「文化庁メディア芸術祭」受賞作の映画化は良作の宝庫! 『羊の木』に期待大
日本の文化庁が主催となり、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル「文化庁メディア芸術祭」。1997年から始まった本芸術祭は、21回目を迎え、現在応募作品の審査中で、2018年3月に受賞発表を控えています。
近年、数多くの漫画原作が映画化されるなか、本芸術祭でマンガ部門で受賞した作品も映画化が相次ぐ。受賞とだけあり、原作の評価が高いのは言わずもがなですが、映画自体も評価の高い作品が多いのです。
第11回優秀賞に選ばれた『海街diary』。是枝裕和監督がメガホンをとり、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが演じる4姉妹の交流を描いた本作は、第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品され高評価を受けました。
同じくカンヌ国際映画祭に出品された実写映画『無限の住人』。「文化庁メディア芸術祭」の第1回の受賞作である原作漫画を三池崇史監督がメガホンを取り木村拓哉主演で映画化。賛否両論が多い作品ではありましたが、本格的なアクションと三池さんらしいグロさから逃げない演出は大きな話題に。
その他、第12回で優秀賞を受賞し、松坂桃李主演で映画化した『マエストロ!』など、良作揃い。そして、第13回の優秀賞を受賞し、映画が近年のミニシアター系作品としては異例のヒットを記録した『この世界の片隅に』。18歳で嫁いだ主人公すずが、戦時下の困難の中にあっても工夫を凝らしながら豊かに生きる姿を描かれる。公開前の早い時期から試写後の反応で「本年度ナンバー1」との呼び声も聞こえてくるほどで、公開後も口コミで話題となり、上映が1年以上続く異例のロングランで大ヒットとなりました。
そして、2018年は第18回で優秀賞を受賞した『羊の木』の映画が公開。熱狂的な支持を集める山上たつひこ×いがらしみきおの巨匠タッグによる超問題作。国家の極秘プロジェクトとして仮釈放された元受刑者たちを受け入れた架空の町を舞台に、過去に凶悪な罪を犯した“新住民”と市民とのせめぎあい、ひいては人間が抱える恐怖の深淵に迫った本作は読者に大きな衝撃を与え見事受賞。
これからの社会を予見するような不穏な設定と「元殺人犯という“究極の異物”との共生」というセンセーショナルテーマはそのままに、『桐島、部活やめるってよ』、『紙の月』など、人間の光と闇を描き続ける吉田大八監督が映画化します。国家の秘密プロジェクトとして殺人を犯した元受刑者である男女6人を受け入れた港町を舞台に、住民と元受刑者の不協和音、町で起こる不審な事件など、彼らの受け入れをきっかけに町の日常が変化していく様が描かれた本作。「文化庁メディア芸術祭」受賞作の映画が高い評価を集めることから、映画『羊の木』への作品クオリティにも期待が高まります。
『羊の木』ストーリー
素性が知れないものたち、信じるか?疑うか?
さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。やがて月末は驚愕の事実を知る。「彼らは全員、元殺人犯」。それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める……。
(C)2018『羊の木』製作委員会 (C)山上たつひこ、いがらしみきお/講談社
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