」は大きな誤り 2012年6月10日『karimikarimi』
http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20120610/1339332370

では「高所得なほど子供をたくさん作る」という傾向が、本当にあるのだろうか。

1.世界の常識

昔から「貧乏人の子だくさん」と言うが、たしかに所得が増大すると出生率は低下する。
これは世界の常識だ。おそらく一番の要因は乳幼児死亡率の低下だろう。産んだ子がほぼ間違いなく大人になると予測できるようになってはじめて、女性は生涯の出産人数を決め、家族計画を立てられるようになる。社会の豊かさが医療を身近なものにし、女性は「生む作業」から解放された。これは国際的な統計に如実に表れている。

世界各国の所得水準と出生率との相関(154カ国、2005年)

https://px1img.getnews.jp/img/archives/e4b896e7958c.jpg

先進国における所得水準と出生率との相関(2005年)

https://px1img.getnews.jp/img/archives/e58588e980b2e59bbd.jpg

※世界各国の所得水準と出生率との相関(154カ国、2005年)『社会実情データ図録』
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1563.html

上の散布図のように、豊かな国ほど出生率が低く、貧しい国ほど出生率が高い。
ところが先進国だけでグラフを作り直すと、興味深い結果になる。所得の高い国のほうが出生率も高くなるのだ。
世界全体では子供を5人作るか2人作るかという選択であるのに対して、先進国では子供を2人作るか1人作るか、あるいはまったく作らないかという選択になる。なぜなら先進国では教育費用など子育てのコストが高く、充分な社会保障と、それを支えられる一定以上の所得水準が必要だからだ。
著しく貧しい状況では、所得の増大は出生率の低下をもたらす。しかし豊かさが一定の水準を超えると、所得の増大は出生率の増加をもたらす。
では日本はどうだろう。出生率におよぼす所得の影響が低下から増加に転じる点があるとして、日本はその水準を超えているのだろうか。
「先進国では、所得の高い人ほどたくさんの子供を作る」
この仮説が日本では成り立つだろうか。上掲の資料は「国」という大雑把なくくりで所得と出生率との関係を見ている。しかし私たちが知りたいのは世帯ごと、個人ごとのデータだ。

2.世帯の所得と子供の人数

「日本では所得の高い人ほどたくさんの子供を作る」
この仮説を検証できる資料を探したのだが、どんぴしゃりなデータが見つからなかった。Google先生に尋ねてみても、出てくるのは所得と学力の関係を論じた資料ばかりだ。こういうとき、専門の研究者の方がうらやましくなる。独自の調査計画を立てられるだけでなく、データのありかについて情報を共有できるからだ。ネットはなんでも調べられるが、調べ方を知らなくては意味がない。力不足を実感しつつ、「就業構造基本調査(平成19年度)」という資料に行き当たった。
就業構造基本調査は統計局が5年おきに行っている大規模な調査で、各世帯の所得、就労形態、子供の人数など事細かなデータが公開されている。歴史は古く、1956年から続いているらしい。次回調査は今年の10月に予定されており、現時点での最新版は平成19年度のデータ、ということになる。日本の現在について調べるには微妙に古いかもしんない。ともあれ、今回は世帯の家族類型,子供の数と在学状況,妻の就業状態,世帯所得別世帯数という資料を参考にした。

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