スマホの位置情報を使い匿名データの分析で地域の経済活動があらわにする技術をMITが開発
スマホからの匿名化されたデータを収集して分析するThasosのプラットフォームは企業が市場調査に活用するほか、世界基準の新たな経済指標となることを目指している。
・匿名化されたデータから人と動きを測定
Thasosのプラットフォームは、毎日数億というスマホからの膨大なデータを処理している。匿名化された位置データからは、店舗やショッピングモールの顧客、地域の労働者、旅行者などの人数が抽出され続けている。
こうした情報は、投資家や企業、経済学者といった経済活動を把握する必要のある人々にとって大変価値のあるものだ。
たとえば、AmazonがWhole Foodsを買収した直後に実施した商品値下げが、顧客の消費行動に与えた影響が細かくわかっていて、値下げ直後にWhole Foodsへの流入は17%増加し、新規顧客は周辺の競合店(Walmart:24%、Costco:15%など)からのものだったことが導き出されている。
・ジオフェンス内の位置データから人の属性を識別
位置データを利用するためにはまず、ターゲットとなる地域の周りに仮想的な境界(ジオフェンス)を構築。データベースには毎週数万のジオフェンスが追加されているようだ。ジオフェンス内のスマホから、GPS、RFID、Wi-Fiなどの位置データを収集して分析。初来店客と常連客、パートタイマーと常勤労働者、遠方からの顧客、旅行客といったクラスタの識別ができる。
また、キャンペーンやリニューアルなど、なんらかの変更が加えられた際には、ビフォアアフターのデータとを比較して、変更が特定のクラスタに及ぼす影響を定量化できる。
・世界の経済活動を測定できる指標構築を目指す
Thasosのプラットフォームは世界経済を比較できる指標となることを目指している。
じつは、現在おこなわれている経済分析の多くには、1930年代に確立された手法が使われているようだ。
経済を測定するデータにはどのようなものを活用すればよいかについて長らく議論されてきたが、誰もがスマホを持つ時代では、位置データを用いることが最良というのが、Thasosグループの出した結論だ。位置データには嘘がなくリアルタイムで収集、分析できる。
各国が独自の指標を用いて測定していることから、経済状況の単純比較が難しいのが現状だが、Thasosのプラットフォームが一貫した経済指標を構築することで、この問題が解決するかもしれない。
ウェブサイト: https://techable.jp/
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