MicrosoftがデジタルIDの管理にブロックチェーンを採用、本人によるプライバシー制御を強化

デジタルIDは、単にサービスを利用するための身分証明の役割にとどまらず、個人データをサービス側に渡すことでパーソナライズされたコンテンツの利用も可能にしてくれる大変便利なものだ。

優れた健康管理サービスや資産管理サービスなどが次々と登場し、デジタルIDによる認証を活用する機会が今後さらに増えると考えられるが、現在すべての利用サービスで渡している情報を把握している方はいるだろうか。

また、洗練されるサイバー攻撃により、芋づる式に情報が漏れてしまうことに不安を感じる方もいるだろう。

こうしたプライバシー管理とセキュリティの強化に役立つのがブロックチェーン技術で、以前からデジタルIDの新しいモデルを模索しているMicrosoftが、サービス利用の際の認証で利用するMicrosoft Authenticatorに分散型ID(DID)による認証を実装し、デジタルIDハブの開発を推し進めることを発表した。

・アイデンティティの認められていない人々にもデジタルIDを

MicrosoftがデジタルIDの信頼性を強化するモチベーションのひとつは、世界中で暮らす人々が、教育や医療、金融、投票といった基本的なサービスが受けられるようにするためだ。

Microsoftは、世界で暮らす公的機関から発行された証明書を持たない11億人を支援するための国際的なパートナーシップ「ID2020アライアンス」に加盟しており、ブロックチェーンによるID管理システムの開発に協力している。

従来のシステムが、政府などの中央管理機関がIDの基準設定や検閲を可能にするのに対して、この新しいアイデアでは、個人がそれぞれのIDを要素ごとに制御するものだ。

・Microsoft Authenticatorを個人データや暗号化キーの管理に活用

Microsoftは2017年5月に、「分散型IDファウンデーション(DIF)」を共同で設立し、主要コンポーネントの共同開発など、分散型IDの標準化に尽力している。

分散型IDでは個人データを多数のサービスプロバイダーに置くのではなく、ブロックチェーン上に分散させて保持するため、改ざんやシステムのダウンがない。

世界中の人々が安心してデジタルIDを利用するためには、サービスの要求に対してむやみに同意するのではなく、それぞれが個人データを簡単に管理できるシステムの構築が必須となる。

すでに世界中の多くの人々に利用されるMicrosoft Authenticatorを個人データや暗号化キーの管理に活用する方針だ。

利用しやすく安全な仕組みが確立されることで、デジタルIDの利便性が高まることは間違いないだろう。

参照元:Decentralized Digital Identities and Blockchain – The Future as We See It./Microsoft Cloud Blogs

Techable

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