ソニー『サイバーショット DSC-RX0』これは“アクションカム”ではない。手のひらサイズの高画質カメラ爆誕!

 

手のひらに乗せられるほど小さくて軽いコンパクトデジカメがソニーから登場した。その名も『サイバーショット DSC-RX0』。すでにカメラ・写真業界からは大きな注目を集めているが、一般にはあまり知られていないかもしれない。ぱっと見はGoProのHEROシリーズのようなルックスで、「アクションカム」のような印象を受ける。しかしスペックを見る限り、どうやらそういったカテゴリーの商品ではないようだ。ガジェット好きの記者は、好奇心を抑えることができず、いち早くRX0の魅力をチェックしてみることにした。

このサイズに1インチの撮像センサーを搭載したことに驚き

デジタルカメラ……特にレンズ一体型のコンパクトデジカメは昨今のスマホ普及に押され、売り上げが大きく落ちているという。各カメラメーカーは、コンパクトデジカメのジャンルに関して高級路線を強化する企業と、もはやこの市場は諦めてしまった企業との二極分化が進んでいるように感じる。

 

その中で、ソニーはこのコンパクトデジカメというジャンルに高級路線を確立した先駆者でもある。1インチサイズの撮像センサーを搭載した高画質なコンパクトデジカメ「RX100」シリーズが市場で高く評価され、現在では5代目が登場している(1~4代目も併売中)。その「RX」の称号を冠した新型コンパクトデジカメ『サイバーショット DSC-RX0』(1型Exmor RS CMOSセンサー搭載・総画素約2100万画素・有効約1530万画素・幅59.0×高さ40.5×奥行き29.8mm・約110g(バッテリー・microSDメモリーカード含む)・参考価格 税抜79,880円・2017年10月27日発売)は、これまでの同シリーズのイメージをまったく覆す驚くべきコンパクトデジカメだったのだ。

なんと言っても、そのサイズには驚かされる。すでに家電量販店の店頭などに並んでいるので、実物をご覧になった方もいるかもしれない。幅が6cm弱で、重さがバッテリーやメモリーカードを入れても110gという軽量コンパクトさで、シャツやズボンのポケットに入れても邪魔にならないほど。ただ、こういったサイズ感のカメラというと「アクションカム」というジャンルのGoProを想起させられるだろう。

 

記者が知る限り、このRX0のテレビCMが放送されているところは日本国内では観たことがない。そのため、このカメラが一般的に広く知られているとは言い難いが、公式サイトでは海外でのCMがYouTubeにアップされている。

実は、なんとこの動画はRX0で撮影されているという。これだけの映像クオリティなら、やはり「アクションカム」ではないの? という感想を持つ人が少なくないだろう。

 

パッケージには、RX0本体とストラップ、充電用ACアダプターとマイクロUSBケーブル、メモリーカードプロテクターが同梱されている。

マイクロUSBケーブルから本体でリチウムイオン充電池に充電を行う

電源にはリチャージャブルバッテリーパックが採用されており、その充電はマイクロUSBケーブルとACアダプターで行う。カメラによっては充電池を取り出して、専用充電器で充電を行うパターンもあるが、こちらはわざわざ取り出す必要がないため、電池の入れ忘れを防ぐことができる。

撮影した画像や動画はmicroSDメモリーカードに記録される。これはAndroidのスマホで使われているメモリーカードなので、コンビニや駅売店などでも購入できる。ただし、非常に小さいカードなので紛失には注意しよう。

レンズはカールツァイス・テッサーT*レンズを採用。高い描写力を実現している

ソニーの「RX」シリーズでは定番のカールツァイス・レンズを、このRX0にも採用している。単焦点レンズで焦点距離は7.7ミリ(35ミリ判換算24ミリ相当)と、やや広角のレンズとなっている。レンズのF値は開放でF4.0。最短撮影距離は50cmなので、接写は少し弱い部類に入る。こういったレンズの特徴から、どうやら背景を大きくぼかした写真より、風景をパンフォーカスで撮影するといった使い方が正しいのかもしれない。

薄暮の時間帯に撮影。画面全体がシャープに撮影されている。絞り:F4 シャッター速度:1/80秒 ISO感度:ISO1000 ホワイトバランス:太陽光

上の写真のように、広い絵で風景を撮影するとパンフォーカスのように写っているものすべてにしっかりとピントが合う。なお、夜や暗めの屋内での撮影だが、ISO125~12800の常用感度で撮影が可能となっている。

店内での撮影だが、高感度画質もそれなりに悪くはない。絞り:F4 シャッター速度:1/50秒 ISO感度:ISO3200 ホワイトバランス:オート

ただ、撮像センサーが1インチとデジタル一眼レフに比べて大きくないため、特に影響が大きい高感度画質は少し粗が目立つ。それでも、センサーとレンズの性能がスマホカメラとは比較にならないため、ISO3200でも十分鑑賞に耐えられるレベル。このサイズのカメラで、これだけの画質が得られるなら購入する価値はある。

 

水陸両用でタフなカメラは動画撮影にも強い

このRX0の大きな特徴として、水深10mの防水性能と2.0mの落下耐性、200kgfの耐荷重という驚くべきタフさが挙げられる。当然、雨に濡れるなど生活防水レベルなら何の問題もなく使える。

 

そこで、こんなことを実験してみた。

もちろん、こんなシチュエーションで撮影をするわけもないので、あくまでテストではあるが、当然のことながらメモリーカードにもレンズにもまったく影響はなかった。ただし、ソニーでは「すべての状況において無破損、無故障、防水を保証するものではない」と注意書きを行っているので、あくまで自己責任で。

定点にて連写性能をチェック。画像が小さくわかりにくいので、画面右上から飛来してくる鳥の姿を見てほしい。約16コマ/秒の連写性能の実力が理解できるだろう。

このRX0は、撮像センサーの読み出しスピードが高速化されているため、1秒間に約16コマの連写が可能となっている。単純比較はできないが、プロのスポーツ写真家が使うデジタル一眼レフの連写速度が10~14コマ/秒ということを考えると、恐るべき性能だということがわかる。しかも、有効約1530万画素のサイズでこの連写が可能というのは、ちょっと凄いことなのだ。

 

なお、動画撮影機能は、撮像センサーと高速の画像処理エンジンにより、画素加算をせずに全画素読み出しで4K動画の撮影が可能となっている。前述のYouTube動画を見れば理解できると思うが、まるでテレビの映像を見ているかのような滑らかで高画質な動画撮影が可能となっている。ただし、4K動画のデータ量はハンパないため、microSDメモリーカードの最大書き込み転送速度が速いタイプでないと、RX0の動画撮影機能を十分に活かせないので気をつけよう。

モバイルアプリケーション「PlayMemories Mobile」(iOS/Android OS)をスマホやタブレットにインストールすれば、BluetoothとWi-Fi接続によって最大5台までRX0をコントロールして撮影ができる。こういった使い方は、おそらくプロの現場を想定しているかと思うが、1台でもリモートシャッターなどが可能なので、たとえば川の中に沈めて水中を撮影する場合などに有効だろう。

 

老眼には厳しい液晶の小ささはあるが、「インスタ映え」を狙うならコレ!

ソニーの高級コンパクトデジカメ「RX」シリーズの魂を超小型軽量ボディに搭載されてカメラ界隈で話題沸騰のRX0だが、もちろん弱点もある。それは、このサイズ感ゆえのものであるが、背面の液晶モニターが非常に小さく、少し老眼が入ってきた記者の目ではメニューを読み取るのがかなり困難だったということ。8万円弱という価格帯を考えれば、購買層は中高年が多く占めることが予想されるが、軒並み老眼に悩まされているはずで、ここをどうクリアするかが課題になるかもしれない。

 

いちおう、ソニーではアクセサリーとして別売のHDMI接続ポータブルモニター(CLM-V55)などを用意してはいるが、超コンパクトのRX0に、本体より遥かに大きい5インチの大型ポータブルモニターを接続するのは現実味がない気がする。

「サイバーショット DSC-RX0」は、もちろん4K動画撮影機能も搭載され、「アクションカム」のように使えないこともないが、むしろ静止画の高画質さこそ特筆されるべき性能という印象を受けた。Wi-Fi接続も非常にシンプルで、このRX0で撮影した写真をSNSに投稿するのも簡単。

 

流行語大賞にもなった「インスタ映え」する写真を撮るためにはスマホのカメラよりも、このRX0のようなサクッと高画質が撮れるコンパクトデジカメのほうが向いているはず。ここで紹介しきれなかったさまざまな機能がRX0には搭載されているので、ぜひ公式サイトでチェックしてみてもらいたい。

ソニー SONY デジタルカメラ Cyber-shot DSC-RX0
ソニー SONY デジタルカメラ Cyber-shot DSC-RX0

 

 

 

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